今回はJustin Hinds & The Dominoesのアルバム

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「Ska Uprising」です。

Justin Hinesはスカ→ロックステディ→レゲエ
と活躍したシンガーです。
スカの時代の1963年に出した彼の曲「Carry
Go Bring Come」はジャマイカで大ヒット曲と
なり、曲を出したDuke ReidのレーベルTreasure
Isleの看板スターとなります。
その後もリード・ヴォーカルとしてコーラス・
グループJustin Hines & The Dominoesを率いて
活躍したのがこの人なんですね。
ルーツ・レゲエの時代になっても76年に
「Jezebel」、78年に「Just In Time」と
いう素晴らしいアルバムを残しています。

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Justin Hines And The Dominoes ‎– Jezebel (1976)

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Justin Hines And The Dominoes ‎– Just In Time (1978)

またルーツ期から活躍するシンガーHorace Andy
とはいとこという関係で、彼がデビューした
当時はJustin Hindsの方がすでに人気シンガー
だったんですね。

2005年に肺癌のために亡くなっています。

ジャスティン・ハインズ - Wikipedia

今回のアルバムは1993年にTrojan Records
からリリースされた、Justin Hinds & The
Dominoesの60年代のスカからロックステディ
の時代の音源を集めたコンピュレーション・
アルバムです。

レーベル特集 Trojan (トロージャン)

スカの時代に大ヒットした「Carry Go Bring
Come」のスカ・ヴァージョンやロックステディ・
ヴァージョンなど全20曲が収められた、
彼らの全盛期が解るアルバムになっています。

「Carry Go Bring Come」はさらに後のレゲエ
の時代にも、76年のアルバム「Jezebel」の
中でレゲエ・ヴァージョンも歌われていて、
まさに彼らを代表する曲なんですね。

手に入れたのは中古で廉価(617円!)
で売られていたCDでした。

音質は比較的悪くありませんが、この60年代
はまだレコーディングのトラック数が少なかった
時代なので、どうしても今の録音と較べると
少し差があります。
こうした時代の音楽を聴いている時が付く
のですが、録音技術は70年代ぐらいから
80年代ぐらいにかけて、飛躍的によくなる
んですね。
その差だけはどうしても埋める事は出来ま
せん。

全20曲で収録時間は約55分。

詳細なミュージシャンの表記はありません。

All tracks written by Justin Hinds

という記載があるのみです。

ただ表ジャケの内側にRandy Alkabuという人
のライナー・ノーツがあり、そこには「the
back-up musicians」として、

Drummond, Ranglin, Ska Sterling, McCook, Anderson, Brevett, Knibbs, Dizzy Moore, Drumbago, Baba Brooks, Jah Jerry

という名前がありました。

もう少し詳しく説明すると、トロンボーンの
Don Drummond、アルト・サックスのLester
'Ska' Sterling、テナー・サックスのTommy
McCook、ピアノのGladstone Anderson、
ベースのLloyd Brevett、ドラムのLloyd Knibbs、
トランペットのJohnny‘Dizzy Moore、ドラム
のArkland ‘Drumbago’ Parks、トランペット
のOswald‘Baba’Brooks、ギターのJerome
'Jah Jerry' Haynesというメンバーなどが、
バックを担当しているようです。
このメンバーを見ればスカに詳しい人なら
解るでしょうが、伝説のスカ・バンドとして
知られるThe Skatalitesのメンバーの人達
です。

アーティスト特集 Skatalites (スカタライツ)

当時のジャマイカの最高のバック・ミュージ
シャンが、彼らの歌を支えています。

さて今回のアルバムですが、これが廉価で
手に入れたアルバムとは思えないほど充実
した内容で、当時のスカの熱い空気が伝わっ
て来るようなアルバムです。
やはりもっとも魅力的なのはJustin Hinds
のまろやかな歌声です。
スカ→ロックステディ→レゲエとどの時代の
歌でも、すべて自分の色に塗り替えてしまう
魅力的な声の持ち主だったんですね。
いとこのHorace Andyがデビューした時には、
すでに人気シンガーだったというのが頷ける
実力の持ち主なんですね。
彼が歌うとスカという音楽が、さらに魅力的
な音楽に聴こえます。
バックのThe Skatalitesのメンバーの演奏に、
まったく負けていなんですね。

このJustin Hindsはディスコグラフィーなど
を見ても比較的寡作の人ですが、その実力は
いとこの国民的歌手Horace Andyと較べても
遜色のない実力の持ち主だと思います。
その実力が堪能できる今回のアルバムは、
なかなか悪くないアルバムだと思います。

1曲目は「Carry Go Bring Come (Ska
Version)」です。
彼らのデビュー曲であり最大のヒット曲
です。
バックのホーンを中心とした演奏と、Justin
Hindsのマッタリとした味わい深いヴォーカル
がとても魅力的な曲です。

Justin Hinds And The Dominoes - Carry Go Bring Come (Ska Version)


2曲目は「Over The River」です。
元気の良いホーンのメロディに乗せた軽快な
ヴォーカルの曲です。
このスカの時代らしい熱い空気感が魅力。

3曲目は「Corner Stone」です。
こちらもいかにもスカ!といった、華々しい
ホーン・セクションのメロディに乗せた曲
です。

Justin Hinds & the Dominoes - Corner Stone


4曲目は「Mother Banner」です。
こちらも心地良いスカのリズムに乗せたホーン
と、Justin Hindsとコーラスの織りなすコンビ
ネーションが見事な曲です。
サックス・ソロなども入った、この時代なら
ではの世界があります。

Justin Hinds Mother Banner


5曲目は「Rub Up Push Up」です。
こちらはJustin Hindsのヴォーカルと
The Dominoesのコーラスが前面に出た曲で、
いかにもこの時代らしい賑やかなホーンの
演奏が楽しい曲です。

Rub Up Push Up Justin Hinds


6曲目は「Try Me」です。
The Wailersの「Cry To Me」に似たメロディ
の曲です。
ピアノのメロディからホーンにヴォーカルと、
徐々に盛り上がって行く曲です。
濃厚なJustin Hindsのヴォーカルとコーラス・
ワークが良い味を出しています。

Justin Hinds & The Dominoes - Try Me.wmv


7曲目は「Teach The Youth」です。
こちらは明るいホーンのメロディに、Justin
Hindsの個性的なヴぉ―ラスとコーラス・
ワークがうまく絡んだ曲です。

8曲目は「The Higher The Monkey Climbs」
です。
楽し気なホーンとギターのリズムに、Justin
Hindsの悪の強いヴォーカルにコーラス・
ワーク、スカの時代らしい空気感がいっぱい
の曲です。

9曲目は「Fight For The Rights」です。
このJustin Hindsは早くからラスタファリズム
について、歌った人として知られています。
このタイトルもそうした匂いを感じさせます。
ホーンのメロディに乗せた、コーラス・ワーク
も魅力的な曲です。

justin hinds & dominos - fight for your right - dutchess records 1964


10曲目は「Here I Stand」です。
軽快なスカのリズムに乗せた、Justin Hindsの
ヴォーカルにThe Dominoesのコーラス・ワーク、
彼らの世界を感じる曲です。

Trojan Music - Justin Hinds & The Dominoes - Here I Stand


11曲目は「Save A Bread」です。
こちらはギターのメロディに乗せた曲です。
Justin Hindsのヴォーカルに答えるような
コーラス・ワーク、独特の世界が楽しい1曲。
このあたりから曲がロックステディぽくなり
ます。

Justin Hinds & the Dominoes - Save a Bread


12曲目は「Carry Go Bring Come (Rocksteady
Version)」です。
こちらは「Carry Go Bring Come」のロック
ステディ・ヴァージョンです。
スカ・ヴァージョンに較べて、明らかに曲が
スローなのが印象的。

Justin Hinds - Carry Go Bring Come - (Rock Steady Version)


13曲目は「Fight Too Much」です。
こちらはロックステディぽいギターと、
ホーンに乗せた曲です。

14曲目は「Once A Man」です。
こちらもロックステディっぽい刻むような
ギターに乗せた曲です。
まったりとした味わいのヴォーカルとギター
が、最高に心地良いグルーヴ感を醸し出して
います。

justin hinds - once a man twice a child - treasure isle records rocksteady


15曲目は「You Should Have Known Better」
です。
こちらはフルートのイントロから始まる
ちょっと面白い曲です。

16曲目は「Drink Milk」です。
軽快なリズムに乗せた楽しいヴォーカルの曲
です。
このあたりはスカともロックステディとも
言い難いリズミカルな曲です。

17曲目は「Everywhere I Go (Travel With
Love)」です。
明るいメロディにJustin Hindsの個性的な
ヴォーカルが強く印象に残る曲です。

Justin Hinds - Travel With Love (Everywhere I Go)


18曲目は「Botheration」です。
こちらも元気の良いリズムに、特徴的なJustin
Hindsのヴォーカルが良い味を出している曲
です。

19曲目は「Mighty Redeemer」です。
こちらはギターのメロディに、ソフトなJustin
Hindsのヴォーカルが魅力的な曲です。

20曲目は「Sinners」です。
こちらはヴァイオリンのメロディも入った
ソフトな演奏に、Justin Hindsのシッカリした
ヴォーカルが映える曲です。

Justin Hinds & The Dominoes - Sinners


ざっと追いかけて来ましたが、やはりこの
アルバムを1枚通して聴いてもJustin Hinds
のまろやかで個性的なヴォーカルはすごく
魅力的です。
思わず廉価で手に入ったアルバムでしたが、
この歌声はやはり多くの人に聴いてもらい
たいジャマイカの貴重な音楽財産だと思い
ます。

聴けば解る…それはとても単純な事であり
ながら、成すには並外れた実力を要する事
です。
それを軽々と成しているように見えるこの
Justin Hindsというジャマイカの音楽史に
名前を刻んでいるシンガーは、やはり
「特別な人」なんだと思います。
知られている名前以上に、彼は素晴らしい
シンガーだと思います。

このJustin Hinds & The Dominoesという
アーティストは、名前に捉われずにレゲエ
という音楽を愛する「心」で聴いて欲しい
アーティストです。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Justin Hinds & The Dominoes
○アルバム: Ska Uprising
○レーベル: Trojan Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1993

○Justin Hinds & The Dominoes「Ska Uprising」曲目
1. Carry Go Bring Come (Ska Version)
2. Over The River
3. Corner Stone
4. Mother Banner
5. Rub Up Push Up
6. Try Me
7. Teach The Youth
8. The Higher The Monkey Climbs
9. Fight For The Rights
10. Here I Stand
11. Save A Bread
12. Carry Go Bring Come (Rocksteady Version)
13. Fight Too Much
14. Once A Man
15. You Should Have Known Better
16. Drink Milk
17. Everywhere I Go (Travel With Love)
18. Botheration
19. Mighty Redeemer
20. Sinners