今回はJosey Walesのアルバム

josey_wales_02a

「How Yu Mouth Tan So」です。

Josey Walesは80年代から活躍するダンス
ホール・レゲエのディージェイです。
U Royのサウンド・システムKing Stur Guv Hi Fi
(キング・スター・ガフ・ハイ・ファイ)で、
盟友のCharlie ChaplinやBrigadier Jerryなど
と、当時流行り始めたダンスホール・レゲエを
盛り上げたディージェイの一人として知られて
います。
U Roy直系のディージェイとして、当時人気の
絶頂にあったYellowmanと人気を二分するほど
の実力者が彼だったんですね。

アーティスト特集 Josey Wales (ジョジー・ウェールズ)

yellowman_01a
Yellowman Versus Josey Wales ‎– Two Giants Clash (1984)

今回のアルバムは1990年にジャマイカの
レーベルDigital-Bからリリースされた彼の
ソロ・アルバムです。
80年代初めのアーリー・ダンスホールの
時代からアルバムをリリースするように
なったJosey Walesですが、80年代半ばに
起こったデジタルのダンスホール・レゲエ
「コンピューター・ライズド」の流れの中
でも生き残ったようで、今回のアルバムでも
その余裕のあるトースティングを披露して
います。

手に入れたのはDigital-Bからリリースされて
いるLPでした。
ネットのDiscogsで調べた限りでは、この
アルバムはLPとカセットしか載っておらず、
もしかしたらCDは出ていないのかもしれ
ません。

一応レゲエレコード・コムで見つけて、新盤
として購入したのですが、この90年の
アルバムのせいかかなり汚れていてジャケット
の糊付けも雑なアルバムです。
取りに行ったレゲエレコード・コムの運営する
新宿のレゲエ・ショップDub Storeの店員の方
に「ジャマイカ盤なので…」とかなりすまな
そうに言われました(笑)。

この時代のジャマイカ盤は、新盤でもかなり
汚れたジャケットのものも多いです。
生産してからかなり時間が経っている事と、
日本のように隅々まで綺麗にという考えが
あまりなく、レコード盤が傷つかない為の
カヴァーという思考なんですね。
その辺は日本人とジャマイカ人の考えの差
があるかもしれません。
そうした汚れが気になる方は、あまり
ジャマイカ盤は買わない方が良いかもしれ
ません。

ただ着いていた汚れも湿らせたタオルで軽く
拭いてあげれば、多少は綺麗になりました。
そういうアルバムでもあまり無い「1点もの」
と思えば少し愛着が湧くものです。
そうしたジャマイカらしい「雑さ」を楽しむ
のも、こうしたアルバムを集める時に必要な
事なのかもしれません。

Side 1が5曲、Side 2が5曲の全10曲。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Produced by: Digital Bobby
Recorded at: King Jammy's, Music Works, Black Scorpio Studios
Mixed at: King Jammy's, Music Works, Black Scorpio Studios
Mixing Engineers: Digital Bobby, Sil
Musicians: Steely & Clevie
Design & Art: Studio Case

となっています。

プロデュースはDigital Bobby(Bobby Digital)
で、録音とミックスはKing Jammy'sとMusic
Works、Black Scorpio Studiosで行われ、
ミキシング・エンジニアはDigital BobbyとSil、
演奏はSteely & Clevieという布陣です。

このデジタルの時代になるとバックも簡潔に
なり、それまでも時代と様変わりしている
印象です。
それが良いか悪いかは別にして、Steely &
Clevieのようにデジタル機材に強い人が、
この後のジャマイカの音楽界で活躍するん
ですね。

さて今回のアルバムですが、私は時々レゲエ
レコード・コムなどで音楽を試聴してアルバム
を探す事がありますが、このアルバムも
80年代後半のダンスホールのアルバムを
試聴していて、気になったアルバムだった
ので買いました。
アルバムを検索して1曲ずつでも聴いて行く
のはけっこう時間がかかるんですが、それを
繰り返していたら80年代後半と90年代の
デジタル以降のアーティストの中で自然に
浮かび上がって来たのがこのJosey Walesと
いう人だったんですね。
なんかこの人のトースティングは、すごく
生き生きしている気がしました。
それが今回このアルバムを、購入した理由
です。

ちなみにこの人のアルバムはもう1枚、
1988年の「Special Prayer」という
アルバムも購入しました。

josey_wales_03a
Josey Wales ‎– Special Prayer (1988)

こちらもJammysのデジタル・サウンドに
乗せた、彼らしいトースティングが楽しめ
ます。

こうしたアルバムを聴いて思ったのは、この
デジタルの時代のJosey Walesは時代の変革の
波にも負けず、実に生き生きと自分の世界を
作り上げているという事です。
やはりこの時代の聴くべきアーティストの
ひとりなんじゃないかと思います。

Side 1の1曲目は「Every Man Turn Ginal」
です。
心地良いドラミングに乗せたJosey Walesの
ちょっと歌っているような、シング・ジェイ・
スタイルのトースティングが冴える曲です。
ポジティヴなエネルギーを感じる1曲。

2曲目は表題曲の「How You Mouth Tan So」
です。
こちらもデジタルな子落ち良いドラミングに
乗せた、Josey Walesのトースティングが
楽しい曲です。
YellowmanやPapa Son、Shabba Ranksなどの
仲間のディージェイの名前が出て来るのも
面白いところ。
パワフルなトースティングに心が浮き立ち
ます。

3曲目は「Dance Hall Pest」です。
こちらも心地良いこの時代らしいリズムに
乗せたトースティングです。

4曲目は「Bam Bam」です。
リディムはSly & Robbieで知られる「Taxi」
です。
ユッタリしたリズムに、Josey Walesのユーモア
さえ感じるノビノビとしたトースティングの曲
です。

リズム特集 Taxi (タクシー)

5曲目は「Rude Boy Rock」です。
軽快なドラミングを中心としたリズムに、舌も
滑らかなJosey Walesのロックンロールな
トースティング(笑)。
楽しい空気感が満載な曲です。

Side 2の1曲目は「Learn Fi Write」です。
甲高いシンセのメロディに心地良いデジタル
なドラミングのリズム。
それに乗せたJosey Walesのトースティングが
生き生きとした曲です。

2曲目は「Bandolo」です。
こちらもデジタルなドラミングに乗せた、
Josey Walesの余裕のあるトースティングが
心地良い曲です。
自然体で力みのない流れるようなトース
ティングが魅力。

3曲目は「Soft Inna Bed」です。
Riddimguideで調べたら「General」とShabba
Ranksの「Wicked In Bed」という2つの
リディムが出て来ました。
どうもこの2つは似たリディムのようです。
Shabba Ranksの「Wicked In Bed」もバックは
Steely & Clevieらしいので、使われているの
はその曲か?
軽快なトースティングが楽しめる曲です。

Soft inna bed - Josey Wales


リズム特集 General (ジェネラル)

4曲目は「Spirit」です。
リディムはGregory Peckの「Poco Man Jam」
です。
この時代らしい歯切れの良いリズムに、Josey
Walesらしいノリノリのトースティングが乗った
曲です。

5曲目は「Born To Be Loved」です。
リディムはAlton Ellisのバックを務めていた
コーラス・グループRighteous Flamesの
「I Was Born To Be Loved」です。
こちらはストリングスを使った1曲。
どんな演奏も乗りこなす、Josey Walesのスキル
の高さがよく解る曲です。
軽快なトースティングはやはり魅力的。

ざっと追いかけて来ましたが、この80年代
後半から90年代だからこそ聴ける「時代の
音」がここにはあります。
その陽性なノリはやはり魅力的。
このデジタルの変革の時代をその力強いトース
ティングで乗り切った、Josey Walesという人の
魅力が詰まったアルバムだと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Josey Wales
○アルバム: How Yu Mouth Tan So
○レーベル: Digital-B
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1990

○Josey Wales「How Yu Mouth Tan So」曲目
Side 1
1. Every Man Turn Ginal
2. How You Mouth Tan So
3. Dance Hall Pest
4. Bam Bam
5. Rude Boy Rock
Side 2
1. Learn Fi Write
2. Bandolo
3. Soft Inna Bed
4. Spirit
5. Born To Be Loved