今回はAfrican Brothers, King Tubbyのアルバム

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「The African Brothers Meet King Tubby In Dub」です。

African Brothersは70年代のルーツ・
レゲエの時代に活躍したコーラス・
グループです。
Tony TuffとSugar Minott、Derrick Howard
の3人組で、3人ともがリード・ヴォーカル
が取れるスタイルで人気を博したグループ
です。

The African Brothers - Wikipedia

もう一人の主役King Tubbyについても書いて
おきます。

King Tubbyはレゲエの歴史に偉大な功績を
残したダブのミキサーであり、プロデューサー
である人です。

ダブという音楽は70年代のルーツ・レゲエ
の時代に発明された音楽形態で、元の曲の
カラオケにエコーやリバーブなどのエフェクト
などをかけて全く別の曲に作り変えてしまう
手法を言います。

ダブ - Wikipedia

誰が一番初めにダブを作ったのかは諸説あり
ハッキリとは解っていませんが、プロデュー
サーのBunny LeeはKing Tubbyが偶然の失敗
からダブを発明したという説を唱えています。
73年にLee Perryの「Black Board Jungle
Dub」やRandy'sのImpact All Starsによる
「Java Java Java Java」など最初期のダブの
アルバムが一斉に発売された事により一般に
広く認知されるようになり、ひとつのジャンル
として確立した音楽形態なんですね。
そしてダブという音楽形態を完成させたのが
このKing Tubbyだと言われています。

King Tubbyは70年代に自身のスタジオKing
Tubby'sで、プロデューサーの依頼を受けて
大量のダブを作っているんですね。
70年代はこうしたダブが大量に作られた時代
で、それを支えたのが元のアルバムをリミックス
し直す事に長けていた、このKing Tubby'sと
いうスタジオだったんですね。
彼はこの70年代にPrince JammyやScientist
という多くの助手を育て、早くからスタジオで
ダブのリミックスを請け負うという作成方法を
とっています。

そうしてレゲエのダブで活躍したKing Tubby
ですが、89年に何者かに自宅前で銃殺されて
亡くなっています。

アーティスト特集 King Tubby (キング・タビー)

今回のアルバムは2005年にアメリカの
Nature Soundsというレーベルからリリース
された、African Brothersの音源をKing Tubby
がミックスしたダブを集めたコンピュレー
ション・アルバムです。

African Brothersは名シンガーのSugar Minott
やTony Tuffが在籍したグループとして知られ
ていますが、Studio Oneなどに曲を残している
ものの活躍していた当時にはアルバムを残して
いないんですね。
2001年に彼らのシングルルの音源を集めた
アルバム「Want Some Freedom」がリリース
されて改めて注目されたグループです。

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African Brothers ‎– Want Some Freedom (2001)

その彼らの貴重なダブを集めたのが、今回の
アルバムなんですね。

ひとつ残念な事を書いておくと、今回の
アルバムはちょっと音質が悪いです。
曲によって差がありますが、気になる
パリパリ音がかなり入る曲があります。
古い音源なので致し方ない側面はありますが、
出来ればゴミ取りをした欲しかったところ
です。

全12曲で収録時間は約30分。

詳細なミュージシャンの表記はありません。

The Original African Brothers are Eric Bubbles, Sugar Minott & Tony Tuff

という記述があります。

さて今回のアルバムですが、おそらくは
シングルのB面などのダブを寄せ集めてきた
アルバムで、アルバムとしてのまとまりも
悪く、しかも音質にも難のあるアルバムなん
ですね(苦笑)。
ただそれでもどこか捨てがたいものがあるのが
今回のアルバムで、70年代のルーツ・レゲエ
の好きな人間としては、ついつい聴いてしまう
アルバムです(笑)。

なぜ聴いてしまうのか?といえば、この
アルバムにはこの70年代のルーツ・レゲエ
でなければ聴けないエッセンスが詰まって
いるからなんですね。
この70年代というのはおそらくジャマイカ
の音楽の中でもすごく特殊な時代で、ダブ
やディージェイなどの実験的な音楽が次々に
誕生するようなパワフルでエネルギーに満ちた
時代だったんですね。
そのエネルギーの強さが今回のアルバムから
も感じられます。

曲が急にポツッと終わってしまったり、気に
なるパリパリ音が入っていたりと、かなり
荒い作りのアルバムなんですが、それすら
も当時の熱い荒々しい空気の延長のように
感じられて…悪くないなぁなんて思ってしま
うんですね(笑)。

1曲目は「Original Dub」です。
African Brothersの「Lead Us Father」の
ダブ・ヴァージョンです。
勢いのあるホーンが印象的な曲です。

The African Brothers meet King Tubby - Original Dub


2曲目は「Warlord Dub」です。
勢いのあるホーンで始まるダブですが、遠く
で聴こえる歌声のように入るのはDennis Brown
などで知られる「Man Next Door」のリディム
です。
なかなか凝った面白い曲ですが、パリパリ音
といきなりプツッと終わってしまうのが惜し
まれます。

African Brothers Meet King Tubby In Dub - Warlord Dub


3曲目は「Shock Dem Dub」です。
こちらはいきなり曲の途中のようなベース
から始まる曲です。
ベースを軸とした勢いのあるダブです。

4曲目は「Awesome Dub」です。
African Brothersの「A Still Tongue」の
ダブ・ヴァージョンです。
こちらもズンと来るベースを軸に、ヴォーカル
やピアノなどが合間よく入るダブ。

5曲目は「Dub On Fire」です。
African Brothersの「Torturing」のダブ・
ヴァージョンです。
印象的なギターの音色から、ベースを中心と
したダブです。

African Brothers & King Tubby - Dub On Fire


6曲目は「Amanda Dub」です。
African Brothersの「Want Some Freedom」の
ダブ・ヴァージョンです。
ギターとヴォーカルのダブワイズがうまく
キマった1曲。

The African Brothers meet King Tubby - Amanda Dub


7曲目は「Party Dub」です。
African Brothersの「Party Night」の
ダブ・ヴァージョンです。
こちらはギターとホーンのイントロから、
ベースを軸に合間よく入るオルガンやホーン
が心地良いダブです。

8曲目は「Issachar Dub」です。
African Brothersの「Righteous Kingdom」の
ダブ・ヴァージョンです。
こちらは唐突な始まりから、ベースを軸に
フルートのメロディを中心としたダブです。

African Brothers - Issachar Dub


9曲目は「Dick Head Dub」です。
African Brothersの「Hold Tight」のダブ・
ヴァージョンです。
印象的なギターとピアノのメロディで綴られる
ダブです。

10曲目は「Unity Dub」です。
明るいギターのメロディからホーンと、
楽しい空気感のあるダブです。

11曲目は「Teach Them Dub」です。
African Brothersの「Practice What You
Preach」のダブ・ヴァージョンです。
刻むようなギターとベースのリズムに乗せた
ダブです。

12曲目は「Bonus Dub」です。
タイトル通り47秒と短い、ボーナスの
ようなダブです。

ざっと追いかけて来ましたが、書いたように
音質が悪かったりダブの編集が荒かったりと
欠点のあるアルバムなんですが、それでも
魅力的に感じてしまうところのある不思議な
アルバムなんですね。
それはもう二度とは戻ってこない、ルーツと
いう時代の匂いが濃厚にするアルバムだから
なのかもしれません。
その時間はもう二度とは戻って来ませんが、
このアルバムに確かに刻まれています。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: African Brothers, King Tubby
○アルバム: The African Brothers Meet King Tubby In Dub
○レーベル: Nature Sounds
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2005

○African Brothers, King Tubby「The African Brothers
Meet King Tubby In Dub」曲目
1. Original Dub
2. Warlord Dub
3. Shock Dem Dub
4. Awesome Dub
5. Dub On Fire
6. Amanda Dub
7. Party Dub
8. Issachar Dub
9. Dick Head Dub
10. Unity Dub
11. Teach Them Dub
12. Bonus Dub