今回はAugustus Pabloのアルバム

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「In Fine Style: Original Rockers 7" and 12"
Selection 1973-1979」です。

Augustus Pabloは70年代のルーツ・レゲエの
時代から活躍したメロディカ奏者、キーボード
奏者、プロデューサーとして知られている人
です。
それまで練習用の楽器ぐらいにしか思われて
いなかったメロディカを駆使して、レゲエに
それまでに無い新しい音楽というイメージを
プラスしたのがこの人なんですね。
数々のセッションに参加し、多くのインストや
ダブ・アルバムを残し、Hugh Mundellをはじめ
とする若手のミュージシャンを育てた彼でした
が、1999年に筋無力症のために亡くなって
います。

アーティスト特集 Augustus Pablo (オーガスタス・パブロ)

今回のアルバムは2003年にUKのレゲエ・
リイシュー・レーベルPressure Soundsから
リリースされたアルバムです。
副題に「Original Rockers 7" and 12"
Selection 1973-1979」とあるように、
Augustus Pabloと彼の運営するRockers
レーベルの1973年から79年にリリース
された7インチと12インチのシングル盤の
曲を集めたコンピュレーション・アルバムの
ようです。

全17曲で収録時間は約56分。
最後の2曲はCDボーナス・トラックです。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Musicians:
Bass: Aston 'Family Man' Barrett, Robbie Shakespeare, Leroy Sibbles
Drums: Lloyd 'Tin Leg' Adams, Carlton 'Carlie' Barrettt,
Carlton 'Santa' Davis, Leroy 'Horse Mouth' Wallace
Guitar: Earl 'Chinna' Smith
Trumpet: Bobby Ellis
Saxophone: Rochard 'Dirty Harry' Hall, Herman Marquis
Trombone: Vincent 'Don D Junior' Gordon
Melodica, Piano, Organ, Clavinet, Xylophone: Augustus Pablo

Deejays: Hugh Mundell as 'Jah Levi', Jah Iny

Recorded, Mixedand Engineered by:
Errol Thompson at Randy's Studio 17
Osbourne 'King Tubby' Ruddock, Lloyd 'Prince Jammy' James
and Phillip 'Prince Phillip' Smart at King Tubby's Studio
Karl Pitterson at Dynamic Sounds

Produced and arranged by: Augustus Pablo

Album co-ordinated by: Pete Holdworth

Artwork & Design by: Jeb Loy Nicholls
Photography by: Beth Lesser, Karen Scott, Peter Simon

となっています。

ベースに'Family Man' BarrettにRobbie、
The Heptonesのリード・ヴォーカルとしても
活躍したLeroy Sibbles、ドラムにCarlton
Barretttに'Santa' Davis、Horse Mouth、
ギターにChinna、トランペットにBobby Ellis、
サックスにDirty HarryにHerman Marquis、
トロンボーンにVincent 'Don D Junior' Gordon
というこの時代に活躍していたミュージシャン
が集まった布陣です。

ディージェイとしてHugh Mundellの別名
Jah LeviとJah Inyの名前があります。
夭折の天才シンガーとして知られるHugh
Mundellですが、ディージェイとして活躍
する時はJah Leviと名乗っていたんですね。

Augustus Pablo本人もメロディカにピアノ、
オルガン、クラヴィネットにシロフォンと
多才に演奏しています。

クラビネット - Wikipedia

シロフォン - Wikipedia

メロディカのイメージの強いAugustus Pablo
ですが、初期にはオルガンやピアノの他に
電気キーボード楽器のクラヴィネットや、
木琴楽器のシロフォンなどまで演奏している
んですね。
それが徐々にクラヴィネットやシロフォンは
使わなくなりますが、その後はシンセを演奏
したりするようになり、意外とそうした楽器
に対する貪欲さがある人なんですね。

今回はシングル盤を集めたアルバムで期間も
長いですが、スタジオも多くエンジニアも多く
の人が関わっています。
ざっと列挙するとErrol Thompson(Randy's
Studio 17)、King TubbyにPrince Jammyと
Phillip Smart(King Tubby's)、Karl
Pitterson(Dynamic Sounds)といった人達
とスタジオです。

さて今回のアルバムですが、やはりこの
Augustus Pabloの活躍で一番華々しかった
のは、70年代のルーツ・レゲエの時代の
活躍なんですね。
その若く精力的なエネルギーは、やはり人を
魅了するものがあります。
一見ソフトな音楽を作っているイメージの
強い彼ですが、この70年代のルーツの時代
はサウンドもトンがっていて、攻撃的な側面
があります。

そして彼の音楽はとてもイメージが豊かなん
ですね。
西洋音楽にない非常にエモーショナルな独特
の奏法と、このイマジネーションの豊かさが
彼Augustus Pabloの最大の魅力ではないかと
思います。
個人的にも私は彼の音楽の大ファンですが、
彼の音楽はいくら聞いても飽きる事が無いん
ですね。
それどころか聴けば聴くほど新しい発見が
ある…彼の音楽はそれほどイマジネーション
に溢れています。
イマジネーションとは何か?
グッド・ミュージックとは何か?
彼はそれが解っていた人なのではないで
しょうか。

1~4曲目までは同じ「Eastman Sound」の
リディムが使われています。

1曲目はAugustus Pabloの「Far East」です。
Augustus Pabloの音楽は「ファー・イースト・
サウンド」と言われますが、その代名詞とも
いえる1曲です。
直訳すれば「極東音楽」という事ですが、
ジャマイカ人の考える東洋的なイメージが
このAugustus Pabloの作りだした音楽なん
ですね。
彼らしいメロディカがすごく魅力的な曲です。

Augustus Pablo - Far East


2曲目はPablo All Starsの「Philip's
Showcase」です。
1曲目「Far East」のダブ・ヴァージョン
です。
メロディカに代わり、ズンと腹に響くベース
が主役の曲です。

3曲目はAugustus Pabloの「East Man Sound」
です。
こちらはPabloのクラヴィネットとメロディカ
(多重録音?)の競演のような曲です。
クラヴィネットにはクラビネットの面白さが
あり魅力的。

Augustus Pablo - East Man sound


4曲目はRockers All Starsの「Levi Dub」
です。
3曲目「East Man Sound」のダブのようで、
こちらはメロディカも入りますが、ホーンが
中心となっている印象。
2曲目の「Philip's Showcase」はベースが
中心のシンプルなダブという印象ですが、
こちらはより複雑な印象です。

5~7曲目までは「Up Warika Hill」とその
ダブ「Mountain View Dub」の(Version One)
と(Version Two)が並んでいます。

5曲目はAugustus Pabloの「Up Warika Hill」
です。
Augustus Pabloらしい寂寥感のあるメロディカ
の曲です。

6曲目はAugustus Pabloの「Mountain View
Dub (Version One)」です。
こちらはメロディカに被せるように入って
来る、Pabloの奏でるリリックなピアノが
魅力的なダブ。

7曲目はAugustus Pabloの「Mountain View
Dub (Version Two)」です。
こちらはメロディカを除いてピアノだけで
演奏したヴァージョン(ダブ)です。
よりスッキリとリリックなピアノが際立つ
印象です。

Augustus Pablo Mountain View Dub (Version 2) - Augustus Pablo


8曲目は表題曲ともいえるAugustus Pabloの
「Pablo In Fine Style」です。
ホッとする温かさを感じるような優しい
メロディカが印象的な曲です。
効果的なダブワイズもグッド。
メロディカという楽器の透明感をうまく演出
しています。

Augustus Pablo In Fine Style - Augustus Pablo


9曲目はRockers All Starsの「Raw Dub」
です。
8曲目「Pablo In Fine Style」のダブです。
メロディカも入りますが、ベースを中心と
したダブです。

10~12曲目まではHugh Mundellの曲
「Run Revolution A Come」のリディムを
使った曲が続きます。

10曲目はRockers All Starsの「Cool Shade
Dub」です。
ベースを中心にリリックなピアノが印象に残る
ダブです。

11曲目はAugustus Pabloの「Ras Menilik
Congo (Harp)」です。
こちらは重いベースのサウンドにリリカルな
メロディカ、さらには(Harp)と入っているので
ハープも使われた曲のようです。

Ras Menilik Congo (harp) - Augustus Pablo


12曲目はRockers All Starsの「Roots Dub」
です。
11曲目Augustus Pabloの「Ras Menilik
Congo (Harp)」がよりダブワイズした印象の
曲です。

13曲目はHugh Mundellのディージェイ名
Jah Leviの「False Rumour」です。
リディムはロックステディの時代のSound
Dimensionのヒット曲「Real Rock」。
シンガーの時と違って明るく力の抜けた
トースティングが印象的です。

Jah Levi - False Rumour


リズム特集 Real Rock (リアル・ロック)

14曲目はRockers All Starsの「Zambian
Style」です。
こちらは13曲目「False Rumour」のダブ
です。
Augustus Pabloのクラヴィネットが印象的。

15曲目はJah Inyの「Rockers Rock
(Version)」です。
ちょっと耳障りなクラヴィネットが良い味を
出しているダブです。
この時代のAugustus Pabloらしいトンがった
魅力がある1曲。

Augustus Pablo & Jah Iny - Rockers Rock (version)


最後の2曲はCDボーナス・トラックです。

16曲目はSynthesisの「Chock Full & Dub」
です。
Synthesisというグループはよく知りません
が、聴かれるサウンドは明らかにAugustus
Pabloのメロディカを中心とした魅力的な演奏
です。

Augustus pablo - Chock Full And Dub Synthesis 2003


17曲目はAugustus Pabloの「Kid Ralph」
です。
リディムはJackie Mittooの「Harder Shade
Of Black」。
デビュー当時からPabloが十八番にしている
リディムですが、必ず違うインスピレーション
を盛り込んでくるところに、このAugustus
Pabloという人の卓説した才能があります。

ざっと追いかけて来ましたが、どんな曲でも
必ず自分の色に染め、けっして人には作る事
の出来ない世界を構築しているところに、
このAugustus Pabloという人の他にない魅力
があります。
その大きな翼を広げているような彼のイメージ
の力は圧倒的で、聴く者を必ず魅了してしまう
んですね。

レゲエの中ででも特別な存在だったのが彼
Augustus Pabloの音楽だったんですね。
その素晴らしい音楽は、彼しか作る事が
出来ません。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Augustus Pablo
○アルバム: In Fine Style: Original Rockers 7" and 12" Selection 1973-1979
○レーベル: Pressure Sounds
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2003

○Augustus Pablo「In Fine Style: Original Rockers
7" and 12" Selection 1973-1979」曲目
1. Far East - Augustus Pablo
2. Philip's Showcase - Pablo All Stars
3. East Man Sound - Augustus Pablo
4. Levi Dub - Rockers All Stars
5. Up Warika Hill - Augustus Pablo
6. Mountain View Dub (Version One) - Augustus Pablo
7. Mountain View Dub (Version Two) - Augustus Pablo
8. Pablo In Fine Style - Augustus Pablo
9. Raw Dub - Rockers All Stars
10. Cool Shade Dub - Rockers All Stars
11. Ras Menilik Congo (Harp) - Augustus Pablo
12. Roots Dub - Rockers All Stars
13. False Rumour - Jah Levi
14. Zambian Style - Rockers All Stars
15. Rockers Rock (Version) - Jah Iny
(Bonus Tracks)
16. Chock Full & Dub - Synthesis
17. Kid Ralph - Augustus Pablo