今回はKiddus Iのアルバム

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「Inna De Yard」です。

Kiddus IはネットのDiscogsのプロフィールに
次のように書かれています。

Jamaican reggae musician and vocalist, born December 1944 in Port Maria.
From 1971 to 1978 member of Ras Michael & The Sons Of Negus,
playing funde drum.
Starting recording in 1972, Kiddus I ran his own "Shepard" label,
recording a few songs at Lee Perry's Black Ark studio.
Famous for his appearance in the film "Rockers" (1978),
where he performed his song "Graduation in Zion".

「ジャマイカのレゲエ・ミュージシャンで
ヴォーカリスト、1944年12月Port Maria
生まれ。
1971年から78までRas Michael & The
Sons Of Negusのメンバーとしてフンデ・
ドラムを演奏。
1972年に自身のレーベル「Shepard」を
立ち上げ、Lee PerryのBlack Arkスタジオで
2、3の曲を録音。
1978年の映画「Rockers」で、自身の曲
「Graduation in Zion」を披露した事で有名
である。」

だいたいこんな事が書かれています。

実際にこの人の履歴をDiscogsで調べてみると、
2007年に日本のDub Store Recordsから
「Graduation In Zion」というアルバムと、
今回のアルバム「Inna De Yard」の2枚の
アルバムが発売されるまで、まったくアルバム
の履歴が無い人なんですね。

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Kiddus I ‎– Graduation In Zion (2007)

70年代に数枚のシングルをリリースした
履歴があるのみの、かなりレアな存在の
ミュージシャンだった事が解ります。
要するにこの2007年頃までは、映画
「Rockers」での「Graduation in Zion」の
レコーディング・シーンが知られているだけの
知る人ぞ知るというかなりコアなアーティスト
だった人なんですね。

アーティスト特集 Kiddus I (キダス・アイ)

今回のアルバムは書いたように2007年に
Inna De Yardからリリースされたアルバム
です。
この「Inna De Yard」は自分の過去のヒット曲
を、ギタリストのEarl 'Chinna' Smithの自宅
でアコースティックで再演するというシリーズ
で、フランスのレーベルMakasoundが企画した
シリーズなんですね。
このの他にもEarl 'Chinna' Smith本人や
The Mighty Diamond、The CongosのCedric
'Congo' Mytonなどのアーティストが、過去の
名曲を再演しています。

そのシリーズの1枚に選ばれたのが、この年
までアルバムを1枚も出していなかった、
映画「ロッカーズ」のレコーディング・シーン
で知られていたKiddus Iだったんですね。
このアルバムと日本のDub Store Recordsから
リリースされた「Graduation In Zion」で、
この人は世界的に認知された事になります。

全10曲で収録時間は約61分。
CDの他にDVDも同梱されていて、そこには
Kiddus Iのインタビュー(11分25秒)と、
「Inna De Yard」の録音風景(40分16秒)
が収められています。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Recorded in Chinna's yard, Kingston 10, mid-august 2004,
by Clive 'Dub King' Geffrey & Earl Smith Jr.
execept 'Troubled Time (Winter Version)' recorded in december 2004

Produced by Earl 'Chinna' Smith
Arranged by E. Smith & F. Dowing
All songs published by Ascap except 'Where Are You Going'
published by Youth & Youth and Ascap
All songs written by F. Dowing except 'Where Are You Going'
written by E. Smith & F. Dowing
Executive Producer: Baghir for Soundicate
Mixed atBunny Lee Studio by Clive 'Dub King' Geffrey
Mastered at Dubwise Factory by Serial P
Coordination project: Winston McAnuff & Baghir
Liner notes, photos & films: Nicolas Maslowski
Artwork & DVD: Nicolas 'Kouakou' Mamet
Translation: Celeste Karlin

cover picture: Kiddus I on the left, Burchel on the right,
Kush McAnuff in the background

Musicians:
Guitars: Earl 'Chinna' Smith
Percussions: Jah Youth, Ken Bob, Emmanuel I, Earl Smith, Burchel, Ras Michael Junior
Faraway drums: Kush McAnuff
Knife on 'Where Are You Going': Ken Bob

となっています。

録音は「Troubled Time (Winter Version)」の
1曲を除いて、2004年の8月半ばに
Earl 'Chinna' Smithの自宅の庭で行われ、
残りの「Troubled Time (Winter Version)」も
その年の12月に録音されています。

楽器はChinnaのギターを除くとすべてパーカッ
ションという、シンプルな構成です。
「Knife on 'Where Are You Going': Ken Bob」
となっていますが、2曲目「Where Are You
Going」には金属のチャリンチャリンという音
が入っていて、それがどうやらナイフを投げる
音のようです。(Ken Bobが担当。)

さて今回のアルバムですが、この「Inna De
Yard」の魅力は、なんといっても昔のヒット
曲がアコースティックで再演されていると
いうところです。
電子楽器を使わないとある部分単調になる
面はありますが、自然な音色はダイレクトに
人の心を揺さぶる効果があります。
ある意味聴き慣れた歌手の新しい一面を
発見したシリーズと言えるでしょう。

そうした「Inna De Yard」シリーズで異例の
アルバム・デビューをしたKiddus Iですが、
正直なところ知っている曲はほとんどありま
せんが、もともと歌手として実力のある
この人の歌声は本物で、とても魅力的です。
Chinnaのギターとパーカッションのみという
シンプルな構成も、むしろこの人の歌声に
集中させる効果があり、うまく魅力を引き
出しています。

1曲目は「A Prayer」です。
語りから始まってアコースティック・ギター、
感情を込めた歌声と、徐々に物語に入って行く
ようなドッシリと落ち着いた曲です。

Kiddus I - A Prayer - ReggaeRiddimBox


2曲目は「Where Are You Going」です。
こちらも語りから入り、心に沁み込むような
歌声にアコースティック・ギター…。
チャリチャリした「ナイフ」の音も印象的な、
「Inna De Yard」というシリーズの魅力が
よく出た曲です。

Kiddus I - Where Are You Going - ReggaeRiddimBox


3曲目は「No Salvation Until」です。
印象的な刻むようなギターのメロディに
乗せて、Kiddus Iの男らしい歌声が魅力的
な曲です。

4曲目は「Economical Woes」です。
越智らも刻むようなアコースティックの
メロディに乗せて、語るように歌うKiddus I
のヴォーカルが魅力的な曲です。

5曲目は「The World Shoud Be A Better
Place (for Children To Play)」です。
ちょっと長めのアコースティック・ギター
のイントロから、心地良さそうに歌う
Kiddus Iのヴォーカル…。
少ない楽器で作る「豊かな世界」…。

Kiddus I - The World Should Be a Better Place (for Children to Play) - ReggaeRiddimBox


6曲目は「Reach Their Peaks」です。
ちょっと悲し気なアコースティックの
メロディから、感情を込めたヴォーカルが
心揺さぶる曲です。

7曲目は「Better Equity」です。
こちらは歌声をかぶせるような録音をして
いるのか…ちょっとダブワイズしているような
不思議な空気感のある面白い曲です。

Kiddus I - Better Equity - ReggaeRiddimBox


8曲目は「Troubled Time (Summer Version)」
です。
この曲は10曲目にも収められている曲で、
こちらは初めに真夏に録られた(Summer
Version)です。
較べるとこちらの方がシンプルで、ギターと
ヴォーカルのみの構成。

9曲目は「Take Good Care Of Me」です。
こちらはパーカッションのイントロから
鮮やかアコースティック・ギター、ヴォーカル
へと、徐々に盛り上がって行く曲です。

10曲目は「Troubled Time (Winter Version)」
です。
8曲目と同じ曲の(Winter Version)です。
こちらの方がよりリラックスした雰囲気があり、
パーカッションも入り賑やかでアットホームな
印象の曲になっています。
今回のアルバムは長い曲が多いですが、この
アルバムでも最長の10分45秒にも及ぶ曲
です。

Kiddus I - Troubled Time - Winter Version - ReggaeRiddimBox


さらにこのアルバムにはDVDが付属して
います。
DVDには「Interview Kiddus I」として
Kiddus Iに対するインタビュー映像(11分
25秒)と、「Acoustic Session Inna De
Yard」としてChinna Smithの自宅での
セッションの模様が収められた映像(40分
16秒)が付属しています。
こうしたリアルなレコーディング風景が見れる
のは、とても魅力的です。

Kiddus I - Inna De Yard (2004)


ざっと追いかけて来ましたが、それまで
シングル盤のみのリリースだったKiddus I
という人ですが、それだけ年月が経ってから
の初アルバムだったのにもかかわらず素晴ら
しい歌声を聴かせ一流の歌手だった事に、
多くの人は襲撃を受けたんじゃないかと思い
ます。

実は若いから素晴らしい事が出来るという訳
ではなく、若い時の方がエネルギーがあり
情熱があるから素晴らしい事が出来る確立が
高いという事であって、若い頃からの情熱を
失わずに努力すれば、素晴らしい事は歳を
取っても出来るんですね。
このKiddus Iという人の素晴らしさは、
そうした情熱を失わずに生きた人が、歳を
重ねても華開けるという事を証明した事です。
そのレゲエに対する情熱は、本物と言って
良いでしょう。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Kiddus I
○アルバム: Inna De Yard
○レーベル: Inna De Yard
○フォーマット: CD, DVD
○オリジナル・アルバム制作年: 2007

○Kiddus I「Inna De Yard」曲目
CD Audio:
1. A Prayer
2. Where Are You Going
3. No Salvation Until
4. Economical Woes
5. The World Shoud Be A Better Place (for Children To Play)
6. Reach Their Peaks
7. Better Equity
8. Troubled Time (Summer Version)
9. Take Good Care Of Me
10. Troubled Time (Winter Version)
DVD Bonus:
1. Interview Kiddus I
2. Acoustic Session Inna De Yard