今回はBim Shermanのアルバム

bim_sherman_06a

「The Need To Live」です。

Bim Shermanは70年代の後半ぐらいから活躍
するシンガーで、プロデューサーである人です。
彼はUKのパンクレゲエの中間ぐらいの
レーベル、白人のAdrian Sherwoodの主催する
On U Soundsでも活躍したシンガーとしてよく
知られています。
2000年にロンドンで50歳という若さで
亡くなっています。

Bim Sherman - Wikipedia

今回のアルバムは2002年にドイツの
Century Recordsというレーベルからリリース
されたアルバムです。
ネットの販売サイトなどの情報によると、Bim
Shermanの「80年前後から95年まで
エイドリアン・シャーウッドのOn-U Soundに
残した音源をまとめたベスト盤」という事
らしいです。

Bim ShermanはこのOn-U Soundに82年に
「Across The Red Sea」、96年に「Miracle」
という2枚のソロ・アルバムを残している
ほか、New Age Steppersやヴォーカル・
ユニットのSingers & Playersなどでも
ヴォーカルをとっています。

bim_sherman_05a
Bim Sherman ‎– Across The Red Sea (1982)

そうしたOn-U Soundの活躍をまとめたのが、
今回のアルバムという事らしいです。
「Devious Woman And Man」や「Man Next
Door」など彼のこの時代の代表曲が集められ
たアルバムです。

全14曲で収録時間は約52分。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Musicians:
Rhythm Guitar: Bingy Bunny, Skip McDonald
Lead Guitar: Dwight Pinkney, Skip McDonald, Gary Lucas [tracks 1]
Bass: Flabba Holt, Lizard Logan, Doug Wimbish
Drums: Style Scott
Percussion: Bonjo I, Style Scott
Piano, Keyboards: Steely Johnson, Kishi Yamamoto,
Carlton 'Bubblers' Ogilvie, Skip McDonald
Lead Vocals: Bim Sherman
Vocals Harmonies, Backing Vocals: Akabu, Skip McDonald, Bim Sherman
Background and additional Voices Track 1: Shara Nelson, Lizard Logan
All instruments by the Tierra Sur Band on Track 6

Produced by:
Adrian Sherwood alongside Bim Sherman
additional Production by:
Style Scott [Track 1,2,4]
Skip McDonald [Track 3,5,10,11,14]

All tracks mixed by Adrian Sherwood

Recorded in London at On-U Sound, Easy Street, Berry Street, Matrix,
Southern Studios and in Kinston at Channel One, Music Mountain

となっています。

バックにはBingy BunnyやFlabba Holt、Style
Scottなど、ジャマイカではRoots Radics、
UKのOn-U SoundではDub Syndicateとして
活躍した人達の名前が見られます。

6曲目「Devious Woman And Man」は、the
Tierra Sur Bandというグループがバックを
担当しています。
ちょっとボサノバかなんかのようなアコー
スティックなサウンドが印象的。

プロデュースはOn-U Soundの主催者Adrian
SherwoodとBim Shermanで、ミックスも
Adrian Sherwood、録音はコンピの為、UK
ではOn-U Sound、Easy Street、Berry Street、
Matrix、Southern Studios、ジャマイカでは
Channel OneとMusic Mountainなど、多くの
スタジオが使われています。

さて今回のアルバムですが、発売が2002年
なのでおそらくBim Shermanの追悼的な意味合い
もあるアルバムと思われますが、内容はとても
良いです。

On-U Soundというレーベルはレゲエとパンクの
中間的なレーベルで、白人のAdrian Sherwood
の個性と強い自我が出たレーベルですが、その
果たした役割はやはり無視できないところが
あります。
やはりパンクやロックという音楽からレゲエに
入った人にとっては、このレーベルの音楽は
ロック色が強く聴き易いところがあるんです
ね。
このレーベルではこのBim Shermanをはじめ、
Prince Far Iやサックス奏者のDeadly Headley
Bennettなどが素晴らしいアルバムを残して
います。
そういう意味では無視出来ないレーベルなん
ですね。

deadly_headly_02a
Deadly Headley ‎– 35 Years From Alpha (1982)

実は私も初めにレゲエにハマった20代の頃
は、このレーベルのアルバムは良く聴いてい
ました。
ロックから入った人間にはこの実験的な匂い
のするサウンドは、魅力的に見えたんですね。
Deadly Headleyのアルバム「35 Years From
Alpha」などは、今でも私の大好きなお気に
入りの1枚です。
やはりこの80年代頃にこのレーベルの果た
した役割は、小さくなかったと思います。

反面再びレゲエを聴き始めた6年ぐらい前
からは、このレーベルのアルバムはあまり
買わなくなっています。
理由は単純で、レゲエの入り口としては聴き
易かったロックやパンクのテイストが、レゲエ
が好きになってしまうとすごく鼻に付くん
ですね(笑)。
白人のAdrian Sherwoodの作る音楽は、彼の
強い自我が出過ぎている部分があり、ちょっと
ウザく感じてしまうところがあるんですね。

そうした彼のあまりに白人的な感性がこの
レーベルの悩ましいところではありますが、
ただこのレーベルにはまだ紹介すべきアルバム
があるのもまた事実で、そうしたアルバムも
ボチボチは紹介して行きたいと思います。

さて話を戻しますが、今回のアルバムはと
いうとやはりBim Shermanの歌声は素晴らしく、
曲によっては心が震えるほどの感動を覚える
曲もあります。
このBim Shermanというシンガーはこの
On-U Soundというレーベルにあっても間違い
なく自分の道を歩み、偉大な足跡を残した
と言えるでしょう。
必ずしもレゲエという枠組みに収まらない
部分もありますが、彼の歌声はやはり魅力的
で人を説得する力強さがあります。

1曲目は「Be My Lighthouse」です。
独特の浮遊感のあるリズムとストリングスに
乗せた曲です。
ニュースのような声などが入ったちょっと
面白い曲です。

Be_my_lighthouse_bim_sherman_and_dub_syndicate.avi


2曲目は「To Be Free」です。
こちらもシンセか何かのメロディに乗せた、
浮遊感のある1曲。

3曲目は「More Is Insane」です。
こちらはちょっとファンクっぽい演奏に乗せた
曲です。
ハードなリズムに彼特有のスウィートな
ヴォーカルが冴えます。

bim sherman - more is insane - reggae reggae.wmv


4曲目は「Run Them Away」です。
リリックなピアノのイントロから女性コーラス、
囁くようなBim Shermanの甘いヴォーカル…。

Bim Sherman - Run Them Away


5曲目は「Use Your Head」です。
こちらはギターとパーカッションに乗せた、
一言一言をしっかり歌うような歌いぶりが
印象的な曲です。

6曲目は「Devious Woman And Man」です。
書いたようにthe Tierra Sur Bandという
グループとの共演ヴァージョンの「Devious
Woman」です。
この「Devious Woman」は彼の十八番の1曲で、
Singers & PlayersやDeadly Headleyのソロ・
アルバムでも披露しています。
今回はちょっとボサノバ調のアコースティッ
ク・ヴァージョンです。

7曲目は「Memories」です。
こちらはちょっと絞りだすような、感情を
込めた歌い方の曲です。
浮遊感のあるシンセと心地良いパーカッション
の組み合わせがグッド。

New Age Steppers - Memories


8曲目は「Vice Of My Enemy」です。
こちらはユッタリしたリズムに乗せた、囁く
ような彼らしいヴォーカルの曲です。

9曲目は「Man Next Door」です。
Horace Andyの「Man Next Door」のカヴァー
です。
Bim Shermanのスウィートなヴォーカルに
重厚なコーラスが乗った、このアルバムの
中でも白眉の1曲。

10曲目は「No Longer」です。
こちらもアコースティック・ギターから、
「I Know I know」のフレーズ…。
ソウルの名曲Bill Withersの「Ain't No
Sunshine」と彼の「Devious Woman」とが
ひとつになったような、完全にヤラレちゃう
魅力的なアコースティック・ナンバーです。

Bim Sherman - No Longer


11曲目は「Purify Your Heart」です。
漂うようなシンセの印象的なメロディから
粘りのあるBim Shermanの囁くようなソフト
なヴォーカル、彼ならでは世界があります。

12曲目は「Haunting Ground」です。
こちらもシンセのメロディに乗せた蕩ける
ようなヴォーカルの曲です。
彼独特の世界があります。

Bim Sherman - Haunting Ground 1986


13曲目は表題曲の「The Need To Live」です。
こちらはかなり凝ったパーカッションのリズム
の曲です。
ユックリと入って来る浮遊感のあるヴォーカル、
ベースとパーカッションのリズム…。

14曲目は「Can't Take It Easy」です。
こちらもシンセのメロディに乗せた曲です。

ざっと追いかけて来ましたが、このBim
Shermanというヴォーカリストを知るには、
悪くない内容のアルバムだと思います。

60年代の終わり頃に誕生したレゲエという
音楽は、80年代に入る頃ぐらいから新しい
感性の音楽が求められるようになって来ます。
そうした世の中の要望に応えるように誕生
したのが、ジャマイカでは現場のダンス・
ミュージックを重視したダンスホール・レゲエ
であり、UKではラヴァーズ・ロック・レゲエ
やニュー・ルーツと呼ばれるレゲエだったん
ですね。

ニュー・ルーツ系の走りともいえるレーベル
On-U Soundで活躍していたBim Shermanが
そうしたニュー・ルーツ的なアプローチに
挑戦したのはむしろ当然だったのかもしれ
ません。
今回のアルバムなどを聴くと、そのアプローチ
はかなり成功していた気がします。

彼の根底にはやはりルーツ・レゲエがあり
ますが、それをよりワールド・ワイドに
聴かせようという努力が感じられ、けっして
出来は悪くないんですね。
むしろ聴く者の胸を打ちます。
それこそが彼が本物のシンガーであった、
証しのように思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Bim Sherman
○アルバム: The Need To Live
○レーベル: EFA
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2002

○Bim Sherman「The Need To Live」曲目
1. Be My Lighthouse
2. To Be Free
3. More Is Insane
4. Run Them Away
5. Use Your Head
6. Devious Woman And Man
7. Memories
8. Vice Of My Enemy
9. Man Next Door
10. No Longer
11. Purify Your Heart
12. Haunting Ground
13. The Need To Live
14. Can't Take It Easy