今回はKing Sighterのアルバム

king_sighter_01a

「The One Eyed Giant」です。

King Sighter(King Sighta)については
ほとんど情報がありません。
disk unionのサイトに、彼が「I ROY、BIG
YOUTHに憧れ」ていた事、「工場仕事の
トラブルで失明し」片目のディージェイと
していた事が書かれているのみです。

今回のアルバムはKing Sighterの唯一と
いって良いアルバムで、1978年に
ジャマイカのTerminalというレーベルから
King Sighta名で、収録曲のひとつ
「Master Of All」がタイトルとなって
発売されたアルバムです。
それが同年78年にUKのTrojan Records
からKing Sighter「The One Eyed Giant」
として発売になっています。

購入したdisk unionの渋谷店では、この
アルバムにコピーした紙(ポップ)が付いて
いて、そこには次のような事が書かれて
いました。

「78年、PHIL PRATTプロデュースのDEEJAY
アルバム!
長い間未再発だった片目ディージェイKING
SIGHTERの78年作のアルバムがBURNING SOUNDS
より再発。DEEJAYがサウンドシステムの重要
ファクターとして大人気を誇った70年代後半
にI ROY、BIG YOUTHに憧れたKING SIGHTER。
工場仕事のトラブルで失明した彼がチャンネル
ワン、ランディーズで録音したのが今作。PHIL
PRATTがプロデュースを手がけた珍しい作品で
ありバックを勤めるのはSOUL SYNDICATE。
重い演奏に心地よいダブワイズ、そして軽や
かなKING SIGHTERのトースティングが交差
する素晴らしい内容。大推薦盤です!」

ネットのDiscogsなどで調べてみても他の
アルバムは確認できなかったので、おそらく
このアルバムがKing Sighter(King Sighta)
がリリースした唯一のアルバムという事に
なりそうです。

全9曲で収録時間は約26分。

詳細なミュージシャンの表記はありません。

表ジャケが小冊子になっていて、そこに
Phil Prattのプロデュース、Channnel One
とRandy'sの録音、バックはSoul Syndicate
という事が書かれているようです。

オリジナル・アートワークはKarl Finnと
いう人で、トランプの絵柄のKing Sighter
の後ろの赤いバックのところにTrojan
Recordsのマークが入っていた模様。

さて今回のアルバムですが、いかにもこの
70年代後半のディージェイの軽快な
トースティングというアルバムで、内容は
悪くないと思います。
Soul Syndicateの演奏もベースのリズムを
中心としたまとまりのある演奏で、聴き心地
の良さがあります。
あえて言えばKing Sighterのトースティング
は軽快で悪くはないのですが、個性派の
揃ったこの時代のディージェイの中では
ややアクの強さに欠ける印象です。
そのあたりがこのディージェイが、アルバム
1枚だけのリリースに終わった原因かも
しれません。

ただルーツの時代が過ぎてしまった今の
時代になれば、こうした音源も貴重な音源
のひとつという事になるでしょう。

1曲目は「High Rank Something」です。
軽快なリズムに乗せたKing Sighterのトース
ティングが冴える曲です。

King Sighta - High Rank Something 1978


2曲目は「Dollar Fe A Refer」です。
こちらはオルガンの浮遊感のあるメロディ
から、ベースのしっかりしたリズムに乗せて
のトースティング。
トースティングにKing Sighterの陽性な
エネルギーが感じられる1曲。

King Sighter The One Eyed Giant 78 02 Dollar fe a refer


3曲目は「I'm Allright」です。
心地良いミリタント・ビートに優しい
ヴォーカル、取れに被るように入って来る
King Sighterのトースティング…。
このヴォーカルは誰なんでしょうか?
とても心地良いグルーヴ感がある1曲です。
曲を引き締めるベースもグッド!

4曲目は「Master Of All」です。
こちらはベースとギターを軸とした、明るい
リズムに乗せたトースティングです。
適度に入るダブワイズも魅力。
プロデューサーのPhil Prattは、こうした
ベースを軸とした楽曲を使うのがウマい
ところがあります。

5曲目は「Brand New Fashion」です。
勢いのあるミリタント・ビートに乗せた
ヴォーカルにトースティング、明るい
空気感が魅力の1曲。

King Sighter The One Eyed Giant 78 05 Brand new fashion


6曲目は「Shining Star」です。
こちらもベースを軸としたメロディに乗せた
曲です。

7曲目は「Roll On」です。
こちらはピアノとオルガンのメロディに
乗せたトースティング。
適度なダブワイズが心地良い余韻を作って
います。

8曲目は「Another Scorcher」です。
リディムはThe Tenorsの「Another Scorcher」。
こちらはギターのメロディに、コーラスに
被さるようなちょっと早口のトースティング。

9曲目は「Check Mister Foster」です。
重いベースを軸とした、ダークな印象の曲に
乗せたトースティングです。
ヘヴィーでクールな曲を、難なくこなして
います。

King Sighter The One Eyed Giant 78 09 Check mister Foster


ざっと追いかけて来ましたが、軽快な
ミリタント・ビートに乗せた楽曲はやはり
魅力的です。
King Sighterのトースティングもそれなりに
味があり、楽しめるアルバムに仕上がって
いると思います。

機会があれば聴いてみてください。


○アーティスト: King Sighter
○アルバム: The One Eyed Giant
○レーベル: Burning Sounds
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1978

○「The One Eyed Giant」曲目
1. High Rank Something
2. Dollar Fe A Refer
3. I'm Allright
4. Master Of All
5. Brand New Fashion
6. Shining Star
7. Roll On
8. Another Scorcher
9. Check Mister Foster