今回はPhil Pratt & The Sunshot Bandの
アルバム

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「Dial-M-For Murder: In Dub Style」です。

Phill Pratt(本名George Phillips)は
ロックステディの時代にシンガーとして活躍
し、その後Studio Oneレーベルで働いたのち
に、Caltoneレーベルの傘下で自身のレーベル
Sunshotを開設し、プロデューサーとして活躍
した人です。
70年代に若き日のHorace Andyや、
Al Campbell、Dennis Brownなどの歌手、
Dennis AlcaponeやJah Wooshといった
ディージェイをプロデュースした事で知ら
れる名プロデューサーです。

Phil Pratt - Wikipedia

今回のアルバムは1980年にアメリカの
Expressというレーベルから発売されたダブ・
アルバムです。
ごく少数ひっそりと販売されたアルバム
らしいのですが、2011年にレゲエ・
リイシュー・レーベルPressure Soundsから
リイシューされたアルバムです。

全14曲で収録時間は約46分。
オリジナルは10曲で、残りの4曲はCD
ボーナス・トラックです。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Drums: Sly Dunbar
Bass: Robert Shakespear
Lead Guitar: Ron Brian
Keyboards: Bobby Kalphat, Ansell Collins
Hornes: Tommy McCook, Herman Marquis

Recorded at Channel One
Recording Engineer: Bunny Tom Tom
Produced by Phil Pratt

Artwork: Ollystudio.co.uk

となっています。

Channel Oneの録音で、プロデュースは
Phil Pratt、エンジニアはChannel Oneの
Bunny Tom Tomが担当しています。

演奏はPhil PrattのバンドThe Sunshot
Bandとなっていますが、Channel Oneの録音
でSly & Robbieなども参加しているので、
実質的にはThe Revolutionariesと考えて
間違いないでしょう。

ドラムにSly Dunbar、ベースにRobert
Shakespear、リード・ギターにRon Brian、
キーボードにBobby KalphatとAnsell Collins、
ホーンにTommy McCookとHerman Marquisと
いう比較的シンプルな布陣です。
何かこのダブの元になったアルバムもあり
そうですが、調べたけれど解りませんでした。

印象的な電話にナイフを突き刺そうとして
いるイラストは、オリジナル・ジャケットの
イラストのようで、UKのOllystudioという
デザイン事務所のイラストのようです。

さて今回のアルバムですが、内容はなかなか
良いと思います。
名義はThe Sunshot Bandですが、いかにも
The Revolutionariesという歯切れの良い
リズムと、ホーンなどで味付けされたクール
でJazzyな空気感、スッキリとした聴き心地
の良いアルバムに仕上がっています。

1曲目は表題曲の「Dial-M-For Murder」
です。
有名な映画「ダイヤルMを回せ」から取ら
れたタイトルです。
ハードなドラミングからピアノとホーンの
メロディといったクールなダブです。

2曲目は「Danger UBX」です。
こちらはオルガンのメロディからホーン、
そしてダブワイズして行くダブ。
途中から中心になるベースのサウンドが
シブいです。

3曲目は「Stinger」です。
こちらはJazzyなホーンが魅力の1曲。
全体にシンプルでストイックなカッコよさ
があります。

Phil Pratt - Stinger


4曲目は「Beware Of This Rass Dub」です。
こちらはベースを軸としたダブです。
やはりダブにおけるベースの役割は重要で、
ある意味生命線なんですね。
このダブもRobbieと思われるベースが、
うまく曲をコントロールしています。

5曲目は「Chase A Crooked Shadow」です。
こちらもベースを軸としたダブ。
重低音のドスの効いたベースに、キーボード
でうまく曲にアクセントを付けています。

6曲目は「Don't Watch My Size」です。
重いベースにピアノのメロディ、反響する
ような不思議なギター音(?)。
トビ音にヴォーカルも入ったヘヴィーな
ダブです。

Phil Pratt - Don't Watch My Size


7曲目は「Walking Razor」です。
タイトルはまさに「歩くカミソリ」。
こちらもズンと来る重いベースを軸とした
ダブ。

Phil Pratt - Walking Razor


8曲目は「Wonder Woman Dub」です。
こちらはギターのメロディから始まる、やはり
ベースのヘヴィーなリズムを中心としたダブ。
シンプルで地味ですが、やはりこうしたズンと
腹に響くベース中心のダブはイイんですよね。

9曲目は「Bad Boy Dub」です。
こちらはピアノのメロディから、ベースや
ギターがうまく絡んだダブ。

Phil Pratt - Bad Boy Dub


10曲目は「Jam Up」です。
歯切れの良いドラミングから、浮遊感の
あるオルガンのメロディにベースといった
ダブ。

Phil Pratt - Jam Up


11~14曲目まではオリジナル・アルバム
にはないCDボーナス・トラックです。

11曲目は「Natty Culture」です。
リディムはKen Bootheのロックステディの
ヒット曲「Artibella」です。
ヤバい空気感が充満した1曲。
入っている声はBig Youthか?

Phil Pratt - Natty Culture


12曲目は「Who Gets Your Dub」です。
こちらもリディムはKen Bootheの「Who Gets
Your Love」。
カッコいいです。

13曲目は「Dub Plenty」です。
リディムはKeith Poppinの「Envious」。
こちらもイケてるダブ。
トースティングはI Royか?

14曲目は「Dr Bash」です。
こちらは泣きの1曲のダブ。

ざっと追いかけて来ましたが、あまり大人数
で作っていない、そのソリッド感を生かした
ダブという気がしました。
ベース主体の曲なども多く、ある意味地味な
ところのあるダブなんですが、それがかえって
魅力的に感じてしまう、センスの良いダブなん
ですね。
そこにこのPhil Prattというプロデューサー
の、優れた才能があります。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Phil Pratt & The Sunshot Band
○アルバム: Dial-M-For Murder: In Dub Style
○レーベル: Pressure Sounds
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1980

○Phil Pratt & The Sunshot Band「Dial-M-For Murder: In Dub Style」曲目
1. Dial-M-For Murder
2. Danger UBX
3. Stinger
4. Beware Of This Rass Dub
5. Chase A Crooked Shadow
6. Don't Watch My Size
7. Walking Razor
8. Wonder Woman Dub
9. Bad Boy Dub
10. Jam Up
Bonus Tracks
11. Natty Culture
12. Who Gets Your Dub
13. Dub Plenty
14. Dr Bash

●今までアップしたPhill Pratt関連の記事
〇Phill Pratt, Bobby Kalphat「The War Is On - Dub Style」
〇Phill Pratt「Star Wars Dub」
〇Various「Phil Pratt Thing」
〇Various「Safe Travel With Phil Pratt & Friends 1966 - 1968」