今回はJah Lloydのアルバム

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「Herb Dub」です。

Jah Lloyd(本名Patrick Lloyd Francis)
は70年代から80年代にかけてディー
ジェイやプロデューサーとして活躍した
人です。
ディージェイとしては76年にJah Lion
と改名して、Lee Perryのプロデュースで
「Colombia Colly」というアルバムを出して
います。

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Jah Lion ‎– Colombia Colly (1976)

ところがジャケットの裏面にLee Perryの
写真が載っていた為にLee Perryのディー
ジェイ名と勘違いされ、思ったような評価
が得られず再びJah Lloyd名で活動して
います。
プロデューサーとしては今回のアルバムが、
初期ダブの聴いておくべきアルバムのひとつ
として、高い評価を受けています。

1999年に凶弾に倒れて亡くなっています。

アーティスト特集 Jah Lloyd (ジャー・ロイド)

今回のアルバムは1975年にTEEMという
レーベルから発表された、Jah Lloyd
プロデュースのダブです。
ダブというのはエコーやリバーブなどの
エフェクト過剰にかける事で、原曲とは
まったく違う曲に作り変える手法を言い
ます。

ダブ - Wikipedia

今回のアルバムはその初期ダブの、聴いて
おくべきアルバムのひとつなんですね。

全14曲で収録時間は40分35秒。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Drums: Carley Barrett
Piano: Snappy (T. Beckford)
Bass: Lloyd Parks
Rhythm Guitar: Reggie, Chino
Organ: Ossie, T. Beckford
Percussion: Bongo Herman, 'Sticky' Isaiah Thompson, Bingy Bunny

Arrangements: Pat Francis, M. Welington (Sharp Razor & Victory Dub)
Other Arrangements: Pat Francis

Mixed at: Tubby's & Randy's, Kingston, Jamaica

となっています。

アレンジはPat Francis(Jah Lloydの本名)が
担当しています。
(最初の2曲はPat FrancisとM. Welingtonの
共同名義。)
プロデュースの記載はありませんが、Jah Lloyd
と考えて間違いないでしょう。

ミックスはKing Tubby'sとRandy'sで行われて
います。
75年頃のアルバムなので、King Tubby'sの
ミックスはKing Tubby本人が行った可能性が
あります。
Randy'sのミックスは「Java Java Java Java」
のミックスをした、Errol Thompsonあたりが
行った可能性があります。

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Impact All Stars ‎– Java Java Java Java (1973)

記載がありませんが、曲によってはサックス
も入っています。

さて今回のアルバムですが、販売サイトの情報
によると、ダブ・コレクターの間では高額で
取引されるようなダブだったんだそうです。
サイトによっては「最高峰のダブ名盤」という
書き方をしているところもありました。
ただこうしていろいろ調べていると解って来る
のですが、そうした「ダブ・コレクター」と
いうのはレア物コレクターという側面が強い
人達なんですね。
人の持っていないものを持っていたい、それは
人間の欲としてある事なんですね。
気を付けなければいけない事は、レア=良い
ものという事ではないという事です。
そういうレアな音源が聴けることはとても
ありがたい事ですが、ただレアだという理由で
ありがたり過ぎるのは、気を付けなくてはいけ
ない事だと思います。
要は自分が効いて良いと感じるか、悪いと
感じるか、そこが一番重要な事だと思います。
私のブログであえて「名盤」という言葉を
避けているのは、そういう先入観なしで音楽
を聴いてほしい、自分の耳で判断して欲しい
という思いがあるからなんですね。
「名盤」「名盤」という言葉を連発すれば、
言葉はどんどんどんどん軽くなって行って
しまいます。
出来るだけの説明はするけれど、あえて
語らない部分も実は必要なんじゃないかと
思っています。

さて前置きがちょっと長くなってしまいま
したが、今回のダブがどうだったかというと、
内容はけっこう悪くありませんでした。
印象としては、あえて作り込み過ぎていない、
素材がゴロッゴロッと置かれているような
ダブで、その意識した粗さが心の引っ掛かり
として強く残るダブという感じです。
正直スンナリと良いとは言い切れないのです
が、むしろそうした心の抵抗を感じるところ
に、このダブのただならぬ匂いがあります。
ある意味聴き手によって、好き嫌いや評価が
分かれるダブという気がしました。

ただあまりスタイリッシュになり過ぎて
いない初期のダブらしいところが、このダブ
の魅力なのかもしれません。

1曲目は「Sharp Razor」です。
明るいホーンのイントロから、心地良い
パーカッション、ピアノのメロディなどで
聴かせる陽性のダブです。

Jah Lloyd & King Tubby - Sharp Razor


2曲目は「Victory Dub」です。
こちらはズンと響くようなベースのサウンド
を軸に、心地良いドラムとエフェクトなどで
変化を付けたダブ。
ある意味単調な繰り返しなのですが、引き
込まれて行くような感覚があります。

3曲目は「Herbs Of Dub」です。
表題曲ともいえる1曲。
こちらもベースを軸に淡々と進行するダブ
です。

Jah Lloyd - Herbs of dub


4曲目は「Theme Dub」です。
こちらは雰囲気のあるフルートを中心と
したダブ。
アルバム全体に漂うただならぬ気配が、
この曲によく現れています。

theme dub jah lloyd king tubbys studio


5曲目は「Black Dub」です。
こちらもベースを軸したダブで、ギターや
パーカッション、エフェクト使いで変化を
付けたダブです。

6曲目は「Ark Of The Covenant」です。
語りから入る妖しい雰囲気満載のダブです。
エコーの効いた空間にこだまする打ち込む
ように入るパーカッション、掛け声、すべて
が異空間に誘うようなヤバさ満点のダブです。

7曲目は「Ruler Of Darkness」です。
こちらは一転抜けた空気感のホーンから、
ベースを軸としたダブ。

8曲目は「Dull Razor」です。
こちらはピアノのイントロから、ベースを軸に
したダブです。
ダークな空気感がタマラない1曲。

dull razor jah lloyd king tubbys studio


9曲目は「Tipper Dub」です。
明るい伸びやかなホーンの出だしから、ベース
を軸としたホーンでアクセントを付けたダブ
です。

10曲目は「Walking Dub」です。
こちらはオルガンとフルートを中心とした
ダブ。

DUB LP- HERB DUB - JAH LLOYD - Walking Dub


11曲目は「Zion Zone」です。
華やかなギターのイントロからベースに
ギター、パーカッションでアクセントを
付けたダブです。

12曲目は「Raindrops Dub」です。
こちらもベースを軸としたダブです。
カシっとしたドラムがうまく曲を引き締めて
います。

13曲目は「Immortal Drums」です。
こちらはオルガンのメロディを中心に、
ベースやパーカッションがうまく盛り
上げているダブです。

14曲目は「Pickle Pepper」です。
最後はベースとドラムを中心とした、パワー
のある曲でシメています。

JAH LLOYD - Pickle pepper (1974 Teem)


ざっと追いかけて来ましたが、ジックリ
聴いてみるとベースを中心とした渋めの
ダブが多い事に気付かされます。
全体に素材感が強いザラッとした肌触りの
ダブですが、その肌に残るようなザラザラ感
がこのダブの特徴で、そこで好き嫌いが分か
れるような気がします。

ただやはりこのサウンドは、この70年代の
ルーツ・レゲエの時代だからこそ作る事の
出来たサウンドなんですね。
そうした時代が進みソフィストケイト(洗練)
される以前の、ザラザラッとした感触がこの
ダブの最大の魅力かもしれません。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Jah Lloyd
○アルバム: Herb Dub
○レーベル: TEEM
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1975

○Jah Lloyd「Herb Dub」曲目
1. Sharp Razor
2. Victory Dub
3. Herbs Of Dub
4. Theme Dub
5. Black Dub
6. Ark Of The Covenant
7. Ruler Of Darkness
8. Dull Razor
9. Tipper Dub
10. Walking Dub
11. Zion Zone
12. Raindrops Dub
13. Immortal Drums
14. Pickle Pepper