今回はBurning Spearのアルバム

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「Sounds From The Burning Spear」です。

Burning Spear(本名Winston Rodney)は、
レゲエを聴く人なら知らない人は居ない
ほど有名なルーツ・シンガーです。
Studio Oneからデビューした彼は常に
ディープなルーツ・レゲエを歌い続けた
シンガーとしてよく知られています。

Jack Rubbyプロデュースの彼のアルバム
「Marcus Garvey」は、攻撃的なミリタント・
ビートのルーツ・レゲエの定番アルバムとして
よく知られていますが、このアルバムの時
だけRupert WellingtonとDelroy Hinesという
二人のコーラスが付いていて、Burning Spear
という名前は3人組のコーラス・グループの
名前だったんですね。

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Burning Spear - Marcus Garvey (1975)

その後はまたひとりでBurning Spearを名乗り、
数多くアルバムを残した彼は「アフリカン・
ティーチャー(アフリカの先生)」の愛称で
人々の尊敬を集め、さらには12度もの
グラミー賞のベスト・レゲエ・アルバムの賞
を受賞しています。
常にルーツ・レゲエと生きた硬派なシンガー、
それがBurning Spearです。

アーティスト特集 Burning Spear (バーニング・スピア)

今回のアルバムは2004年にSoul Jazz
Recordsから発売された、Burning Spearの
デビュー当時のStudio Oneの音源を集めた、
コンピュレーション・アルバムです。
音源としてはBurning SpearがStudio One
に残した2枚のアルバム、73年の
「Studio One Presents Burning Spear」と
74年の「Rocking Time」の曲が使われて
いるようです。
彼の70~74年までの楽曲が、集められ
ています。

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Burning Spear ‎– Studio One Presents Burning Spear (1973)

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Burning Spear ‎– Rocking Time (1974)

この時期は彼Burning Spearが、もっとも
ディープなルーツ・レゲエをやっていた
時期なんですね。
彼はその後アルバム「Marcus Garvey」の
ヒットをきっかけに、国際的なスターへと
登りつめて行く事になるんですね。

全18曲で収録時間は49分52秒。

詳細なミュージシャンの表記はありません。

さて今回のアルバムですが、Burning Spear
というアーティストの魅力や凄さがよく解る
アルバムで、よく出来たコンピュレーション
だと思います。

やはりBurning Spearというアーティストは、
私たちの世代では決して忘れる事の出来ない
アーティストなんですね。
彼のアルバム「Marcus Garvey」を聴いた時
の衝撃は、多くの人に忘れられない記憶と
して残っていると思います。
そこには西洋音楽にはけっして無い、強烈
なアイデンティティがあったんですね。

Bob Marleyのレゲエですら特別な音楽で
あった当時の私からすれば、それ以上に
強烈な個性とアイデンティティを持った
彼Burning Spearの音楽はまさに衝撃で
した。
私を含めた多くの人がその「Marcus
Garvey」というアルバムから、レゲエと
いう音楽の凄さを学んだのでした。
長いことこのアルバムがルーツの定番
アルバムとして愛し続けられてきたのは、
そうした衝撃を受けた多くの人が居たから
なんですね。

今から見るとこの「Marcus Garvey」は、
Burning Spearが唯一グループとして活動
した時期のアルバムだったり、Jack Ruby
のプロデュースでミリタント・ビートの
アルバムでありったりとか、ちょっと特別な
アルバムだったのですが、それでもStudio One
の時代から「Marcus Garvey」、さらには
70年代のルーツ・レゲエの時代にこの
Burning Spearがもっとも光輝いていた
聴いておくべきシンガーの一人だった事は
間違いありません。

そして彼の作品の中でもこのStudio One時代
の作品は、「Marcus Garvey」と並んで
もっとも聴いておくべき作品なんですね。
もちろんグラミー賞を受賞したアルバム
以上に。

1曲目は「Door Peeper」です。
Burning Spearの語りから入るディープ感の
ある1曲です。
印象的なホーンにコーラス・ワーク、彼の
独特なしゃがれ声のヴォーカルが冴えます。

Burning Spear - Door Peeper


2曲目は「This Race」です。
ベースのメロディを中心に、コーラス・
ワークに続いて、静かに語りかけるような
ヴォーカル。
間奏に入るホーンが、西洋音楽にない独特の
空気感を作り上げています。

Burning Spear - This Race (Studio One)


3曲目は「Swellheaded」です。
こちらはギターのリズムに乗せた、独特の
「Burning Spear節」といも言える歌い方が
強く印象に残る曲です。
このStudio Oneの時点で、彼には強い独自
の音楽の世界があるんですね。

4曲目は「Call On You」です。
こちらも初期の代表曲のひとつ。
軽快なオルガンの音色に乗せた、伸びの
あるヴォーカルが魅力の曲です。

5曲目は「Ethiopians」です。
こちらもオルガンのメロディに乗せた
ユッタリとしたヴォーカルが印象的な
曲です。

6曲目は「Creation Rebel」です。
こちらは彼の初期の代表曲のひとつ。
オルガンとギターのリズムに乗せた、
彼の良く通るヴォーカルが心地良い
1曲。

Burning Spear - Creation


7曲目は「Bad To Worse」です。
こちらはオルガンとギターの刻むリズムに
乗せた曲です。
ヴォーカルと音の出入りが素晴らしい1曲。

8曲目は「Rocking Time」です。
アルバムのタイトル曲にもなっている、
彼の代表曲のひとつです。
かなりファンキーなノリが面白い1曲です。

Burning Spear-Rocking Time (Ft Clement Dodd)


9曲目は「Zion Higher」です。
こちらはちょっとナイヤビンギを思わせる
ようなノリの曲です。
リズミカルなメロディに伸びのあるコーラス・
ワークが冴えます。

10曲目は「Foggy Road」です。
こちらも初期の代表曲のひとつ。
印象的なピアノのメロディから、スッと入って
来るヴォーカル。
完全に彼Burning Spearに包みこまれている
ような1曲。

Burning Spear - Foggy Road


11曲目は「We Are Free」です。
こちらは軽快なオルガンのメロディに
乗せた曲です。

12曲目は「Joe Frazier」です。
Joe Frazierはモハメド・アリと闘った
ヘヴィー級のボクサーです。
この当時彼ら2人の対戦があり、それを歌った
ものと思われます。
イントロのホーンが印象的。

Burning Spear - Joe Frazier (Iron Side)


13曲目は「New Civilisation」です。
オルガンのメロディに乗せたヴォーカルと
コーラス・ワークがとても心地良い曲です。

14曲目は「Down By The Riverside」です。
こちらもオルガンと刻むギターに乗せた曲で、
淡々と歌うBurning Spearのヴォーカルに
説得力のある1曲。

Burning Spear - Down By The Riverside


15曲目は「This Population」です。
こちらは刻むギターのメロディに乗せた曲
です。

16曲目は「Get Ready」です。
こちらは刻むようなギターのメロディに
乗せた、ジックリと歌い込むような
Burning Spearのヴォーカルが素晴らしい
曲です。

17曲目は「Journey」です。
こちらも刻むギターのリズムに乗せた曲
です。

18曲目は「What A Happy Day」です。
こちらはオルガンの軽快なリズムに乗せた
曲です。

ざっと追いかけて来ましたが、やはり
Burning Spearの西洋音楽には無いような
「黒い楽曲」は魅力。
白人にはけっして作れないような、黒い
魂の楽曲をこの人は作っているんですね。

まだこの70年代というのは白人などに
よる黒人に対する民族差別があり、レゲエ
という音楽はそうした民族差別に反対する
プロテスト・ソングとして発展してきたん
ですね。

彼の楽曲は言葉だけではなく、その楽曲
そのものに黒人のアイデンティティに
根差した力強さがあります。
それゆえにこの時代に大きな衝撃を残した
んですね。

今回のアルバムにもそうした心に響く楽曲が、
多く収められています。

機会があればぜひ聴いてみてください。

VIDEO: Burning Spear Live @ SunSplash Jamaica 1979 'The Sun' also known as 'Call On You'



○アーティスト: Burning Spear
○アルバム: Sounds From The Burning Spear
○レーベル: Soul Jazz Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2004

○Burning Spear「Sounds From The Burning Spear」曲目
1. Door Peeper
2. This Race
3. Swellheaded
4. Call On You
5. Ethiopians
6. Creation Rebel
7. Bad To Worse
8. Rocking Time
9. Zion Higher
10. Foggy Road
11. We Are Free
12. Joe Frazier
13. New Civilisation
14. Down By The Riverside
15. This Population
16. Get Ready
17. Journey
18. What A Happy Day

●今までアップしたBurning Spear関連の記事
〇Burning Spear「Calling Rastafari」
〇Burning Spear「Dry & Heavy」
〇Burning Spear「Farover」
〇Burning Spear「Garvey's Ghost」
〇Burning Spear「Hail H.I.M.」
〇Burning Spear「Live」
〇Burning Spear「Marcus Garvey」
〇Burning Spear「Original Living Dub Vol.1」
〇Burning Spear「Presenting Burning Spear」
〇Burning Spear「Rocking Time」
〇Burning Spear「Social Living」
〇Burning Spear「Spear Burning: Burning Spear Productions 1975-1979」
〇Burning Spear「Travelling」