今回はAugustus 'Gussie' Clarkeのアルバム

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「Black Foundation Dub: Augustus Clarke At King Tubby's」です。

Augustus 'Gussie' Clarkeは70年代の
ルーツ・レゲエの時代から活躍するプロデュー
サーです。
70年代にはBig Youthの「Screaming Target」
とI Royの「Gussie Presenting I Roy」で、
2人のディージェイに全く同じリズムを使わ
せるという画期的な試みをし、80年代になる
と自身のレーベルMusic Worksから数々の
ヒット曲を連発し、ダンスホール・レゲエを
けん引をする働きをしたのが、このAugustus
'Gussie' Clarkeという人なんですね。

Gussie Clarke - Wikipedia

レーベル特集 Music Works (ミュージック・ワークス)

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Big Youth ‎– Screaming Target (1972)

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I. Roy ‎– Gussie Presenting I Roy (1973)

今回のアルバムは1977年にAugustus
'Gussie' ClarkeのレーベルGussie Roots
Soundsから発表された、プロデュースが
Augustus 'Gussie' Clarke、ミックスが
King Tubby'sのKing TubbyとPhilip Smart
というダブ・アルバムです。

まだこのルーツの時代はMusic Worksという
レーベルでは活動していなかったようで、
このGussie Roots Soundsからアルバムを
出しているんですね。
ただこの時代から彼の優れた音楽センスが
解る、ダブ・アルバムに仕上がっています。

手に入れたのはMotion Recordsというレーベル
から出ている、中古のCDでした。

全13曲で収録時間は48分09秒。
オリジナルは12曲で、最後の1曲はCD
ボーナス・トラックです。

詳細なミュージシャンの表記はありません。

Produced and arranged by Gussie Clarke
Mixed by King Tubby and Philip Smart
Released under license from Gunsmoke Music Publishers

と書かれています。

さて今回のアルバムですが、実際にミックス
したのはKing Tubby'sのKing TubbyとPhilip
Smartですが、それでもちゃんと指示して
ミックスをさせたのか、随所に後のMusic Works
を思わせるようなシャレたセンスが漂う
アルバムに仕上がっています。

このルーツ・レゲエの時代にはGussie Clarke
は、SanticレーベルのLeonard 'Santic' Chin
と並んでもっとも若いレゲエのプロデューサー
のひとりだったんですよね。
ただそのルーツの時代からこのGussie Clarke
には本当に作りたい音がすでにある、その事が
よく解るアルバムになっています。
彼の成功はけっして偶然ではなく、才能ある人
が目指した結果なんですね。

80年代になると彼の努力は結実し、それが
Music Worksというレーベルの成功へと繋がって
行く訳ですが、すでにこのアルバムにはそう
した彼の優れた才能が溢れ出しています。
またそれを支えたのはKing Tubbyという、職人
魂を持った優れたミキサーの存在あったれば
こそだった事も否定出来ません。

ちなみに2002年シンコー・ミュージック
刊行の本「Roots Rock Reggae」には、「武田」
さんという方の文章で次のように書かれて
います。

「80年代後期には『Telephone Love』等の
グルーヴィなダンスホール・ヒットのある
ガッシー・クラーク。彼は70年代から天才
プロデューサーだった。これはパブロ『This
Is』や『Aquarius Dub』など初期ランディー
ズ・プロダクションの音と同じ乾き具合を持ち
つつ、同時に後のダンスホールに受け継がれて
いくタフな感触をも合わせ持った70'sダブの
名盤。上モノのメロディが綺麗な曲ばかりなの
もイイ。男臭いけど適度にスタイリッシュ。」
(「Roots Rock Reggae」より「武田」さんと
いう方のアルバム評より。)

この若いAugustus 'Gussie' Clarkeの感性が、
ルーツから次のダンスホールへと繋がるもの
だったのは、間違いのないところです。

1曲目は「Black Foundation」です。
心地良いドラミングから始まる1曲。
そのからベースにブラスと徐々に盛り上げて
行く、King Tubby'sならではのダブの作り方の
ウマさがあります。

Augustus Clarke - Black Foundation


2曲目は「No, No, No」です。
女性シンガーDawn Pennの同目のヒット曲の
ダブ。
先に書いたBig Youthの「Screaming Target」
やI. Royの「Gussie Presenting I Roy」でも
刺激的なメロディが効果的に使われていた曲
です。
ベースを軸に淡々としていながらも、どこか
ソソる煽情的な面白いダブです。

Gussie Clarke & King Tubby - No, No, No


3曲目は「Free Zone」です。
こちらはベースを主体とした、ズシッと来る
ダブです。
こうした曲で明らかな変化を付けているところ
に、トータルで物事を見る彼の確かな視線を
感じます。

4曲目は「Big Or Small」です。
リディムはDelroy Wilsonの「We're All In
This Together」。
心地良いギターの音色に重いベース、ホーンの
メロディを中心としたダブです。
ストリングスも入って、まさにアーバンな
大人の味わいな1曲。
こういうセンスにAugustus 'Gussie' Clarke
の特徴がよく出ています。

Big Or Small - Gussie Clarke


5曲目は「Creation Dub」です。
こちらは華やかなホーンから、ヴィブラフォン
のような金管楽器を使った曲です。
こうした自由度がAugustus 'Gussie' Clarke
らしさかも。

6曲目は「Rockers Time」です。
こちらは昔懐かしいようなホーンのメロディ
から、シンセなどキーボードを駆使した1曲。
このあたりも音作りのウマさが光ります。

7曲目は「Funny Feelings」です。
こちらは心地よいベースのリズムを中心と
した曲です。
こうしたグルーヴ感の作り方のウマさも
特徴的。

8曲目は「Murderer」です。
こちらはHorace Andyの「Sky Larking」の
リディムを使った1曲。
特徴的なピアノのメロディから、ベースの
ズンと来るサウンドを軸にダブワイズした曲
です。

9曲目は「Late Arrival」です。
こちらは華々しいホーン・セクションから、
甲高いシンセのメロディが面白い遊び心
タップリの1曲。

Gussie Clarke - Late Arrival


10曲目は「Rocking Vibration」です。
からっとしたドラミングにズシッと響くベース、
そのリズム隊にギターやストリングスなどが
うまく絡む1曲です。

11曲目は「One Way」です。
こちらも金管楽器のストリングスに、叩き
つけるようなドラムとズシッとしたベースが
印象的な曲です。

12曲目は「Loving Pauper」です。
こちらはロックステディの時代にDobby Dobson
が歌った名曲「Loving Pauper」のダブ。
「恋する貧乏人」と題された切ないラヴ・
ソングですが、オシャレ感のあるダブに生まれ
変わっています。

Augustus "Gussie" Clarke - Loving Pauper Dub


13曲目は「No Entry」です。
CDボーナス・トラックですが、おそらく
Augustus Pabloと思われるメロディカの
7分55秒にも及ぶ大曲が収められています。
ボーナス・トラックにはもったいない、
Augustus Pablo好きには必聴の1曲。

Augustus "Gussie" Clarke ‎– No Entry 1977


ざっと追いかけて来ましたが、このAugustus
'Gussie' Clarkeの高いプロデュース能力が
よく解るアルバムで、内容はとても良いです。
このAugustus 'Gussie' Clarkeが後のダンス
ホール・レゲエの時代にMusic Worksという
レーベルで大成功を収めたのは、その高い
プロデュース能力から見ればむしろ必然と
言えるでしょう。
そうした彼の高い実力が、垣間見えるアルバム
だと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


アーティスト: Augustus 'Gussie' Clarke
○アルバム: Black Foundation Dub: Augustus Clarke At King Tubby's
○レーベル: Motion Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1977

○Augustus 'Gussie' Clarke「Black Foundation Dub:
Augustus Clarke At King Tubby's」曲目
1. Black Foundation
2. No, No, No
3. Free Zone
4. Big Or Small
5. Creation Dub
6. Rockers Time
7. Funny Feelings
8. Murderer
9. Late Arrival
10. Rocking Vibration
11. One Way
12. Loving Pauper
13. No Entry *
* CD only bonus track

●今までアップしたAugustus 'Gussie' Clarke関連の記事
〇Augustus 'Gussie' Clarke「Greensleeves 12" Rulers: "Gussie" Clarke Music Works 1987-'91」