今回はAdmiral Baileyのアルバム

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「Science Again」です。

Admiral Baileyは80年代後半から90年代に
かけて活躍したディージェイです。
レゲエレコード・コムの彼の紹介ページに
よると、「ジャミーズ隆盛の立役者として
活躍し、80年代を代表するダンスホール・
ディージェイ。」という事が書かれています。
デジタルのダンスホール・レゲエを推し進めた
King Jammyの率いるJammysレーベルで活躍した
看板ディージェイとして、よく知られている
ようです。

アーティスト特集 Admiral Bailey (アドミラル・ベイリー)

今回のアルバムは1989年にRohit
International Recordsというレーベルから
発表されたアルバムです。
このレーベルはJammys傘下のレーベルなのか、
プロデュースはKing Jammyで、バックの演奏
はFirehouse Crewが務めています。
まさにデジタルのダンスホール・レゲエ全盛
の時代に作られた1枚という布陣のアルバム
です。

ちなみに名前の「Admiral」は「提督」という
意味で、おそらく「ベイリー提督」という
彼のあだ名から付いた名前かと思います。

全10曲で収録時間は36分19秒。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Produced and arranged by: King Jammy
Musicians: Firehouse Crew
Recorded & Mixed at: King Jammy's Recording Studio
Recording Engineers: King Jammy, Snakie
Mixing Engieer: King Jammy
All Songs Written by: G. Bailey, L. James
Album Cover Design: James J. Ticchio

となっています。

作曲にあるG. BaileyはAdmiral Baileyの本名
Glendon Bailey、L. JamesはKing Jammyの本名
Lloyd Jamesです。

さて今回のアルバムですが、いかにもこの
デジタルのダンスホール・レゲエの時代
らしいサウンドが聴かれるアルバムで、
内容は悪くないと思います。

この80年代後半は、このKing Jammyプロ
デュースのWayne Smithの「Under Me Sleng
Teng」が初のデジタル・レゲエのヒットを
飛ばした事で、レゲエ界が一気にデジタル化
した時代だったんですね。

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Wayne Smith - Under Me Sleng Teng (1985)

それがKing Jammyによる音楽のデジタル革命、
「コンピューター・ライズド」です。
それまではミュージシャンが生演奏で録音して
いたものが、パソコンの中で音楽が作れる時代
に劇的に変わって行ったんですね。
生演奏からコンピューターによるデジタルの
「打ち込み」に変わる事で、レゲエという音楽
の質も劇的に変わるんですね。

このデジタルのダンスホール・レゲエの誕生
が、レゲエにとっても大きな分岐点で、それ
までのミュージシャンを中心とした音楽制作
から、King Jammyのようなプロデューサーが
主導権を握った音楽制作へと、時代が切り
替わって行くんですね。

その時代にJammysで活躍したディージェイが
この人で、彼はあの「Shabba Ranksの
ライヴァル」という位置づけの人だった
らしいです。

私個人はルーツ・レゲエやアーリー・ダンス
ホールの時代のミュージシャンが生み出す
陰影のあるサウンドが一番好きですが、ただ
こうしたデジタルの陽性なノリも否定する
ものではありません。
ジャマイカの音楽がスカ→ロックステディ→
ルーツ・レゲエ→ダンスホール・レゲエと
スタイルを変えて、よくここまで辿り着いた、
その変化にはむしろ驚嘆すべきものがあり
ます。

今回のアルバムにもそうした陽性なノリが
よく出ていて、いかにもこの時代らしい
サウンドだと思います

1曲目は表題曲の「Science Again」です。
いかにもデジタルの打ち込みのリズムに
乗せた1曲。
この時代になると歌手やディージェイは
「専門職」となり、曲作りはプロデューサー
に任せて、いかに曲に自分のニュアンスを
持ち込むかに腐心する事になります。
このAdmiral Baileyらしい硬派なトース
ティングが魅力です。

Admiral Bailey - Science Again


2曲目は「You Can Do It」です。
リディムはSound Dimensionのロックステディ
の時代のヒット曲「Real Rock」です。
打ち込みとシンセのメロディに乗せた曲
です。
表情豊かなAdmiral Baileyのトースティング
もグッド!

リズム特集 Real Rock (リアル・ロック)

3曲目は「Put Down The Gun」です。
こちらも打ち込みのリズムに、Admiral
Baileyの楽し気なトースティングで聴かせる
曲です。

Admiral Bailey - Put Down The Gun


4曲目は「Bawling For Mandella」です。
リディムはLarry Marshallの「Throw Me Corn」。
こちらは後に南アフリカの大統領になった
ネルソン・マンデラについて歌った曲の
ようです。
黒人の権利の為に投獄された彼を歌った曲
のようですが、その曲調が明るいのも
レゲエ流のヤリ方です。

Bawling for Mandela - Admiral Bailey (reggae music)


リズム特集 Throw Me Corn (スロウ・ミー・コーン)

5曲目は「Bullet Proof Body」です。
こちらも打ち込みの陽性なリズムの曲です。

ADMIRAL BAILEY - BULLET PROOF BODY


6曲目は「Can't Fool The Woman Again」
です。
リディムはDon Drummond & Skatalitesの
スカの時代のヒット曲「Heavenless」。
ここでも表情豊かなトースティングを聴か
せています。

リズム特集 Heavenless (ヘブンレス)

7曲目は「Red Eye People」です。
こちらも勢いのある陽性のリズムで聴かせ
ます。

8曲目は「This A The Medley」です。
こちらのいかにも打ち込みといった1曲。
ノリノリのトースティングが冴えます。

9曲目は「Lyrics Factory」です。
こちらのえじたるの軽快なリズムに乗せた
トースティング。
デジタルのある意味ウスい音に乗せて、
Admiral Baileyの軽快なトースティングが
冴えます。

10曲目は「New Brand Slang」です。
こちらはバックに別のディージェイや
合いの手の入った、賑やかな1曲。
華やかなディージェイの空気感があります。

Admiral Bailey - New Brand Slang


ざっと追いかけて来ましたが、この80年代
後半はデジタルのダンスホール・レゲエ
「コンピューター・ライズド」が大流行
した時代で、こうした陽性なノリのレゲエ
が多くの人に人気を博した時代だったん
ですね。
このアルバムはそうした時代の空気を、
うまく表現いているアルバムだと思い
ます。

その初めにあったルーツ・レゲエと較べる
とそのスタイルはだいぶ変化していますが、
不思議とその中にあるポジティヴなエネルギー
自体はあまり変わっていないんですね。
そのポジティヴなパワーこそが、レゲエが
長年に亘って愛され続けてきた理由かも
しれません。

機会があれば聴いてみてください。


○アーティスト: Admiral Bailey
○アルバム: Science Again
○レーベル: Rohit International Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1989

○Admiral Bailey「Science Again」曲目
1. Science Again
2. You Can Do It
3. Put Down The Gun
4. Bawling For Mandella
5. Bullet Proof Body
6. Can't Fool The Woman Again
7. Red Eye People
8. This A The Medley
9. Lyrics Factory
10. New Brand Slang

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