今回はDelroy Wilsonのアルバム

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「Dub Plate Style: Remixed Prince Jammy 1978」です。

elroy Wilsonはスカの時代から活躍する
名シンガーです。
13歳という若さでStudio Oneからデビュー
した彼はスカ→ロックステディ→レゲエと
その後も活躍を続け、素晴らしい楽曲を残し
続けて来たシンガーとして知られています。

1995年に肝硬変からの合併症で亡く
なっています。

アーティスト特集 Delroy Wilson (デルロイ・ウィルソン)

今回のアルバムは2009年にレゲエ・リイ
シュー・レーベルPressure Soundsから発表
されたアルバムです。
このアルバムには元となったオリジナルの
アルバムがあり、それが1978年に
Third WorldというUKのレーベルから発表
された「20 Golden Hits」というアルバム
です。
タイトルにあるようにベスト盤という体裁の
アルバムですが、これが只のベスト盤では
ないんですね。

タイトルに「Dub Plate Style」とあるように、
サウンドシステムのサウンド・クラッシュなど
に用いられる、特別にリミックスし直した
「ダブ・プレート」の音源を集めたアルバム
なんですね。

ダブ・プレート - Wikipedia

販売サイトなどの情報によると、今回の
アルバムはプロデューサーがBunny Leeで、
当時新進気鋭のミキサーだったKing Tubby's
のPrince Jammyを起用して作られたアルバム
という事です。
当時はごく少量しか売りに出されておらず、
ジャマイカでは販売されておらず、マニア
のコレクターズ・アイテムになっていた
アルバムなんだとか。
まだこうしたリミックスが一般化する以前の
作品で、非常に貴重な音源という事らしい
です。

ちなみに表ジャケの小冊子の裏面には、当時
の「20 Golden Hits」のジャケットの写真が
使われています。
(もちろん当時はPressure Soundsのロゴは
ありません。)

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Delroy Wilson - 20 Golden Hits (1978)

全20曲で収録時間は57分19秒。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Musicians:
The Aggrovators & Wailers Band
Drums: Lloyd 'Tin Leg' Adams, Carlton 'Carlie' Barrett,
Carlton 'Santa' Davis, Lowell 'Sly' Dunbar, Winston Grennan
Bass: Aston 'Family Man' Barrett, Robbie Shakespeare
Guitar: Bobby Aitken, Winston 'Bo Peep' Bowen, Lynford 'Hux' Brown,
Albert Valentine 'Tony' Chin, Alva 'Reggie' Lewis,
Earl 'Chinna' Smith, Lorraine 'Ronnie Bop' Williams
Keyboards: Glen Adams, Gladstone 'Gladdie' Anderson, Ansel Collins,
Bernard 'Touter' Harvey, Ossie Hibbert, Earl 'Wire' Lindo,
Jackie Mittoo, Winston Wright
Tenor Saxophone: Tommy McCook
Alto Saxophone: Lennox Brown
Trumpet: Bobby Ellis
Percussion: Herman 'Bongo Herman' Davis, Noel 'Scully' Simms,
Uziah 'Count Sticky' Thompson

Produced & Arranged by: Bunny 'Striker' Lee

Recorded at:
Channel One Recording Studios, Kingston, Jamaica
Engineer: Ernest Hookim
Dynamic Sounds Recording Studio, Kingston, Jamaica
Engineer: Carlton Lee
Harry J Recording Studio, Kingston, Jamaica
Engineer: Sylvan Morris
Randy's Studio 17, Kingston, Jamaica
Engineer: Errol "Errol T" Thompson

Remixed at:
King Tubby's Recording Studio, Kingston, Jamaica
Engineer: Lloyd 'Prince Jammy' James

となっています。

バックはBunny Leeのハウス・バンドThe
AggrovatorsとBob Marleyのバックとして
知られるWailers Bandが担当している
ようです。

多くのミュージシャンの名前があるのは、
Bunny Leeの保管していた多くの音源を
リミックスしている為と思われます。

今回のアルバムには3曲目にThe Wailers
の「I'm Still Waiting」が収められて
いたので、その曲が収められたDelroy Wilson
のアルバム「Sarge」を調べてみましたが、
プロデュースはLloyd Charmersでミュージ
シャンも今回のメンバーとは一致しません
でした。
今回の「I'm Still Waiting」は、曲が
ヒットしたので再録したものなのかも
しれません。

ちなみに「Sarge」は1976年のアルバム
で、いろいろなヒット曲を歌ったカヴァー・
アルバムです。
タイトルの「Sarge」は、「軍曹」という
彼のあだ名だそうです。

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Delroy Wilson ‎– Sarge (1976)

さて今回のアルバムですが、これがとても
素晴らしいアルバムなんですね。
並べられている曲はいずれも彼のヒット曲で、
それだけではただのベスト盤という事になって
しまいますが、まだ若き日のPrince Jammy
がリミックスした事で、ただのベスト盤では
ないさらなる魅力がプラスされているんです
ね。

聴いてみると解りますが、Delroy Wilsonの
まろやかでソウルフルなヴォーカルに、さら
にPrince Jammyによる若々しい息吹が注入
されている印象です。
天才ミキサーとして鳴らした人だけあって、
音作りのウマさはさすが!です。
こうした音源が当時少量しか出回らなかった
のは、かなりもったいなかった気がします。

もちろん今聴いても充分に素晴らしさが解る
アルバムです。

1曲目は「A Bright And Sunny Day」です。
Delroy Wilsonの歌声と解るまろやかな
ヴォーカルが心地良い曲です。
13歳から歌声で生きて来た人だけあって、
その声は特徴がありとても魅力的。

Delroy Wilson - A Bright and Sunny Day


2曲目は「You Have To Get A Beating」
です。
こちらはミリタント・ビートの、攻撃的な
リズムに乗せた1曲です。
長年歌ってきた人だけあって、こうした
ビートでも自分の持ち味を失わずに歌うの
がすごくウマいんですね。

3曲目は「I'm Still Waiting」です。
言わずと知れたThe Wailersの名曲です。
頭からガツンと歌に入り、女性コーラスを
バックに聴かせる1曲に仕上がっています。

Delroy Wilson - I'm Still Waiting


4曲目は「Can I Change My Mind」です。
彼の過去の名曲を、時代に合わせたエコーの
効いたダブワイズしたサウンドに仕上げて
います。
その違和感を感じさせないあたりに、Prince
Jammyのミキサーとしての才能が見えます。

5曲目は「Find Yourself Another Girl」
です。
軽快なギターのリズムに乗せた1曲です。

6曲目は「Ms. Grace」です。
明るいホーン・セクションに乗せた、Delroy
Wilsonのヴォーカルが魅力の曲です。

7曲目は「Living In The Foot Steps Of
Another Man」です。
印象的なギターのフレーズの入る、とても
オシャレ感のある曲です。
彼のソウルフルなヴォーカルが、曲に魅力を
プラスしています。

8曲目は「Better Must Come」です。
ロックステディを思わせる、軽快なギター
のフレーズが印象的な曲です。

ReGGae Music 510 - Delroy Wilson - Better Must Come [Jackpot]


9曲目は「Rain From The Skies」です。
こちらもロックステディを思わせるホーンの
甘いメロディが、強く心に残る曲です。
それにかぶさるように入って来る、Delroy
Wilsonの説得力のあるヴォーカルが最高に
魅力的な名曲です。

Delroy Wilson - Rain From The Skies 1978


10曲目は「Joe Liges」です。
こちらはDelroy Wilsonのまろやかなヴォー
カルが、頭から全開な曲です。
サックス・ソロも一味添えています。

11曲目は「I Am Doing My Thing」です。
こちらはちょっとファンキーな味わいの1曲。
Delroy Wilsonのソウルなノリもカッコいい
曲です。

11 I Am Doing My Thing DELROY WILSON plate style 2009 O REGGAE EM ALTA QUALIDADE HD


12曲目は「She Is Just A Play Girl」
です。
こちらは凝ったイントロから始まる曲で、
彼のソウルフルな歌声が魅力的な曲です。

Delroy Wilson Dub Plate Style 12 She Is Just A Play Girl


13曲目は「Love Uprising」です。
こちらは息の合ったホーン・セクションを
バックに、そるるフルに歌う曲です。

14曲目は「Here Come The Heartaches」
です。
こちらは明るいホーンに乗せた曲です。
伸びのあるヴォーカルが魅力的。

15曲目は「Who Cares」です。
こちらもロックステディの時代のヒット曲
のようです。
刻むようなレゲエのギターに乗せた曲に、
ウマく作り直しています。

16曲目は「Mash It Up」です。
オルガンのメロディから始まる1曲。

17曲目は「Stick By Me」です。
どちらがオリジナルか解りませんが、John
Holtも歌っている曲です。
ピアノメロディに刻むリズム、それにDelroy
Wilsonのヴォーカルという、ルーツを感じる
1曲です。

Delroy Wilson Dub Plate Style 17 Stick By Me


18曲目は「You Are Mine」です。
刻むリズムに乗せた1曲。

19曲目は「Conquer Me」です。
こちらはギターのメロディに乗せた1曲。

20曲目は「Do Good (Everyone Will Be
Judged)」です。
こちらも刻むようなメロディに乗せた1曲。

ざっと追いかけて来ましたが、やはりDelroy
Wilsonの他にない歌声は魅力的。
それにプラスしてオリジナルとはまた違う
Prince Jammyのリミックスが、このアルバム
の価値をさらに高めています。
ある意味ベスト盤とは、ただヒット曲を入れた
だけではなくこうあるべきという見本のような
アルバムなんですね。
早い時期のリミックス、ダブプレートの魅力
を紹介したアルバムとしても、とても価値が
あります。

この時代のルーツの時代のレゲエには、
こうした次の時代に繋がるような革新的な
試みが、見えないところでもたくさん行われ
ていたんですね。
単なるベスト盤と見えて、実は単なるベスト盤
ではない。
それこそがこの時代のレゲエが、時代をけん引
する役目を果たしていたという、なによりの
証しです。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Delroy Wilson
○アルバム: Dub Plate Style: Remixed Prince Jammy 1978
○レーベル: Pressure Sounds
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2009 (1978)

○Delroy Wilson「Dub Plate Style: Remixed Prince Jammy 1978」曲目
1. A Bright And Sunny Day
2. You Have To Get A Beating
3. I'm Still Waiting
4. Can I Change My Mind
5. Find Yourself Another Girl
6. Ms. Grace
7. Living In The Foot Steps Of Another Man
8. Better Must Come
9. Rain From The Skies
10. Joe Liges
11. I Am Doing My Thing
12. She Is Just A Play Girl
13. Love Uprising
14. Here Come The Heartaches
15. Who Cares
16. Mash It Up
17. Stick By Me
18. You Are Mine
19. Conquer Me
20. Do Good (Everyone Will Be Judged)

●今までアップしたDelroy Wilson関連の記事
〇Delroy Wilson「Dancing Mood」
〇Delroy Wilson「Sarge」
〇Delroy Wilson「The Best Of Delroy Wilson: Original Twelve」
〇King Tubby's (Prince Jammy) And The Agrovators, (Delroy Wilson)「Dubbing In The Back Yard / (Go Away Dream)」
〇Delroy Wilson「Better Must Come」
〇Various「Can't Stop The Dread」