今回はSound Dimensionのアルバム

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「Jamaica Soul Shake Vol 1」です。

Sound Dimensionはロックステディから
初期レゲエの時代にStudio Oneのバック・
バンドとして活躍したグループです。
当時はバック・バンドのメンバーは固定して
おらず、集まれる人達が集まって録る
「プラスティック・バンド」の形式が一般的
だったのですが、キーボードのJackie Mittoo
を中心に、ベースにThe Heptonesのリード・
ヴォーカルのLeroy Sibbles、ギターのErnest
Ranglin、サックスにRoland Alphonsoや
Deadly Headley Bennett、トロンボーンの
Vin Gordon(Don D Junior)などが参加して
いたようです。

ちなみにStudio Oneのバック・バンドは、
Soul Defenders→Soul Vendors→Sound
Dimensionと名前が変わって行ったようです。
こうしたバンドがロックステディからレゲエ
に至る時代のジャマイカの音楽をけん引して
行ったんですね。

The Sound Dimensions - Wikipedia

ついでにロックステディにつても一言説明
しておきます。
ロックステディは1966年から68年にかけて
のわずか3年間だけジャマイカで流行した
ポピュラー音楽で、アメリカ音楽に影響を受けた
スローで甘いメロディを特徴とする音楽です。
そのけん引役を果たしたのはスカの時代に
The Skatalitesでキーボード奏者として活躍
したJackie Mittooと、トリニダッド・トバコ
出身のギタリストLyn Taittで、この短い期間
に数々の名曲を作り上げて、ジャマイカの音楽界
を盛り上げたんですね。
ところが彼らがカナダ移住を決めてしまった為
に、ロックステディのブームはわずか3年で
終わってしまうんですね。
その後に60年代の終わりに誕生した音楽が
レゲエ(ルーツ・レゲエ)という訳です。

ロックステディ - Wikipedia

今回のアルバムは2007年にSoul Jazz
Recordsから発売された、Sound Dimensionの
ロックステディから初期レゲエの時代の音源
を集めたコンピュレーション・アルバムです。
「Heavy Beat」や「Bitter Blood」、「Full Up」
など、彼らの代表的なリディムが多数収められ
ており、聴きどころ満載のアルバムになって
います。
またCarlton & The Shesのヒット曲「Love Me
Forever」のインスト・ヴァージョン「Upsetters
Dream」や、The Gladiatorsのヒット曲「Sonia」
のインスト・ヴァージョン「Solas」など、彼ら
のバック・バンドとしての優秀さを証明する
名演が多数収録されています。

このSound Dimensionは知名度はそれほど高く
ありませんが、Jackie Mittooを中心にその後の
レゲエの発展の元となるリズムや音楽を作った
重要なグループと言われています。
今回のアルバムにもたくさんのリズムが収め
られていますが、それらのリズムはその後も
長くジャマイカの音楽として愛され続ける事に
なるんですね。

ちなみに今回のアルバムの翌年の2007年
には、Sound Dimensionを特集したアルバムの
第2集「Mojo Rocksteady Beat」が発売されて
います。

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Sound Dimension - Mojo Rocksteady Beat (2007)

全16曲で収録時間は45分36秒。

詳細なミュージシャンの表記はありません。

ただこのアルバムのケースの裏面には、次の
メンバーと思われる名前が記載されています。

The group featured the first musicians on the
island - Jackie mittoo, Leroy Sibbles, Eric Frater,
Leroy 'Horsemouth' Wallace, Vin Gordon, Ernest Ranglin,
Cedric Brooks and a host of others.

他にもサックスのRoland AlphonsoやDeadly
'Headley' Bennettなども参加していた事が
あったようです。

さて今回のアルバムですが、このロックスティ
から初期レゲエというジャマイカ音楽が世界に
飛躍して行く時代に、その音楽の礎を作った
バンドだけあって内容は文句なしに良いです。
彼らの生み出す蕩けるようにスウィートだ
けれど、反面ガシッと硬いビターなサウンド
は、やっぱり魅力的です。
今聴いても不思議と色褪せない、新鮮な魅力
があります。

1曲目は「Heavy Beat」です。
ピアノイントロから表情のあるホーンが活躍
する1曲です。
アナログの時代だからこその、表情のある演奏が
今回のアルバムの魅力でもあります。
生き生きしたトロンボーンはVin Gordonか?

Sound Dimension - Heavy Rock


2曲目は「Federated Backdrop」です。
ヌケたようなギターのフレーズとサックスの
絡みが素晴らしいです。
ドラムを中心としたガシッと硬いサウンドを
叩きだすリズム隊がうまく演奏を盛り上げて
います。

Sound Dimension - Federated Backdrop (Bamboo)


3曲目は「Baby Face」です。
こちらはホーン。セクションを中心とした1曲
です。
ちょっと懐かしいようなメロディですが、こちら
もHorsemouthの叩き出すドラム・サウンドが
とても魅力的。

4曲目は「Rathid」です。
こちらも懐かしさを感じさせるメロディに、
けっこうハードなバックが面白い曲です。

5曲目は「Bitter Blood」です。
こちらはSound Dimensionの名曲のひとつと
言える曲です。
蕩けるようなスウィートなメロディに、ちょっと
ビターな味わいのあるのが魅力。
泣きのサックスがタマリません。

sound dimension-bitter blood


6曲目は「Love Land」です。
こちらもぜひ聴いてもらいたい、名曲度高し
の1曲。
ホーンにギターのフレーズが一体となった
魅力的な曲です。

The Sound Dimension - Love Land


7曲目は「Full Up」です。
こちらもSound Dimensionの代表曲のひとつ
です。
オルガンのメロディにホーン、とても良い
空気感のある1曲です。

リズム特集 Full Up (フル・アップ)

8曲目は「Upsetters Dream」です。
Carlton & The Shoesのロックステディの
大ヒット曲「Love Me Forever」のリディム
です。
今回のアルバムの中でも白眉の1曲で、歌の
抜けた部分に入っているギターがタマラない
イイ味を出している1曲です。

Sound Dimension - Upsetters Dream


リズム特集 Love Me Forever (ラブ・ミー・フォーエバー)

9曲目はタイトル・ナンバーともいえる
「Soul Shake」です。
こちらはオルガンが魅力的な1曲。
掛け合いのように入るホーン・セクションも
イイ味を出しています。

sound dimension - soul shake - coxsone records


10曲目は「The Thing」です。
味わい深いオルガンのメロディを中心とした
曲です。

11曲目は「My Heart In Rhythm」です。
ギターのイントロからオルガンも絡む、独特の
表情のある1曲。

12曲目は「Man Pon Spot」です。
ディージェイ(カウント・マチュ-キ?)の
掛け声も楽しい、ファンキーな曲です。

Man pon spot- Jackie Mittoo & The Sound Dimension


13曲目は「Holy Moses」です。
こちらもちょっとトボケた味わいの1曲。
ヒューマンなサックスがイイ味を出しています。

14曲目は「Doctor Sappa Too」です。
こちらもディージェイが楽しい1曲。
disk unionのサイトにはディージェイが
カウント・マチューキと書かれていました。
まだ曲の合間に掛け声をかける、「掛け声係」
だった時代の名ディージェイです。

15曲目は「Hail Don D」です。
リディムはThe Heptonesの「Fight To The Top」
のようです。
タイトルから見るとThe Skatalitesの
Don Drummondを偲んだ曲のようで、Don D Junior
として知られるVin Gordonのトロンボーンが
大活躍しています。

16曲目は「Solas」です。
The Gladiatorsのヒット曲「Sonia」のインスト・
ヴァージョンです。
さらに「Sonia」の原曲は、Eric Donaldsonの
大ヒット曲「Cherry Oh Baby」です。
聴けば解るキャッチーなメロディが楽しい
1曲です。

The Gladiators - Solas


ざっと追いかけて来ましたが、レゲエの基礎を
作ったと言われるグループだけあって、楽曲が
すべて素晴らしいです。
また演奏者の顔が見えるような、ヒューマンな
味わいが今回のアルバムの最大の魅力。
ひとつひとつの演奏者のプレイが生き生きと
輝いているんですね。
その輝きは今の時代に聴いても、まぶしいほどの
新鮮な魅力があります。
こうした人々の力があったからこそ、ジャマイカ
の音楽は世界の音楽になった、その事が実感
できるアルバムだと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Sound Dimension
○アルバム: Jamaica Soul Shake Vol 1
○レーベル: Soul Jazz Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2006

○Sound Dimension「Jamaica Soul Shake Vol 1」曲目
1. Heavy Beat
2. Federated Backdrop
3. Baby Face
4. Rathid
5. Bitter Blood
6. Love Land
7. Full Up
8. Upsetters Dream
9. Soul Shake
10. The Thing
11. My Heart In Rhythm
12. Man Pon Spot
13. Holy Moses
14. Doctor Sappa Too
15. Hail Don D
16. Solas