今回はBim Shermanのアルバム

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「Across The Red Sea」です。

Bim ShermanことJarret Lloyd Vincentは、
70年代の後半から活躍するシンガーです。
一時期レゲエとパンクの中間的レーベルOn U
Soundsで活躍したほか、ルーツやニュー・ルーツ
の楽曲を数多く残しているアーティストです。

Bim Sherman - Wikipedia

今回のアルバムはそのOn-U Soundから
1982年にリリースした、彼Bim Sherman
のソロ・アルバムです。
バックにはRoots RadicsやこのOn-U Sound
のバック・バンドDub Syndicateでも活躍した
Style Scottや、Sly & RobbieにChinna Smith、
ホーンのDeadly Headlyにトランペットの
Bobby Ellisなど、この時代に活躍していた
ミュージシャンが集まったアルバムになって
います。

手に入れたのはOn-U Soundからリリースされ
ているCDでした。

ちなみにこのアルバムは、私がまだ若かった
20代の頃にLPでも購入しています。

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Bim Sherman - Across The Red Sea (1982) LP

再びレゲエを買うようになった6年ぐらい前
からはあまりOn-U Soundのアルバムは、どうも
白人の主催者Adrian Sherwoodのプロデュース
が鼻に付いてしまってあまり買わないのです
が(笑)、まだ20代で若かった当時はこの
On-U Soundのアルバムはよく買っていました。
ロックから音楽に入った人間にとっては、パンク
とレゲエの中間的なサウンドで聴き易かった事
と、まだ若いレーベルで前衛的な姿勢の曲作り
が面白かったという事がありました。

ただ再び聴きだしてからは、Adrian Sherwood
のあまりにも自分の思い通りにしようとする、
レゲエのテイストを壊してしまうようなところ
がどうも好きじゃないんですね。
ただこのレーベルを聴いた事で、今回のBim
ShermanやサックスのDeadly Headlyに出会えた
のも事実で、ある意味私にとっては思い出深い
レーベルでもあります。

全10曲で収録時間は43分16秒。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Drums: Style Scott, Eskimo Fox, Sly Dunbar, Donald 'Eek-a-Roo' Campbell
Bass: Lizard, Crucial Tony, Robbie Shakespeare, George Oban
Guitar: Crucial Tony, Chinna, Eek-a-Roo
Keyboards: Carlton 'Bubblers' Ogilvie, Ansell Collins, Crucial Tony
Saxophones: Deadly Headly, 'Flash' Wright
Trumpet: Bobby Ellis
Percussion: Bonjo I, Mr. Magoo

All songs written by J. Wincent

Produced by Adrian Sherwood
Tracks 1,3,9 produced by Jarrett Tomlinson a.k.a. J. Vincent

Recorded & Mixed at Berry St.
Engineers: Steve Smith & Roger
Recorded & Mixed at Channel One & Harry J.
Voiced at King Tubbys
Mastered at Utopia by Kevin Metcalfe
Original Sleeve Design & Photography by Kishi

となっています。

1曲目「Golden Locks」と3曲目「Slummy
Ghetto」、9曲目「Party Time」の
プロデュースはBim Sherman本人、残りの
プロデュースはAdrian Sherwoodとなって
います。

さて今回のアルバムですが、私にとっては若い
頃に何度も何度も聴いたアルバムで、非常に
思い出深いアルバムです。
若い頃はBim Shermanというと、このOn-U Sound
での活躍しか知らなくて、Singers & Playersや
このソロ・アルバムなどをよく聴いていました。
意外とこの時代の彼のヴォーカルも悪くないん
ですね。

ただその後彼がジャマイカでルーツ・レゲエを
やっている音源などを聴くと、やっぱりそっち
も悪くないなぁと思ってしまいます(笑)。
やっぱりイチオシはそっちかなぁ…迷うとこ
です(笑)。
ただ彼はヴォーカリストなので、そういう幅の
広さも魅力だと思います。
このアルバムでも彼のヴォーカルは好調さを
維持していて、聴きどころのあるアルバムに
仕上げています。

また個人的なおススメは、何といっても2曲目
「Revolution」です。
Bim Shermanのヴォーカルも悪くないんですが、
このOn-U Soundで活躍したサックス奏者Deadly
Headlyのゾクゾクするような凄いサックス・
プレイが聴けます。
このDeadly HeadlyのOn-U Soundで作り上げた
音の世界は、他では絶対に聴く事が出来ない
世界なので必聴です。
そうした曲も入っているので、けっこう魅力的
なアルバムだと思います。

1曲目は「Golden Locks」です。
ちょっと陰影のあるメロディに、Bim Sherman
のちょっとベチャっとしたヴォーカルが味わい
深い1曲です。
イイ感じのホーンも魅力。

Bim Sherman Golden locks


2曲目は「Revolution」です。
個人的なイチオシ曲です。
ズンズン来るドラムに乗せた、ジワジワ忍び
寄って来るサックスが滅茶苦茶アブナイ曲
です。
この時代のDeadly Headlyのサックスには、
背筋がゾッとするようなヤバい魅力があり
ます。

Bim Sherman - Revolution 1998


3曲目は「Slummy Ghetto」です。
こちらもリズミカルで、滅茶苦茶カッコいい
1曲。
見逃せないのはBim Shermanのヴォーカルで、
ハードなリズムに乗せたこういう歌い方は
なかなか出来ません。
途中に入るブレイクもすごくカッコいいです。

Bim Sherman - Slummy Ghetto


4曲目は「You Are The One」です。
こちらはリズムカルだけれど比較的メローな
1曲。

5曲目は「Just Like A King」です。
リディムはStranger Cole & Gladstone Anderson
の「Just Like A River」です。
有名リディムを心地良さそうに歌っています。

Just Like A King by Bim Sherman


6曲目は表題曲の「Across The Red Sea」です。
ユッタリとしたリズムに、Bim Shermanの
シッカリしていながら力の抜けたヴォーカルが
際立つ1曲。
この時代の彼の魅力がよく出ています。
このアルバム最長の6分41秒にも及ぶ曲で、
後半はダブになっています。

Bim Sherman - Across the red sea 1998


7曲目は「Golden Morning Star」です。
こちらはちょっとユーモラスさのあるメロディ
の曲です。
ジックリと歌うヴォーカルが味わい深い曲です。

8曲目は「Awake The Slum」です。
こちらは優しく語り掛けるようなヴォーカル
の曲です。

9曲目は「Party Time」です。
このアルバムで2番目に長い5分6秒の曲です。
ソフトなヴォーカルとリズムカルなメロディが、
良い空気感を作っている1曲。
後半はちょっとダブワイズしています。

Bim Sherman - Party time 1998


10曲目は「Sit And Wonder」です。
最後は滑らかでソフトなヴォーカルでシメて
います。

ざっと追いかけて来ましたが、いかにも彼らしい
ヴォーカルが楽しめる内容で、悪くないと思い
ます。
こうしたニュー・ウェーブ系のOn-U Sound
とも付き合えるところが、彼のヴォーカリスト
としての幅の広さなんですね。
そうした底力を持った人だからこそ、プロデュー
サーとしても活躍し、素晴らしいダブを作る事
が出来たのかもしれません。

またDeadly Headlyのゾクゾクするような
サックスを聴けるのも魅力です。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Bim Sherman
○アルバム: Across The Red Sea
○レーベル: On-U Sound
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1982

○Bim Sherman「Across The Red Sea」曲目
1. Golden Locks
2. Revolution
3. Slummy Ghetto
4. You Are The One
5. Just Like A King
6. Across The Red Sea
7. Golden Morning Star
8. Awake The Slum
9. Party Time
10. Sit And Wonder

●今までアップしたBim Sherman関連の記事
〇Bim Sherman, Horace Andy, U Black「Bim Sherman Meets Horace Andy And U Black: In A Rub-A-Dub Style」
〇Bim Sherman「Ghetto Dub」
〇Bim Sherman「Love Forever: The Classic Jamaican Recordings」
〇Bim Sherman「Miracle」
〇Bim Sherman「Rub-A-Dub」
〇Bim Sherman「The Need To Live」