今回はAbyssiniansのアルバム

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「Arise」です。

Abyssiniansはロックステディの時代に「Love
Me Forever」のヒット曲を持つCarlton And
The ShoesのManning3兄弟のうちのコーラス
を担当していた(The Shoesの方)のDonald
ManningとLinford Manningの2人と、ソロ・
シンガーだったBernard Collinsの3人で結成
されたグループです。

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Carlton And The Shoes - Love Me Forever

おもに70年代のルーツ・レゲエの時代に活躍
したグループで、ディープなルーツの名曲
「Satta Massagana」や「Declaration Of Rights」
などで知られる名コーラス・グループです。

アーティスト特集 Abyssinians (アビシニアンズ)

今回のアルバムは1978年に発表された
彼らのセカンド・アルバムです。
Discogsなどを見ると75年に「Satta
Massagana」、77年に「Satta」となっていて
サード・アルバムの扱いになっていますが、
この2枚は内容がかなり似てるのでセカンド
という事で合っていると思います。

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The Abyssinians ‎– Satta Massagana (1975)

ちなみに今回手に入れたCDは2004年に
Virgin Front Lineから発売された「Reggae
Classics」シリーズのCDだったのですが、
裏ジャケットに表記されている曲順と実際に
CDに収められている曲順が違います。
ジャケットに書かれている曲順はオリジナル
からだいぶ順番を変えた曲順になっているん
ですが、実際にはオリジナルのままです。
最後に(実際に収録されている曲順)と
(アルバムに表示されている曲順)の両方を
載せていきましたので、そちらを参照して
ください。

全10曲で収録時間は35分30秒。

詳細なミュージシャンの表記はありません。
ただネットのDiscogsなどを見ると詳細な
メンバーが載っているので、アルバムを作る
際に削除されてしまったようです。
それを見るとドラムにSantaやSly Dunbar、
ベースにLloyd ParksやRobbie Shakespeare、
ギターにEarl 'Chinna' Smith、オルガンと
ピアノにPablo Black、テナー・サックスに
Cedric 'Im' BrooksとTommy McCook、トラン
ペットにBobby Ellisなど、他にも多数の名前
があります。
ミュージシャンの多さから見て、一度に録音
したものではなく録り貯めしたものと思われ
ます。
こうした情報が削除されているのは本当に
残念です。

さて今回のアルバムですが、ファーストの
「Satta Massagana」のような彼らの際立った
ヒット曲がない一見地味なアルバムなんです
が、聴けば聴くほど彼らの良さがジワッと染み
出てくるような、なかなか聴き心地の良い
アルバムなんですね。

2002年シンコー・ミュージック刊行の本
「Roots Rock Reggae」には「山名」さんと
いう方の文章でアルバムについて、このグループ
がManning兄弟とBernard Collinsに分裂寸前で
それぞれが仕切った音源がまとめられたアルバム
というような事が書かれていますが、実際に
聴いた印象としてはそれほど違和感なくまとめ
られていて、派手さはないけれどすごく聴き
心地の良いアルバムに仕上がっていると思い
ます。
特に彼らの美しいコーラス・ワークは、本当に
魅力的です。

1曲目は「Oh Lord」です。
いかにもAbyssiniansらしい美しいコーラス・
ワークの1曲です。

The Abyssinians - Arise - 01 - Oh Lord


2曲目は「This Land Is For Everyone」です。
リード・ヴォーカルの心地良さそうな歌声に
美しいコーラス・ワーク、これぞAbyssinians!
といった1曲です。
Tommy McCookと思われるフルートが、曲にうまく
アクセントを付けています。

Abyssinians -This land is for everyone


3曲目は「Mightiest Of All」です。
こちらはディープ感のあるメロディに丁寧な
歌いぶりが印象的な曲です。
泣きのギターが彩りを添えています。

4曲目は「Meditation」です。
こちらはフワフワとしたギターが、独特の抜けた
空気感を作っている曲です。

5曲目は「Wicked Man」です。
こちらはオルガンのメロディに、シッカリした
ヴォーカルとコーラス・ワークといった曲です。

6曲目は「Jah Loves」です。
Jazzyなギターから美しいコーラス・ワーク
に乗せたヴォーカル、濃厚な世界観が魅力的
な曲です。

Abyssinians - Jah Loves


7曲目は「Dem A Come」です。
心地良いリズムに乗せたヴォーカルが冴える
1曲です。
すっと入って来るコーラス・ワークのウマさ
もグッド。

8曲目は「South African Enlistment」です。
こちらはいかにもルーツといった濃厚のある
ヴォーカルとコーラス・ワークがキマった1曲。
タイミング良い入って玖珠サックスが良い味を
引き出しています。

The Abyssinians - South African Enlistment


9曲目は「Hey You」です。
フワフワしたギターに乗せて語り掛けるような
1曲です。

10曲目は「Let My Days Be Long」です。
濃厚なホーン・セクションのメロディから、
美しいコーラス・ワークに乗せたヴォーカル
が素晴らしい曲です。
時折入るTommy McCookもすごく良いアクセント
になっています。

The Abyssinians - Arise - 10 - Let My Days Be Long


ざっと追いかけて来ましたが、どうしても
ファーストの「Satta Massagana」と較べると
地味に見られがちな今回のアルバムですが、
内容的にはファーストと遜色がないかなり
充実した内容のアルバムなんですね。
特に「This Land Is For Everyone」や「Jah
Loves」、「Let My Days Be Long」などは
ルーツ・レゲエ好きにはぜひ聴いてもらいたい
かなりの名曲だと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Abyssinians
○アルバム: Arise
○レーベル: Virgin Front Line
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1978

○Abyssinians「Arise」曲目
(実際に収録されている曲順)
1. Oh Lord
2. This Land Is For Everyone
3. Mightiest Of All
4. Meditation
5. Wicked Man
6. Jah Loves
7. Dem A Come
8. South African Enlistment
9. Hey You
10. Let My Days Be Long

(アルバムに表示されている曲順)
1. This Land Is For Everyone
2. Dem A Come
3. Meditation
4. Jah Loves
5. South African Enlistment
6. Hey You
7. Let My Days Be Long
8. Wicked Men
9. Mightiest Of All
10. Oh Lord

●今までアップしたAbyssinians関連の記事
〇Abyssinians「Satta Dub」
〇Abyssinians「Satta Massagana (Deluxe Edition)」