今回はLord Creatorのアルバム

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「Don't Stay Out Late: Lord Creator Greatest Hits」です。

Lord Creatorは60年代のスカの時代から
70年代の初期まで活躍した、トリニダード・
トバゴ出身のシンガーです。
「King & Queen」や「Evening News」など多く
のヒット曲を残したシンガーとして知られて
います。

アーティスト特集 Lord Creator (ロード・クリエイター)

今回のアルバムは1996年にVP Records
から発売された、Lord CreatorのRandy's
レーベルからのヒット曲を集めたコンピュレー
ション・アルバムです。
レゲエに詳しい人は知っていると思いますが、
このVP RecordsはRandy'sが発展したレーベル
で、Randy'sを運営していたチン一家がアメリカ
に移住した際に発足したレーベルなんですね。

レーベル特集 Randys (ランディーズ)/17 North Parade

全17曲で収録時間は46分57秒。
7曲目「Ma & Pa」と8曲目「Such Is Life」、
15曲目「Come Down '68」がCDボーナス・
トラックです。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Produced by Vincent 'Randy' Chin
Project Co-ordination by Clive Chin for Above Rock Records Inc.
Complied & Edited by Clive Chin & Paul Shields
Liner Notes by Steve Barrow (Blood & Fire Ltd)
Art Dorection & Design by Ronald G Davidson
Digitally Re-Mastering by Doug Pomeroy
Recording done at Federal Sutudios, Kingston, Jamaica, W.I.
Engineering by Graham Goodhall
Musicians:
Drums: Lloyd Knibbs, Drumbago
Bass: Lloyd Brevett
Guitar: Jah Jerry, Lynn Taitt, Dennis Sindrey
Piano: Gladstone Anderson, Monty Alexander, Jackie Mittoo
Tenor Sax: Tommy McCook, Roland Alphonso
Alto Sax: Lester Sterling
Trumpet: Johnny 'Dizzy' Moore
Trombone: Don Drummond, Rico Rodriguez
"Independent Jamaica" and "Ma & Pa" arranged & Played by Joe Williams Orchestra
All song written by Kendrick Patrick

となっています。

ドラムのLloyd KnibbsにベースのLloyd Brevett、
ホーン陣のTommy McCookにRoland Alphonso、
Johnny 'Dizzy' MooreにDon Drummondという
名前があるので、The Skatalitesがバックの
音源があるのは間違いが無いところです。
またギターに同じトリニダード・トバゴ出身の
ギタリストLynn Taittの名前があるので、スカ
の時代の音源だけではなくロックステディの
音源もあるのかもしれません。

作曲に名前のあるKendrick Patrickは、Lord
Creatorの本名です。

また表ジャケットは4つ折りになっていて、
その片面にはレゲエ博士として知られるBlood &
Fireレーベルの主催者だったSteve Barrow氏の
英文の解説文があります。
さらに表ジャケの裏側には、握手をして首の
あたりを触りあうLord Creator(左)とカリプソ
の王様Mighty Sparrow(右)のモノクロの写真が
載っていて、彼らを紹介する英文と1962年
という年号が書かれています。

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さて今回のアルバムですが、この60年代の
スカの時代の空気感を伝えるなかなか良い
アルバムなんですね。
このスカという音楽は1950年代にジャマイカ
で誕生した音楽で、アメリカのR&Bに影響を
受けて誕生した音楽だと言われています。

スカ - Wikipedia

このスカは60年代の後半まで流行したのです
が、レゲエレコード・コムのLord Creatorの
紹介文などを読むと、カリブ海の国同士で交流が
あり、キューバ出身の(Laurel AitkenやRoland
Alphonso、バルバドス生まれのJackie Opelなど、
近隣の国のミュージシャンもこのジャマイカで
活躍していたんですね。

Lord Creatorもその一人で、カリプソ・シンガー
として活躍していた彼は、ジャマイカの国家独立
を祝う曲「Independent Jamaica」を歌った事を
きっかけに62年にこのジャマイカに移り住み、
活動の拠点をジャマイカにしたんだそうです。
そこからスカの代表的な歌手の一人になって
いったんですね。
さすがに歌ひとつでのし上がってきた人だけ
あって、彼の歌声はすごく魅力的です。

1曲目は表題曲の「Don't Stay Out Late」です。
いかにもスカといったホーンが効いた曲です。
Lord Creatorのソフトでありながら、シッカリと
した歌声も魅力です。


LORD CREATOR - Don't Stay Out Late


2曲目は「I'm Wasting Time」です。
こちらもホーンを中心としたメロディに、Lord
Creatorのソフトな歌声が乗った曲です。
サックスの出入りが良いアクセントになった曲
です。

3曲目は「Wicked Lady」です。
こちらは独特のブギーのようなリズムを持った
曲です。
こちらも良い間で入って来るサックスがキマって
います。

4曲目は「Someday」です。
ユッタリしたホーンとピアノのメロディに
乗せた聴かせる曲です。

5曲目は「King & Queen (Babylon)」です。
こちらは販売サイトの情報などを見ても、彼の
代表曲として紹介されている曲です。
心地良いサックスのイントロからピアノの
メロディに乗せた曲で、Lord Creatorの伸びの
あるヴォーカルがとても魅力的。
時折入るサックスソロもキマっていて、スカと
いう音楽の魅力が凝縮されたような1曲です。

Lord Creator - King & Queen (Babylon)


6曲目は「Man To Man」です。
いかにもスカらしい踊りだしたくなるような
リズムに乗せた、ヴォーカルも冴えを見せる
1曲です。

7曲目は「Ma & Pa」です。
こちらはCDボーナス・トラックです。
カリプソ風の賑やかなサックスに乗せた曲
です。

8曲目は「Such Is Life」です。
こちらもCDボーナス・トラックです。
こちらはロックステディか?スカよりも柔らかい
リズムにの乗せた曲です。
合いの手のように間が良く入るサックスに女性
コーラス、Lord Creatorのヴォーカルも心地
良さそうで、すごくリラックスした感じが魅力
の曲です。

Lord Creator - Such is Life - Randy's records - rockstaedy ska


9曲目は「Forever & Ever」です。
こちらはホーンとピアノのメロディに乗せた
曲です。
いかにもスカというリズムに、アップライト・
ピアノがすごく良いアクセントになっています。

10曲目は「I'm Sorry Now」です。
こちらもホーンのメロディに乗せた、Lord
Creatorの柔軟性のあるヴォーカルが魅力の曲
です。

11曲目は「Take Me To The Party」です。
ちょっと仰々しいようなオルガンのメロディ
から、思い切り感情を込めたLord Creatorの
ヴォーカルという曲です。

12曲目は「Passing Through」です。
こちらは明るいホーンから始まる曲です。

13曲目は「I Am Going To Hold On」です。
こちらはアップ・テンポなスカらしいホーン
で始まる曲です。

14曲目は「Independent Jamaica」です。
ジャマイカが独立国家になった事を記念して
作られた曲で、この曲をきっかけにLord Creator
もジャマイカに移り住んだという、彼にとっても
重要な曲です。
メロディはやはりカリプソの匂いがします。

Lord Creator - Independent Jamaica


15曲目は「Come Down '68」です。
こちらのCDボーナス・トラックです。
68年頃の曲のようなので、メロディはロック
ステディか?

16曲目は「Evening News」です。
こちらも彼の代表曲のひとつらしいです。
華やかなホーンからちょっと甘さのある彼の
ヴォーカルが、良い味を出している曲です。

LORD CREATOR - EVENING NEWS


17曲目は「We Will Be Lovers」です。
こちらはNorma Fraserという女性との
デュエット曲です。
スウィートなサックスのイントロから、息の
合ったデュエットが魅力の曲です。

LORD CREATOR & NORMA - WE WILL BE LOVERS


ざっと追いかけて来ましたが、やはり歌一本
で生きてきた人だけあって、その歌声は本当に
魅力的です。
このスカという音楽はイギリスの不良少年
(若者)の間で輸入元のレコード会社の名前
から「ブルー・ビート」と呼ばれて人気になり、
そうした事をきっかけにジャマイカの音楽産業
は徐々に栄えて行くんですね。
このLord Creatorもそうしたジャマイカ音楽
の隆盛によって、この国で歌うようになった
シンガーだったんですね。
そして今ではこのジャマイカ音楽の一部として
記憶されている人です。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Lord Creator
○アルバム: Don't Stay Out Late: Lord Creator Greatest Hits
○レーベル: VP Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1996

○Lord Creator「Don't Stay Out Late: Lord Creator Greatest Hits」曲目
1. Don't Stay Out Late
2. I'm Wasting Time
3. Wicked Lady
4. Someday
5. King & Queen (Babylon)
6. Man To Man
7. Ma & Pa *
8. Such Is Life *
9. Forever & Ever
10. I'm Sorry Now
11. Take Me To The Party
12. Passing Through
13. I Am Going To Hold On
14. Independent Jamaica
15. Come Down '68 *
16. Evening News
17. We Will Be Lovers (Duet with Norma Fraser)
* Bonus on CD