今回はRobotiksのアルバム

mad_professor_15a

「My Computer's Acting Strange」です。

RobotiksはUKのMad Professorが80年代から
率いるレーベルAriwaで活躍したドラマーです。

Mad ProfessorはこのUKに設立したレーベル兼
スタジオAriwaを拠点として、ラヴァーズロック・
レゲエのアーティストのプロデュースや他ジャン
ルのアーティストのプロデュース、そして自身の
ダブ・アルバムの制作を、80年代からずっと
続けているんですね。

レーベル特集 Ariwa (アリワ)

今回のアルバムは1986年に制作された、
AriwaのドラマーRobotiksのソロ・アルバム
です。
ただソロ・アルバムといっても彼はドラマー
なので、実際にはMad Professorプロデュース
のデジタルなダブ・アルバムという印象です。

ちなみに彼Robotiksはこの前年の85年に
「Man And Machine Dubbing In Harmony 」
というアルバムを同じAriwaから出していて、
今回のアルバムはセカンド・アルバムと
いう事になるようです。
調べた限りではソロ名義のアルバムはこの
2枚で、他に84年に同じくAriwaから
Elektro Robotik Dub Orkestraというバンド
名で「Strictly Automatik」というアルバム
を出しているようです。

全13曲で収録時間は42分44秒。

詳細なミュージシャンの表記はありません。
曲目だけが表記されているだけでした。
ただ多くの販売サイトにミュージシャンの
名前が書かれていました。
それをまとめると以下のようになります。

Backing Vocals: Mad Professor, Joanna Cassar, Black Steel, Sandra Cross
Bass: Errol Nicholson
Guitar: Black Steel
Piano, Synthesizer: Victor Cross
Drums: Robotiks

Produced by: Mad Professor

あと記述を見つける事は出来ませんでしたが、
ジャケットのデザインはScientistの「漫画
ジャケ」シリーズやMad Professorの「Dub Me
Crazy」シリーズのジャケット・デザインを
手掛けるTony Mcdermottで間違いないと思い
ます。

さて今回のアルバムですが、これがなかなか
デジタルな印象のカッコいいダブなんですね。
実際にはほとんどMad Professorのダブ・
アルバムという印象の今回のアルバムですが、
Mad Professor=デジタル・ダブという印象が
ありますが、Mad Professorのネットに載って
いたインタビュー記事などを読むと、実際には
デジタルは嫌いで自分の作りたい音の為に揃えた
アナログの機材を使っているんだとか。
つまり一見デジタルに見えてデジタルでない、
そこにこのMad Professorという人のサウンド
の秘密があるのかもしれません。
彼のサウンドを聴いていると、一見デジタル
に聴こえるサウンドの中にも不思議と表情が
あるんですね。
実は今回のダブもその表情が最大の魅力だったり
します。

このMad Professorは80年代の初めから
もっともデジタルに近いサウンドを作りだして
来た人で、ジャマイカでコンピューター・
ライズドが流行る以前から先進的なサウンド
を生みだして来た人なんですね。
ただ先進的だけれど彼のサウンドにはどこか
ユーモアがある。
そのユーモアの部分は、もしかしたらデジタル
の一番苦手な部分なのかもしれません。
その相反する世界の狭間で音作りをしている
のがこの人なんですね。

今回のタイトル「私のコンピュータが、変な動
きをしているぞ!」は、そのMad Professorの
遊び心がよく出たタイトルで、ジャケットの
B級映画の1シーンのようなイラストと合わせ
て、彼のマッドな世界観をよく表現しています。

実際に聴いた印象も、曲の最後に次の曲の
イントロが入っていたり、その為に曲と曲の
間に変な「間」があったり、急に曲がプツッと
終わったりと、彼Mad Professorらしい実験的
で遊び心いっぱいのダブに仕上がっています。

1曲目は「Dodgy Contacts」です。
エコーのかかった不思議なヴォイスから怪鳥音
と、いかにもMad Professorらしいヤバい
ミックスの曲です。

The Robotiks & Mad Professor - Dodgy Contacts


2曲目は「More Dodgy Contacts」です。
ベースとピアノのメロディからヴァイオリンや
オルガンなどで、ユッタリした中にも独特の
世界を作り上げている曲です。

The Robotiks & Mad Professor - More Dodgy Contacts


3曲目は「The Dopler Effect」です。
エフェクトのかかったヴォイスから、ドラムと
ベースを中心に様々なエフェクトをかけた曲
です。

4曲目は「Drop Out」です。
全体にはベースを軸とした曲ですが、この曲の
最後に5曲目「Dub Bonus」のイントロが
入っているという変わった曲です。
その為4曲目と5曲目の間に、すごく気持ち
の悪い空白の時間があるんですね。
そういう「イタズラ」を仕込むのが、いかにも
Mad Professorらしいところです。

The Robotiks & Mad Professor - Drop Out


5曲目は「Dub Bonus」です。
初めに不明瞭なヴォイス、シンセのメロディ
に男性コーラスといった曲です。

6曲目は「Funk-A-Dub」です。
こちらはファンクかと思うようなベースを
中心としたサウンドです。

7曲目は「Electro-Magnetic Seduction」
です。
こちらはギターとベースを中心としたユッタリ
としたダブ。

8曲目は「Echoes Of Deaf Journalists」
です。
女性のトースティングにヴォーカル、ベース
とギターをしたバックといった曲です。

The Robotiks & Mad Professor - Echoes Of Deaf Journalists


9曲目は「Deaf And Dub」です。
こちらは8曲目「Echoes Of Deaf Journalists」
の女性のトースティングとヴォーカルを抜いた
ダブです。
ソリッドでカッコいいダブに仕上がっています。

The Robotiks & Mad Professor - Deaf & Dub


10曲目は「Thermal Runaway」です。
こちらは明るいホーンの音色から始まる曲です。
変に間の無い音の作りが印象的。

11曲目は「The Duke」です。
こちらは有名なアニメ「ポパイ」のテーマ曲を
使った、ちょっとユーモラスな曲です。
遊び好きのMad Professorらしい顔が見えます。

The Robotiks & Mad Professor - The Duke


12曲目は「Livication Dub」です。
男性のしゃべりからベースを中心に明るい
メロディの曲です。

13曲目は「Sicilian Rock」です。
こちらはちょっと寂し気なフルートのメロディ
を中心とした曲です。

ざっと追いかけて来ましたが、この時代の
Mad Professorはデジタルらしい音源をうまく
使いながら、シャープでソリッドな音作りを
しているのが印象に残りました。
一番Mad Professorの脂の乗り切っていた
80年代の音源で、内容は悪くないと思い
ます。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Robotiks
○アルバム: My Computer's Acting Strange
○レーベル: Ariwa
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1986

○Robotiks「My Computer's Acting Strange」曲目
1. Dodgy Contacts
2. More Dodgy Contacts
3. The Dopler Effect
4. Drop Out
5. Dub Bonus
6. Funk-A-Dub
7. Electro-Magnetic Seduction
8. Echoes Of Deaf Journalists
9. Deaf And Dub
10. Thermal Runaway
11. The Duke
12. Livication Dub
13. Sicilian Rock