今回はHughie Izachaarのアルバム

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「African Melodica Dub」です。

Hughie Izachaarはレゲエの中でも「ニュー・
ルーツ系」に分類される事が多いメロディカ奏者
でもあるマルチ・プレイヤーです。
80年代頃から活動を始めた彼は、おもにUK
のBarry IsaacのレーベルReggae On Topなどを
中心にアルバムをリリースしています。

今回のアルバムは1996年にReggae On Top
から発売されたアルバムです。
実はこのアルバム、誰のアルバムという名義が
書かれていないんですね。
Hughie Izachaarを中心としたReggae On Top
のアーティストの作品で、ここでは販売サイト
などの記述にならってHughie Izachaarの作品
としました。

全12曲で収録時間は47分17秒。
最後の2曲はCDボーナス・トラックです。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Musicians:
Bass: Hughie Izachaar
Drums: Dougie Wardrop
Lead Guitar: Steven Wright, Hughie Izachaar
Keyboards: Hughie Izachaar, Dougie Wardrop
Melodica: Hughie Izachaar
Bongo: Jonah Dan
Rhythm Guitar: Steven Wright, Hughie Izachaar
Percussion: Jonah Dan, Hughie Izachaar
Produced by: Barry Isaac

Cover Artwork: H. Izachaar

となっています。

Hughie Izachaarはメロディカ以外にもベースに
リード・ギター、リズム・ギター、キーボード、
パーカッションと操る多才な人で、マルチ・
アーティストぶりを発揮しています。
この内容から見ても彼のソロ・アルバムという
のは正しいようです。
さらに面白いのは、カヴァーのアート・ワーク
も彼の作品なんですね。

さて今回のアルバムですが、やはりメロディカ
といえばAugustus Pabloというイメージの強い
楽器ですが、Hughie Izachaarのメロディカも
なかなか魅力的で悪くないんですね。
このHughie Izachaar自身もAugustus Pabloに
すごく影響を受けた人のようで、Pabloの
死後のアルバム「Blow Pipe」では、「Tribute
To Augustus Pablo, El' Rockers」という曲を
入れているほどです。

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Hughie Izachaar – Blow Pipe

そうしたAugustus Pabloへの尊敬を素直に
表明しているHughie Izachaarですが、彼の
メロディカはバックがデジタルになった時代
という事もあるのでしょうが、Pabloよりは
もう少しクールな印象です。
ただバックがデジタルであっても、Pabloの
独特なエモーショナルな奏法を研究している
ところも見え、デジタルであってもどこか
情感を持ったサウンドになっているんですね。
彼の音楽はよく「ニュー・ルーツ」という
分類をされますが、ちゃんとルーツ・レゲエ
を学んでいる姿勢が見受けられます。
今回のアルバムはデジタルでクールだけれど、
どこか微妙に温もりも感じるアルバムになって
います。

ちなみに今回のアルバムは2002年シンコー・
ミュージック刊行の本「Roots Rock Reggae」
にも紹介されているアルバムで、そこには
「長井」さんという方の文章で次のように
書かれています。

「UKのマルチ・ミュージシャン、ヒューイ・ア
イザチャーのダブ・アルバム。普段はロンドンに
あるコンシャス・サウンドの専属ミュージシャン
である。このアルバムは打ち込み主体のルーツ・
レゲエで、メロディカをメインにしたインストゥル
メンタルのダブ・サウンド。オーガスタス・パブロ
を連想させるというよりは、ズバリ現代版のパブロ
といった方が適切かも。メロディも良いし、リズ
ム・トラックも格好良い。ダブ処理もなかなか。」
(「Roots Rock Reggae」より「長井」さんと
いう方のアルバム評より)

書かれているように打ち込みの使い方もうまく、
なかなか魅力的な新しいルーツのサウンドを
創造しています。

1曲目は「In South Africa」です。
いきなりメロディカ全開といった曲です。
意外と少人数で作っているとは思えない、音の
厚みがあります。

Hughie Izachaar - In South Africa


2曲目は「San Paulo Rock」です。
ギターのメロディに遅れて入って来る
メロディカ。ギターとメロディカが交互に
入って来るような構成で、うまくダブワイズ
した空間を作り上げています。

Hughie Izachaar San Paulo Rock


3曲目は「Blowing」です。
タイトル通りメロディカのメロディ中心の、
ちょっと哀愁のある1曲。

4曲目は「East Of Ghana」です。
こちらは歯切れの良いメロディかのリズムに
美しいピアノのメロディが絡む曲です。

Hughie Izachaar East Of Ghana


5曲目は「No Escape」です。
主旋律はシンセか何かでそれにメロディカが
時折絡むという展開の曲です。
何度も繰り返されるメロディに、どんどん深み
に堕ち込んで行くような感覚があります。

6曲目は「Silent River」です。
こちらはちょっと語りとヴォーカルが入った
曲です。
こちらもメロディのリフレインが印象的。

7曲目は「Foundation」です。
こちらは寂寥感のあるメロディカを中心とした
曲です。

8曲目は「Spanish Border」です。
寂寥感のあるメロディカとギターの絡みが、
なかなか魅力的な曲です。

Hughie Izachaar - Spanish Border


9曲目は「Road To Addis」です。
こちらはメロディカを多重録音しているのか?
複雑な絡み愛をするメロディカが、面白い味
を出している曲です。

10曲目は「Bingi Man Chant Pt1」です。
こちらも寂寥感のメロディカを中心とした曲
です。
エコーのかかったドラムが、深いメディテー
ション空間に堕ち込んで行く感覚を演出して
います。

11~12曲目はCDボーナス・トラックと
なっています。

11曲目は「Bingi Man Chant Pt2」です。
こちらも10曲目と基本的には同じですが、
ドラミングとエフェクトで変化を付けています。

12曲目は「Revelation Sound」です。
フルートのイントロからメロディカという曲
です。

ざっと追いかけて来ましたが、「現代版の
パブロ」という書き方もされていましたが、
同じフレーズの繰り返しなど現代的な要素を
盛り込みながらも、Augustus Pabloの生み
出したメロディカの魅力もうまく踏襲し、なお
かつ自分らしさもうまく盛り込んだアルバムに
なっていると思います。

このAugustus Pabloのレゲエに持ち込んだ
メロディカという楽器は、彼のエモーショナル
な奏法もあって、レゲエに他の音楽とは違う
特別なニュアンスを与えた楽器なんですね。
今回のアルバムはそうしたAugustus Pabloへ
のリスペクトも込められた、とても面白い
アルバムだと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: (Hughie Izachaar)
○アルバム: African Melodica Dub
○レーベル: Reggae On Top
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1996

○(Hughie Izachaar)「African Melodica Dub」曲目
1. In South Africa
2. San Paulo Rock
3. Blowing
4. East Of Ghana
5. No Escape
6. Silent River
7. Foundation
8. Spanish Border
9. Road To Addis
10. Bingi Man Chant Pt1
(CD Bonus Tracks)
11. Bingi Man Chant Pt2
12. Revelation Sound