今回はLloyd Hemmingsのアルバム

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「The Healer Has Come」です。

Lloyd Hemmingsは70年代後半から活動する
シンガーです。
今回のアルバムの他Yami Boloの曲が半分入った
アルバムなど、何枚かのアルバムをリリース
しています。

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Yami Bolo, Lloyd Hemmings ‎– Yami Bolo Meets Lloyd Hemmings (1993)

今回のアルバムは1995年にAugustus Pablo
のレーベルRockers Internationalからリリース
された彼のソロ・アルバムです。
タイトル曲になっている「The Healer Has Come」
は、すでに1984年にシングルとしてすでに
からRockersリリースされている曲で、そうした
曲を長い年月をかけて録り貯めしてリリースした
アルバムなのかもしれません。

プロデュースはAugustus Pabloで、このアルバム
と同時にダブが作られていて、Augustus Pablo
名義の「Healer Dub」として同年にリリース
されています。

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Augustus Pablo ‎– Healer Dub (1995)

全12曲で収録時間は48分42秒。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Produced by Haile Selassie I (Divine Inspiration)
Co-produced & Arrangement of Music Augustus Pablo (H. Swaby)
Published by Pablo Publishers Ltd.
Recorded at Mixing Lab, Music Works, Tuff Gong & I & I Studios

Engineer: Dr. Marshall
Players of Instruments:
Bass: Ranchie McLean, Danny Thompson, Augustus Pablo
Drums: Benbow Creary, Danny Thompson
Guitar: China Smith, Danny Thompson
Piano & Melodica: Augustus Pablo
Hornes: Dean Fraser
Harmony Singers: Bunny Brissett, Pam Hall, Sensi, Sharon
Tracks 2,, Recorded live at Rockers International Studio

となっています。

晩年のAugustus Pabloは重度の筋無力症に
苦しんだ事で知られていますが、その頃から
アルバムのプロデューサー名にラスタファリズム
の神であるエチオピア皇帝を刻むようになり
ます。
今回のアルバムでも「Haile Selassie I
(Divine Inspiration)」と書かれていますが、
それは彼の信仰心の表れなんですね。

さて今回のアルバムですが、このLloyd
Hemmingsという人は「Augustus Pablo関連」の
アーティストの一人として名前の挙がる人です
が、ダンスホール・レゲエ期に活躍した人の
せいか、その個性は比較的ライトなスマートな
個性の人なんですね。
そうした彼のスマートな個性が、今回のアルバム
ではうまく生きていると思います。
打ち込みなども使用した少し軽めのサウンドに、
Lloyd Hemmingsの少しかすれたヴォーカルが
良い味を出していて、とても聴き心地の良い
アルバムに仕上がっていると思いました。

プロデュースのAugustus Pabloも70年代の
ルーツ・レゲエの頃は得意のメロディカを駆使
したかなり攻撃なサウンドを作っていましたが、
時代にが進むにつれて打ち込みなどもうまく
使ったまろやかなサウンドへと変化して来るん
ですね。
そうしたまろやかになったAugustus Pabloと、
Lloyd Hemmingsの個性がうまくかみ合った
すごくグルーヴ感のあるアルバムに仕上がって
いると思います。

1曲目は表題曲の「The Healer Has Come」
です。
ちょっとアーヴァンな大人の楽曲といった感じ
の曲です。
Lloyd Hemmingsの個性がよく出た1曲。

LLoyd Hemmings The Healer Has Come + Dub

↑後半のダブはありません。

2曲目は「Ethiopia」です。
Augustus Pabloの名曲「Java」のリディムの
曲です。
女性コーラスも美しい、今回のアルバムの中
でも白眉の1曲です。

3曲目は「Rumours Them A Spread」です。
切々と歌うLloyd Hemmingsのヴォーカルが
素晴らしい1曲です。
この曲などにはかなりダンスホールの匂いが
します。

4曲目は「Ini I Kamozi」です。
こちらはソフトで軽快ななオルガンのメロディ
に乗せた曲です。
優しいヴォーカルも魅力。

5曲目は「Light Against Darkness」です。
こちらもソフトで軽快なメロディに乗せた曲
です。

6曲目は「Rock If You Rocking」です。
サックスのヒューマンなメロディに乗せた
1曲です。
ヴォーカルとサックスの掛け合いに、大人の
音楽の味わいがあります。

7曲目は「Hammer Them Down」です。
丁寧な歌いぶりから入る曲で、アクセントの
ように入るメロディカが良い味を出している
曲です。

8曲目は「Let Jah Be Praised」です。
リディムはJackie Mittooの「Drum Song」か?
誘惑的なメロディにLloyd Hemmingsのちょっと
かすれたヴォーカルが良い味を出しています。
7分3秒にも及ぶ曲です。

9曲目は「We Can Work It Out」です。
ギターのメロディに乗せた優しい曲です。

10曲目は「Dub」です。
9曲目「We Can Work It Out」のダブです。
力の抜けたギターのインストに近いダブです。

11曲目は「Every Eye Shall See」です。
こちらも優しい印象の1曲です。

12曲目は「Wickedness Increase」です。
シンセか何かでしょうか?独特のサウンドに
乗せてLloyd Hemmingsの優しいヴォーカルが
魅力的な曲です。
ただ内容的には「Jah Live!」という言葉が
あるように、ラスタファリズムについて歌われ
ているようです。

ざっと追いかけて来ましたが、曲の感じは
すごくアーヴァンですが、内容的にはやはり
ラスタの歌という感じのようです。
そのあたりのギャップもある意味面白いところ
かも。
ジックリと聴かせるLloyd Hemmingsの
ヴォーカルには、何とも言えない優しさがあり、
悪くはないです。
特に2曲目「Ethiopia」は秀逸の出来です。

機会があればぜひ聴いてみてください。

Lloyd Hemmings-Rumors



○アーティスト: Lloyd Hemmings
○アルバム: The Healer Has Come
○レーベル: Rockers International
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1995

○Lloyd Hemmings「The Healer Has Come」曲目
1. The Healer Has Come
2. Ethiopia
3. Rumours Them A Spread
4. Ini I Kamozi
5. Light Against Darkness
6. Rock If You Rocking
7. Hammer Them Down
8. Let Jah Be Praised
9. We Can Work It Out
10. Dub
11. Every Eye Shall See
12. Wickedness Increase