今回はTommy McCookのアルバム

tommy_mccook_04a

「Greatest Hits OF The Skatalites Featuring Tommy McCook」です。

Tommy McCookはスカ→ロックステディ→ルーツ・
レゲエとレゲエの歴史に偉大な足跡を残した
サックス・プレイヤーです。
ジャズのサックス・プレイヤーJohn Coltrane
に憧れて音楽を始めた彼は、60年代のスカの
時代に伝説のバンドThe Skatalitesで活躍
します。
その後もロックステディの時代にはTreasure
IsleレーベルでTreasure Isleの専属バンド
Tommy McCook & The Supersonicsとしてロック
ステディの時代に活躍し、さらに70年代の
ルーツ・レゲエの時代になっても、自身のソロ・
アルバムや数多くのセッションに参加してレゲエ
という音楽を支え、けん引する役割を果たすん
ですね。
1998年に亡くなっています。

アーティスト特集 Tommy McCook (トミー・マクック)

The Skatalitesについても書いておきます。
The Skatalitesはジャマイカがまだスカの時代
だった60年代に活躍したスカ・バンドです。
Tommy McCook、Roland Alphonso、Jackie
Mittoo、Don Drummondといったジャマイカの
当時の一流ミュージシャンが集まったスーパー・
バンドで、ジャマイカの音楽史はこのバンド
から始まったと言えるほどのバンドなんですね。
Studio Oneの専属バンドとして活躍し、数々の
名演を残したバンドなんですが、その活動歴は
意外に短く1963年から65年のわずか3年
間ぐらいしかないんですね。
メンバーのDon Drummondが精神に障害を起こし、
殺人事件を起こして投獄されたことをきっかけ
に解散したと言われています。

アーティスト特集 Skatalites (スカタライツ)

今回のアルバムは1999年にHeartbeat Records
から発売されたアルバムで、そのThe Skatalites
に在籍していた当時のTommy McCookの名演を集めた
アルバムです。
前年にTommy McCookが亡くなっているので、その
追悼盤として作られたアルバムという事なのかも
しれません。

全18曲で収録時間は56分43秒。
18曲目はCDボーナス・トラックのようです。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Produced by C.S. Dodd
Recorded at Jamaica Recording Studio, Kingston, Jamaica. 1962 to 1965
Engineered by C. Dodd with Syd Bucknor
Except 'Goldfinger','A Little Bit Of Heaven','Latin Go Ska',and 'The Answer'
recorded at Federal Records, engineer Graham Goodall
'Jazz Walking', recorded at Treasure Isle Studio, Kingsto, Jamaica,
engineer: Byron Smith
'Goldfinger','A Little Bit Of Heaven','Latin Go Ska', and 'Jazz Walking'
produced by Duke Reid

Musicians:
Tenor Sax: Tommy McCook

with
Drums: Lloyd Knibb
Bass: Lloyd Brevett
Piano: Jackie Mittoo
Guitar: Jerome 'Jah Jerry' Haines
Tenor Sax: Roland Alphonso
Alto Sax: Lester Sterling
Baritone Sax: Dennis Campbell
Harmonica: Charles 'Organaire' Cameron
Violin: Raymond
Trumpet: Frank Anderson, Johnny Moore, Oswald 'Baba' Brooks
Trombone: Don Drummond
Percussion: Larry McDonald, Noel Seally
Hand Claps: Clement Dodd, Blackie, The Studio One Crew
Voice: King Sprty

On 'The Answer','Jazz Walking'
Drums: Carl McLeod
Bass: Lloyd Mason
Guitar: Ernest Ranglin
Trumpet: Billy Cooke
Piano: Cecil Lloyd
Trombone: Don Drummond

となっています。

やはりThe Skatalitesで特徴的なのは管楽器
の多さです。
ジャマイカで50年代半ば頃からそれまでの
メントに変わって流行したのがスカという音楽
ですが、初めはアメリカのブルースやR&Bの
影響が強い音楽だったんですね。
そのスカがイギリスの不良少年の間などで人気
となり、音楽産業が盛んになった事でスカにも
徐々にジャズの素養を持ったミュージシャンが
参加するようになって行くんですね。

スカ - Wikipedia

そうして誕生したスーパー・バンドがこの
The Skatalitesという訳です。
編成を見るとかなりジャズのビッグ・バンドに
近い、管楽器が多く入った編成になっている
のが解ります。
その管楽器をドラムのLloyd Knibbやベースの
Lloyd Brevettなどのリズム隊がうまくサポート
し、ピアノのJackie Mittooなどがうまく彩りを
添えているのがこのThe Skatalitesなんですね。

今回手に入れたCDは表ジャケが小冊子になって
いて、そこには参加したメンバーのほかに、
「Soloists」として曲の中のメンバーのソロ・
プレイの記録が書かれていました。
例えば1曲目「Exodus」のリストを見ると、

1. Exodus
First solo: Frank Anderson
Second solo: Tommy McCook

となっていました。
これを見ると初めのソロはトランペットのFrank
Andersonで、2度めのソロをTommy McCookの
テナー・サックスが務めています。
こうした細かい記録は、聴く上で参考になるので
嬉しいところです。
(このソロ・リストは、最後に曲目とともに
載せておきました。)

さて今回のアルバムですが、スカの時代に活躍
したTommy McCookとThe Skatalitesの軌跡が
解るアルバムで、内容はとても良いと思います。
Tommy McCookはこの後もロックステディの時代
にはTommy McCook & The Supersonicsとして、
ルーツ・レゲエの時代にはソロとスタジオ・
ミュージシャンとして、常にジャマイカの音楽界
を支え続ける事になるのですが、その原点が解る
アルバムとして、とても良く出来たアルバムだと
思います。

彼のお蔭でジャマイカの音楽はルーツの時代に
なっても、常に音楽的バック・ボーンとして
ジャズを持ち続ける事になるんですね。
そうした音楽的なシッカリした基盤があった
からこそ、レゲエは常に発展する事が出来た
とも言えます。

1曲目は「Exodus」です。
The Skatalitesの代表曲のひとつです。
「脱出」と題された曲ですが、The Skatalites
のメンバーの大半がラスタファリアンだったと
言われています。
そんな彼らの望んでいたのは、ジャマイカから
脱出し故郷アフリカに帰る事だったのでしょう
か。

skatalites - exodus


2曲目は「Adam's Apple (A.k.a. Don't Bother
Me No More)」です。
ファースト・ソロがFrank Anderson、セカンドと
エンド・ソロがTommy McCook。
Jazzyなプレイが堪能できます。

Adam's Apple - Tommy McCook & Skatalites


3曲目は「Ska Ba」です。
こちらもファースト・ソロがFrank Anderson、
セカンド・ソロがTommy McCook。
スカ独特の陰影のあるメロディ・ラインがソソる
1曲です。

4曲目は「Freedom Sounds」です。
ファースト・ソロがTommy McCook、セカンド・
ソロがJohnny 'Dizzy' Moore、サード・ソロが
Roland Alphonso、そしてフォース・ソロが
再びTommy McCook。
それぞれの聴かせ場所でのプレイが際立ちます。

The Skatalites - Freedom Sounds (Early Take)


5曲目は「Latin Go Ska (A.k.a. Pachito Eche)」
です。
ファースト・ソロがRoland Alphonso、セカンド
・ソロがLester Sterling、そしてサードソロが
Tommy McCook。
心地良さそうなメロディの1曲。

6曲目は「Cow And Gate」です。
ファースト・ソロがFrank Anderson、セカンド
・ソロがTommy McCook。
こちらも楽し気な雰囲気の1曲です。

7曲目は「Don't Slam The Door」です。
ファースト・ソロがLester Sterling、セカンド
・ソロがFrank Anderson、サード・ソロがTommy
McCookで、フォース・ソロがRoland Alphonso。
こちらも楽しい雰囲気の曲です。

8曲目は「Trotting In」です。
ファースト・ソロがDon Drummond、セカンド・
ソロがRoland Alphonso、サード・ソロが
Johnny 'Dizzy' Moore、フォース・ソロが
Tommy McCook。
自由なジャズのアドリブの空気感があって
なかなか魅力的。

Skatalites / Trotting ---(Coxsone)


9曲目は「Road Block」です。
ソロ・プレイはTommy McCookのみです。
感情表現豊かな彼のプレイが聴けます。

10曲目は「Ska Legion」です。
こちらもソロ・プレイはTommy McCookのみ
です。

11曲目は「Peanut Vendor」です。
主旋律を吹いているのはFrank Anderson
で、セカンド・ソロをTommy McCookが
吹いています。

12曲目は「Sauvitt (A.k.a. Sauvito)」
です。
こちらはピアノのメロディから入るサンバ調
の曲です。
ファースト・ソロがLester Sterling、
セカンド・ソロがTommy McCook。

13曲目は「Goldfinger」です。
こちらもThe Skatalitesの代表曲と言える
曲です。
ファースト・ソロがTommy McCook、セカンド
・ソロがDon Drummond。
初めや間奏に入る声はKing Sprtyか?
軽快なメロディのいかにもThe Skatalites!
といった曲です。

Tommy McCook & the Supersonics - Goldfinger


14曲目は「Junior Jive」です。
ソロ・プレイはTommy McCookのみ。
明るいいかにもスカといった曲です

15曲目は「A Little Bit Of Heaven」
です。
ファースト・ソロがTommy McCook、セカンド
・ソロがOswald 'Baba' Brooks。
ゆったりした空気感に、気持ちの良いサックス
といった曲。

16曲目は「Wheel And Turn」です。
ファースト・ソロがFrank Anderson、セカンド
・ソロがTommy McCook。
ちょっとトロピカルなイメージの曲です。

17曲目は「Jazz Walking」です。
ファースト・ソロがTommy McCook、セカンド・
ソロがBilly Cooke。
Jazzyな空気感が心地良い曲です。

18曲目はボーナス・トラックの「The Answer」
です。
ファースト・ソロがTommy McCook、セカンド・
ソロがBilly Cooke、サード・ソロがDon Drummond、
フォース・ソロがErnest Ranglin。
ジャズの雰囲気たっぷりの名曲です。

Tommy McCook, Drummond, Alphonso, Ranglin & others - The Answer


ざっと追いかけて来ましたが、このスカの時代
のTommy McCookの名演がタップリと楽しめる
内容で、とても良いと思います。
このジャズの素養を生かして、Tommy McCookは
その後もジャマイカの音楽を支え続ける役割を
果たすんですね。
それだけの功績を残したにもかかわらず国葬も
なく、晩年は寂しい最期だったとも言われて
います。

ただ彼の残した音楽は、今も多くの人達に
愛され続けているんですね。
それがミュージシャンとしての、一番大きな
勲章だと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。

The Skatalites - Peanut Vendor (Live)




○アーティスト: Tommy McCook
○アルバム: Greatest Hits OF The Skatalites Featuring Tommy McCook
○レーベル: Heartbeat Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1999

○Tommy McCook「Greatest Hits OF The Skatalites
Featuring Tommy McCook」曲目&ソロ・リスト
1. Exodus
First solo: Frank Anderson
Second solo: Tommy McCook

2. Adam's Apple (A.k.a. Don't Bother Me No More)
First solo: Frank Anderson
Second solo & end: Tommy McCook

3. Ska Ba
First solo: Frank Anderson
Second solo: Tommy McCook

4. Freedom Sounds
First solo: Tommy McCook
Second solo: Johnny 'Dizzy' Moore
Third solo: Roland Alphonso
Fourth solo: Tommy McCook

5. Latin Go Ska (A.k.a. Pachito Eche)
First solo: Roland Alphonso
Second solo: Lester Sterling
Third solo: Tommy McCook

6. Cow And Gate
First solo: Frank Anderson
Second solo: Tommy McCook

7. Don't Slam The Door
First solo: Lester Sterling
Second solo: Frank Anderson
Third solo: Tommy McCook
Fourth solo: Roland Alphonso

8. Trotting In
First solo: Don Drummond
Second solo: Roland Alphonso
Third solo: Johnny 'Dizzy' Moore
Fourth solo: Tommy McCook

9. Road Block
Solo: Tommy McCook

10. Ska Legion
Solo: Tommy McCook

11. Peanut Vendor
Theme: Frank Anderson
Second solo: Tommy McCook

12. Sauvitt (A.k.a. Sauvito)
First solo: Lester Sterling
Second solo: Tommy McCook

13. Goldfinger
First solo: Tommy McCook
Second solo: Don Drummond

14. Junior Jive
Solo: Tommy McCook

15. A Little Bit Of Heaven
First solo: Tommy McCook
Second solo: Oswald 'Baba' Brooks

16. Wheel And Turn
First solo: Frank Anderson
Second solo: Tommy McCook

17. Jazz Walking
First solo: Tommy McCook
Second solo: Billy Cooke

(Bonus Track)
18. The Answer
First solo: Tommy McCook
Second solo: Billy Cooke
Third solo: Don Drummond
Fourth solo: Ernest Ranglin