今回はJustin Hines & The Dominoesの
アルバム「Jezebel + Just In Time」から
「Precious Morning」の歌詞を紹介して
みようと思います。

まずはJustin Hinesという人について一言
説明しておきたいと思います。

Justin Hinesは60年代のスカからロック
ステディの時代、さらには70年代のルーツ・
レゲエの時代に活躍したシンガーです。
スカの時代の63年に出した彼の曲「Carry Go
Bring Come」はジャマイカで大ヒット曲と
なり、その後は曲を出したDuke Reidの
レーベルTreasure Isleの看板スターとなり
大活躍した人なんですね。
そしてその後もリード・ヴォーカルとして
コーラス・グループJustin Hines & The
Dominoesを率いて活躍したのがこの人なん
ですね。
2005年に肺癌のために亡くなっています。

ジャスティン・ハインズ - Wikipedia

ちなみにシンガーのHarace Andy(本名Horace
Hinds)とはいとこで、Harace Andyがデビュー
した頃はこのJustin Hinesの方がずっと有名な
シンガーだったんですね。

今回紹介する曲はそのJustin Hines & The
Dominoesが1976年に出したアルバム
「Jezebel」に収められている1曲です。
私が持っているのは2002年に日本の
ユニバーサル・ミュージックから発売されて
いるCDで、その「Jezebel」と78年の
アルバム「Just In Time」が一つにまとめ
られた2in1仕様のCDでした。

justin_hines_01a
Justin Hines & The Dominoes - Jezebel + Just In Time

中には山名昇さんという方の解説文と、
「Jezebel」の英文と対訳が付いていました。
(「Just In Time」の方の英文と対訳はなし。)

今回はそのアルバムから、若槻眞人・狩野ハイディ
さんという方の訳文を紹介してみたいと思います。


Precious Morning(プレシャス・モーニング) - Justin Hines & The Dominoes

大切な思い出はまだこの胸にある
大切な思い出は年を取らない
誰にも打ち明けたことのない大切な思い出
大切な思い出がこの心に温もりをくれる

お前には肉体があるけれど
俺には大切な心がある
お前はお金やダイヤモンドを持っているけれど
俺には導いてくれる智恵がある

俺は行かなくては
ここを離れなくては…

肉体なんて重要じゃない
大切なのは心
欲しいものを手にするまで
好きなだけ持っていけばいい

俺は行かなくては
ここを離れなくては…

肉体なんて重要じゃない
大切なのは心
欲しいものを手にするまで
好きなだけ持っていけばいい

俺は行かなくては
ここを離れなくては…

(ユニバーサル・ミュージックJustin Hines &
The Dominoes「Jezebel + Just In Time」より、
若槻眞人・狩野ハイディさんという方の訳文より)


Justin Hines And The Dominoes - Precious Morning - (Jezebel)


Justin Hinesはスカの時代の「Carry Go Bring
Come」の大ヒットを飛ばした時代から、ラスタ
ファリズムを信奉していたようです。

ジャマイカではこの60年代のスカの時代から
ミュージシャンの間ではこのちょっとカルトな
宗教ラスタファリズムが信じられていて、あの
The Skatalitesのメンバーも多くはラスタファ
リアンだったという事が言われています。

今ではただの菜食主義運動のように思われている
ラスタファリズムですが、もともとは黒人限定で
入信できる人数も決まっている様なかなりカルト
な宗教で、エチオピア皇帝ハイレ・セラシエを神
とし、黒人のアフリカ回帰を目指し、菜食主義、
マリファナ信仰、現代文明批判などを謳った宗教
でした。

「もともとはアフリカの理想郷ザイオンで心正し
く平和に暮らしていた我々黒人のラスタファリア
ンは、心の汚れた白人たちバビロニアンに奴隷船
に乗せられ、腐敗した物質文明バビロンに連れて
来られた。
しかしラスタファリアンの神であるジャーは常に
我々を見守っており、汚れた心のバビロニアンを
決して許しはしない。
そして審判の時ジャッジメント・タイムが訪れ、
バビロンは崩壊し、バビロニアンは罪の業火に
焼かれて死滅する。
そして心正しきラスタファリアンは解放され、
予言者マーカス・ガーヴェイの船ブラック・
スター・ライナー号でアフリカの理想郷ザイオン
へ帰国し満ち足りた生活を送る。」

確かそうした内容を謳った宗教だったんですね。
ただ予定の年になっても審判の時は訪れず、さら
にレゲエが世界的に普及した事で黒人以外にも
ラスタファリズムを信奉する人間も増え、人数
制限もなくなって、かなりカルト性も薄まって
今の自然賛美・菜食主義の運動のようになって
いったんですね(笑)。

ラスタファリ運動 - Wikipedia

ただこの70年代のレゲエはそうしたカルト性
があったものの、多くの人々に受け入れられて
いったんですね。
その大きな要因と考えられるのは、当時の
完全に白人優位の社会があったと思います。
白人は民族的に優秀で、黒人民族的にバカ、
そういう今考えるとあり得ない事がその時代
には真剣に信じられていたんですね。

ただそういう70年代に黒人はバカじゃない、
今の世界は民族的に平等じゃないと訴えたのが
レゲエという音楽だったんですね。
それはアメリカやヨーロッパ以外の第三世界
から、初めて世界に広がった音楽でした。
このレゲエが広まる事で、徐々に白人支配の
世界は変わって行くんですね。

そしてそういうラスタファリズムの音楽である
Justin Hinesの曲はこう訴えます。

「肉体なんて重要じゃない
大切なのは心
欲しいものを手にするまで
好きなだけ持っていけばいい」

この言葉をあなたはどう聴くでしょうか?
いくら人から搾取しても、人はけっして幸せに
なれるものでもない。
「大切なのは心」。
ものと交換にあなたは大きなものを失っている
かもしれません。

この歌に歌われているような、いくら奪われても
けっして「折れない心」をあなたは持っています
か?
「大切な思い出」は機械や物質やパソコンや
お金やLineでも作れないかもしれません。
あなたはその事を解って生きていますか?

豊かな「名誉白人」として生きているつもりの
あなたは、実は彼らに繰られているただの奴隷
なのかもしれません。
その事にあなたは気付いていますか?

70年代という今から40年ぐらい前に作られた
レゲエという音楽は、今もあなたにその生き方を
問うているのです。