今回はJudah Eskender Tafariのアルバム

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「Rastafari Tell You」です。

Judah Eskender Tafariは70年代後半ぐらい
から活躍するシンガーです。
Discogsなどでこの人のディスコグラフィーなど
を調べてみると非常に寡作な人で、アルバムは
今回のアルバムぐらいで、他はシングルを
リリースしているぐらいなんですね。
それでもコンスタントにシングルを出し続けて
いる人です。

今回のアルバムは1995年にGussie P Records
からリリースされた、Judah Eskender Tafariの
唯一といって良いソロ・アルバムです。

ジャケットにはハート型の中にエチオピア皇帝
ハイレ・セラシエの写真、それを見つめる彼
Judah Eskender Tafariという絵柄になって
います。
彼の頭の部分には「Including onus Track Jah
Light and Dubs」という文字があります。
おそらくこの「Jah Light」という曲が、彼の
一番のヒット曲という事なんだと思います。

ディスコグラフィーを調べてみると、この
「Jah Light」は78年にStudio Oneからリリース
された曲で、他に78年に「Always Trying」、
79年にタイトル曲の「Rastafari Tell You」が
Studio Oneからリリースされています。
そうした曲の再演が今回のアルバムのウリに
なっているようです。

全17曲で収録時間は63分56秒。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Drums: Dave Fluxy, Gussie P
Bass: Leroy Mafia, Steely
Keyboards: Leroy Mafia, Steely, Val Digital Saunders
Guitars: Digital Doc
Tenor Sax: Tim Saunders
Harmonies: Earl Sixteen, Zuruchi, Judah Eskender Tafari
Recorded at: A Class Studio and Music Works by Gussie P, Frenchy and Murphy
Mixed at: The A Class Studio and Music Works by Gussie P
Photography by: Tim Barrow
Cover Design by: Theresa George

となっています。

この90年代になるとミュージシャンもデジタル
のダンスホール・レゲエで活躍したMafia & Fluxy
やSteelyなど、デジタルに強い人が中心になって
いるようです。

さて今回のアルバムですが、これがなかなか
良い内容のアルバムなんですね。
この時代になるとバックは完全にデジタルを
取り入れたサウンドになっていると思うのです
が、そのデジタルの軽さもうまく生かした
ルーツ・サウンドを作っていて、とても心地良い
グルーヴ感のあるアルバムになっていると思い
ます。

そのグルーヴ感重視の曲作りが、特にStudio One
の自身の名曲でも生きていると思います。
実際にStudio Oneの頃の曲と今回の再録と聴き
較べてみると、確かに70年代のStudio Oneの
曲は濃厚なルーツの香りがすごく魅力的ですが、
今回の再録もデジタルの軽さが良い意味で違い
に感じられてそれなりに面白いんですね。

そのグルーヴ感をうまく演出しているのが、
サックスと女性のコーラス・ワークです。
デジタルだけだと無機質なサウンドになって
しまうところを、こうした生音を入れる事で彼
のヴォーカルをうまくフォローしてグルーヴ感
をうまく演出しているんですね。
特にTim Saundersという人のテナー・サックス
は、とても心地良い空気感を作り上げています。
4曲目「Significant Times」はサックス・
ソロがとても印象的な曲ですが、この曲原曲は
特定できませんでしたが、確かTommy McCookの
サックスで聴いた事がある曲です。
こういう人間味があるサックスが入る事で、
アルバムのヴァラエティ感がグッと広がって
いるんですね。
うまくデジタルとルーツ・レゲエの要素を合体
させたようなアルバムで、良いアルバムだと
思います。

ちなみに2002年シンコー・ミュージック
刊行の本「Roots Rock Reggae」には、この
アルバムについて「長井」さんという方の文章
で、次のように書かれています。

「1977年にスタジオ・ワンからデビューした
ジュダ・エスケンダー・タファーライの初フル・
アルバム。実に18年振りの復活。スタジオ・
ワン時代の代表曲「Rastafari Tell You」「Always
Trying」のリメイクや書き下ろしのニュー・
ルーツ・ソングを収録したもの。トラックは
マフィア&フラクシーの完全打ち込みニュー・
ルーツ物。ハードなデジタル・ルーツから
ロック・ステディ・スタイルまで、彼のオール
マイティな歌が楽しめる。」
(「Roots Rock Reggae」より「長井」さんと
いう方のアルバム評より。)

というような事が書かれています。
確かにディスコグラフィーなどを見ると、78~
79年ぐらいまではシングルのリリースが多い人
ですが、80年代はシングル1枚だけと少なく、
90年代になって再び活発に活動を始めた人の
ようです。
「18年振りの復活」はちょっと違うようです
が、このあたりから再び活動を始めているよう
です。

アルバムは「ショーケース・スタイル」という
ほどハッキリ順番通りには並んでいませんが、
全17曲中8曲がダブが収められていて、
そちらも聴きどころになっています。
Gussie Pの作るダブはあまり凹凸を付けずに
フラットな感じが特徴的です。
あまりダブが作られなくなった時代のダブなの
で、かえって注目です。

1曲目は「Jah Spirit」です。
軽めのデジタルな感じのバックに、Eskender
Tafariのヴォーカルにコーラス・ワークと
いった曲です。
軽快なグルーヴ感のある1曲。

JAH SPIRIT - JUDAH ESKENDER TAFARI


2曲目は「Live By The Gun」です。
銃に対してのコンシャスなメッセージを歌った
曲のようです。
多くのタイトルからも解るように、彼はラスタ
としての生き方を追及している人のようです。

3曲目は「Always Trying」です。
こちらは79年のStudio Oneのヒット曲の再演
のようです。
YouTubeで探してもStudio Oneのヴァージョン
の方が人気のようで、このアルバムのヴァー
ジョンは見つかりませんでした。
バックの女性コーラスが、優しいグルーヴ感を
作り上げています。

4曲目は「Significant Times」です。
確かTommy McCookのアルバムか何かでこの曲を
聴いた事がある気がするんですが…。
書いたように何とも言えないサックスのフレーズ
がとてもソソる曲です。

5曲目は「Significant Dub」です。
4曲目「Significant Times」のダブ。
ダブなのでサックスの良さが余計に際立ちます。

6曲目は「African Blood」です。
こちらはルーツ色の強いメロディを持った1曲
です。
ルーツらしい曲調に、Eskender Tafariの
ちょっと粘りのあるヴォーカルが冴えます。

Judah Eskender Tafari - African Blood - 7inch / Recession Beater/Gussie P


7曲目は「Black People」です。
こちらはユッタリとしたリズムに、Eskender
Tafariのジックリと歌い込むヴォーカルが
沁みる曲です。

8曲目は「Song Of David」です。
こちらもソフトなヴォーカルと女性コーラスの
生音が、良いグルーヴ感を醸し出している曲
です。

9曲目は「Rastafari Tell You」です。
YouTubeにあるStudio One時代のこの曲を
聴くと、かなりルーツ色の強い1曲ですが、
今回のアルバムではもう少し滑らかで
スムースな印象の曲になっています。
それがけっして悪くはないんですね。

10曲目は「Rastafari Dub」です。
8曲目「Rastafari Tell You」のダブです。
どこまでも続くようなフラットなダブ処理が
印象的な曲です。

Judah Eskender Tafari ‎- Rastafari Dub (Gussie P)


11曲目は「Jah Light」です。
こちらもイイ感じで入って来るホーンが良い味
を出している曲です。
こうしたヴォーカルを含めた人間的な要素と
デジタルの要素を、Gussie Pというプロデュー
サーはうまくミックスする事に長けているん
ですね。
この時代のグルーヴ感が解ったプロデュースを
しています。

12曲目は「Jah Light Dub」です。
11曲目「Jah Light」のダブです。
泳ぎ回るようなサックスと、シンプルでどこ
までも続くようなデジタルなバックとの取り
合わせが魅力的なダブです。

13曲目は「Spirit Dub」です。
1曲目「Jah Spirit」のダブ。
ちょっとユーモラスささえ感じるメロディに、
あえて無機質な感じをブチ込んで来ているのが
面白いところ。

14曲目は「Trying Dub」です。
3曲目「Always Trying」のダブです。
ヴォーカルやコーラスの人間的な味わいから、
こちらもあえて単調なメロディで聴かせる
浮遊感のあるダブです。

15曲目は「African Dub Part 1」です。
6曲目「African Blood」のダブ。
サックスのイントロからシンセのメロディで
聴かせるダブです。

16曲目は「Song Of David Dub」です。
タイトル通り8曲目「Song Of David」の
ダブ。
こちらもシンセのユラユラ感が、ちょっと
面白いダブです。

17曲目は「Live By The Dub」です。
2曲目「Live By The Gun」のダブ。
こちらのシンセ使いが、うまく曲にニュアンス
を与えているダブです。

ざっと追いかけて来ましたが、またルーツ期
とは違ったルーツ・レゲエの世界を追い求めて
いるのが、このアルバムの面白さかもしれ
ません。
確かにルーツ期のようなズッシリした重さは
ないのですが、この時代らしさの中にスピリット
を感じる、とても心地良さのあるアルバム
だと思いました。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Judah Eskender Tafari
○アルバム: Rastafari Tell You
○レーベル: Gussie P Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1995

○Judah Eskender Tafari「Rastafari Tell You」曲目
1. Jah Spirit
2. Live By The Gun
3. Always Trying
4. Significant Times
5. Significant Dub
6. African Blood
7. Black People
8. Song Of David
9. Rastafari Tell You
10. Rastafari Dub
11. Jah Light
12. Jah Light Dub
13. Spirit Dub
14. Trying Dub
15. African Dub Part 1
16. Song Of David Dub
17. Live By The Dub