今回はThe Uniquesのアルバム

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「Absolutely Rocksteady」です。

The Uniquesは天才シンガーKeith 'Slim' Smith
が在籍した事で知られるロックステディから初期
レゲエの時代に活躍したコーラス・グループ
です。

この'Slim' Smithは1966年から68年の
わずか3年間だけジャマイカで流行した音楽
ロックステディの大スターで、The Techniques
やこのThe Uniquesなどのコーラス・グループの
リード・ヴォーカル、あるいはソロのヴォーカ
リストとして活躍した人なんですね。
その歌声で多くの人々を魅了しましたが、精神
に問題を抱え1、973年に25代半ばという
若さで亡くなっています。
それでも長く人々に愛され続けているヴォーカ
リストなんですね。

アーティスト特集 Slim Smith (スリム・スミス)

今回のアルバムは2010年にレゲエ・リイ
シュー・レーベルPressure Soundsから発表され
た、そのSlim SmithのThe Uniques時代の音源を
集めたアルバムです。
音源としてはBunny 'Striker' Leeの保持する
音源、いわゆる「Bunny Lee音源」が使われて
いるようです。

Riddimguideなどで曲を調べてみると、Uniques
名義の曲ではなくSlim Smith名義の曲として出て
来る曲が多かったです。
ソロの曲もけっこう混ざっているのか?
あるいはThe Uniquesとして録音した曲が、のち
に追悼盤などでSlim Smith名義になっているの
か?
ちなみに1曲だけ女性シンガーDawn Pennの歌う
曲も入っています。
このロックステディという時代の空気感が満載の
アルバムです。

ついでにロックステディについてもちょっと
説明しておきます。
このロックステディはアメリカのソウルやR&B
などに影響を受けた音楽で、スローなリズムに
甘いメロディを特徴とする音楽です。
それまでのスカに代わって66年頃からジャマ
イカで大流行した音楽で、その中心人物は
Jackie Mittooと、今回のアルバムにも参加して
いるトリニダ―ド・トバゴ出身のギタリスト
Lynn Taittなどでした。
ところが彼らがカナダ移住を決めてしまった事で、
流行はわずか3年で終わってしまうんですね。
そのロックステディの後の、60年代の終わり頃
から流行したのがレゲエという訳です。
ただわずか3年間流行した音楽だったにもかかわ
らず、ロックステディの時代の曲の多くがルーツ
からダンスホールと変わって行くレゲエの中で、
長く名リディムとして使われ続けて行くんですね。

ロックステディ - Wikipedia

全18曲で収録時間は54分00秒。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

The Uniques:
Keith 'Slim' Smith, Ken Boothe, Derrick Morgan, Jimmy Riley,
Horace 'BB' Seaton, Roy Shirley, Lloyd 'Charmers' Tyrell,
Franklyn White

Musicians:
Lynn Taitt & The Jets:
Bass: Bryan Atkinson
Drums: Joe Isaacs
Guitar: Nerlynn 'Lynn' Taitt, Lynford 'Hux' Brown
Piano: Gladstone 'Gladdy' Anderson, Theophilus 'Easy Snapping' Beckford
Organ: Winston Wright

Bobby Aitken & The Carib Beats:
Bass: Vincent White
Drums: Winston Grennan
Guitar: Bobby Aitken
Piano: Bobby Kalphat
Organ: Ansel Collins
Alto Saxophone: Alphanso Henry
Tenor Saxophone: Val Bennett, Lester Sterling
Trombone: Vincent 'Don D Junior' Gordon, Dave Parks
Trumpet: Mark Lewis, Lester Sterling

Produced by Bunny 'Striker' Lee

Recorded at:
Federal Records Studio Limited
Engineer: Louis 'Buddy' Davidson
Treasure Isle Recording Studio
Engineer: Byron Smith
WIRL (West Indies Records Limited)
Engineers: Lynford 'Andy Capp' Anderson, Graeme Goodall

となっています。

驚くのはThe Uniquesのメンバーの多さです。
だいたい写真などを見ると3人で写っている事
が多いのですが、8人の名前があります。
おそらくいろいろメンバーの移り変わりがあった
模様です。
ちなみに一番よく知られているThe Uniquesは、
リード・ヴォーカルがSlim Smithで、バックの
ヴォーカルがJimmy RileyとLloyd Charmersと
いう組み合わせのようです。
ただKen BootheにDerrick Morgan、'BB' Seaton
など、ソロとしても活躍した人が多く在籍して
いるのがスゴイですよね。
それだけ当時のスター・グループだったという
事なのでしょう。

バックはLynn Taitt & The JetsとBobby Aitken
& The Carib Beatsが担当しています。

さて今回のアルバムですが、このロックステディ
の時代あるいはSlim Smithというシンガーの好き
な人ならタマラないアルバムだと思います。
今回のアルバムを聴くとよく解りますが、この
Slim Smithという人、25歳ぐらいの短い生涯
にもかかわらず名曲をたくさんの残している人
なんですね。
ファルセットの入ったその歌声は、やっぱり人
を惹きつける魅力があります。

このSlim Smithの居たThe Uniquesのライヴァル
がThe Wailersなんだそうです。
Jimmy Rileyの言葉によると、The Wailersの
Bob MarleyはSlim Smithを恐れていたんだとか。
後に「レゲエの神様」と呼ばれるBob Marleyで
さえ畏怖の念を抱くほど、Slim Smithの実力は
突出したものがあったんですね。
その魅力が解るのが、今回のアルバムです。

1曲目は「Give Me A Love」です。
明るいホーンのイントロから、Slim Smithの伸び
のあるヴォーカルにコーラス・ワークといった曲
です。
やはりファルセットのかかったヴォーカルには、
とても惹かれるものがあります。

2曲目は「You Lied To Me」です。
ロックステディらしいギターのメロディから、
ユッタリした入りのファルセット気味の
ヴォーカル。
このグルーヴ感はロックステディならではの
ものがあります。

Slim Smith - You Lied To Me ( Rare Track)


3曲目は「Let's Get Together」です。
こちらもホーンを中心としたユッタリとした
メロディに乗せた伸びのあるヴォーカルが魅力
の曲です。

4曲目は「Stand Up And Fight」です。
ロックステディというよりはレゲエに近い
リズムの1曲です。
ウンチャカ・リズムにホーンという取り合わせ
がナイスな曲。

5曲目は「People Rock Steady」です。
イントロの甲高いサックスの音色が強い印象を
残す曲です。
その後のまろやかなヴォーカルも心地よい曲
です。

Slim Smith & The Uniques - People Rocksteady


6曲目は「Facts Of Life」です。
ユッタリとしたサックスにファルセット気味の
コーラス・ワークという取り合わせの曲です。
交互に歌うような凝ったヴォーカル・ワークが
面白い曲です。

7曲目は「This Feeling」です。
こちらは軽快なギターのリズムに乗せた、
ファルセットという曲です。

8曲目は「Trying Hard To Find A Home」
です。
こちらの高音ながらソフトな歌い口が印象的な
曲です。
バックは比較的硬めの演奏で、ホーン・ソロも
入り、うまくソフトなヴォーカルを引き立てて
います。

Slim Smith & The Uniques - Trying Hard To Find A Home


9曲目は「Blinded By Love」です。
こちらはギターの刻むリズムに乗せた、高音を
生かしたヴォーカルが心地良い曲です。

10曲目は「You Don't Care (You'll Want Me
Back)」です。
これぞSlim Smith!といった代表曲です。
やっぱり良い曲ですね。
YouTubeでこの曲を探したらSlim Smith And
The Gayladsというのが出て来ました。
そういえばメンバーの中に'BB' Seatonの名前が
ありましたね。
The Gayladsで合っているのかもしれません。

Slim Smith And The Gaylads - You Don't Care


リズム特集 You Don't Care (ユー・ドント・ケア)

11曲目は「I'm Lost」です。
こちらもSlim Smithらしい伸びのある高音が
魅力の曲です。
やはり彼のヴォーカルは、人を惹きつけるもの
があります。

12曲目は「Love & Devotion」です。
こちらもコーラス・ワークの素晴らしさに
シビレる1曲です。
このグループの魅力がダイレクトに伝わって
きます。

Slim Smith - Love And Devotion


13曲目は「Let Me Go Girl」です。
ホーンのイントロかいきなりファルセット全開
のヴォーカルという展開の曲です。
ロックステディという音楽の魅力がうまく
詰め込まれた1曲です。

14曲目は Dawn Pennの「I'll Let You Go
(Let Me Go Boy)」です。
こちらは13曲目の「Let Me Go Girl」の、
女性シンガーDawn Pennのカヴァー曲です。
「No No No」で有名な彼女ですが、艶のある
ヴォーカルがとても魅力的。

15曲目は「Where Do I Turn」です。
こちらは丁寧な歌いぶりが印象的な曲です。
曲によって声の表情をいろいろ変えられるのが、
この人の強みなんですね。
優しくシッカリと歌っている曲です。

16曲目は「Have Pity On Me」です。
踊るようなギターのリズムに乗せた曲で、
こちらも丁寧に高音を生かした歌い方をして
いる曲です。
甲高いオルガンのメロディが印象的。

Slim Smith - Have Pity On Me


17曲目は「Build My World」です。
初期レゲエぐらいの曲なのか、硬いドラムの音に
コーラス・ワークが気持ちの良い曲です。
ここでも伸びのあるファルセットが良い味を
出しています。

18曲目は「The Beatitude (Version Two)」
です。
こちらもThe Uniquesの代表曲といえる1曲です。
素晴らしいヴォーカルとコーラス・ワークが
聴く者を魅了する1曲です。

ざっと追いかけて来ましたが、やはりこのロック
ステディの時代のSlim Smithのヴォーカルには
人を惹きつけるものがあります。
こういう素晴らしいヴォーカリストが若くして
亡くなっているのは、本当に残念な事です。
ただ彼の残した数々の歌は、けっして輝きを
失わず今も多くの人を魅了し続けています。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: The Uniques
○アルバム: Absolutely Rocksteady
○レーベル: Pressure Sounds
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2010

○Uniques「Absolutely Rocksteady」曲目
1. Give Me A Love
2. You Lied To Me
3. Let's Get Together
4. Stand Up And Fight
5. People Rock Steady
6. Facts Of Life
7. This Feeling
8. Trying Hard To Find A Home
9. Blinded By Love
10. You Don't Care (You'll Want Me Back)
11. I'm Lost
12. Love & Devotion
13. Let Me Go Girl
14. I'll Let You Go (Let Me Go Boy) – Dawn Penn
15. Where Do I Turn
16. Have Pity On Me
17. Build My World
18. The Beatitude (Version Two)