今回はJohnnie Osbourne (Johnny Osbourne)のアルバム

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「Yo-Yo」です。

Johnnie Osbourne (Johnny Osbourne)は60年代
のロックステディの時代から80年代のデジタル
のダンスホール・レゲエの時代まで長く活躍した
シンガーです。
ロックステディの時代にはThe Sensationsの
メンバーとして「Come Back Darling」などの
ヒット曲を残して活躍するのですが、デビュー・
アルバム「Come Back Darling」をリリースした
その日にカナダに移住してしまい、そちらで
音楽活動をした後に70年代の後半にまた
ジャマイカに戻って来たという人です。
そしてStudio Oneから79年にアルバム
「Truths And Rights」を出して復活。
ベテランながらダンスホール・レゲエから
デジタルのダンスホール・レゲエの時代にも
活躍を続けたのがこのJohnny Osbourneなん
ですね。

アーティスト特集 Johnny Osbourne (ジョニー・オズボーン)

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Johnny Osbourne - Truths And Rights (1979)

今回のアルバムは1982年にArrivalという
レーベルから発表されたアルバムです。

2002年シンコー・ミュージック刊行の本
「Roots Rock Reggae」にも紹介されている
アルバムですが、そこに書かれている記述に
よると「グリーンスリーヴスの『Never Stop
Fighting』と9割同内容」のアルバムなんだ
そうです。
ネットで調べてみたところ、「Never Stop
Fighting」は全10曲で、多少タイトルの
変わっている曲もあるようですが、同じような
タイトルの曲が多いです。

Johnny Osbourne ‎– Never Stop Fighting

このアルバムが9曲なので、おそらくこの
アルバム+1曲で別タイトルにしたものと
思われます。

なお今回のアルバムのSide 2の曲順に、表記
の間違いがあるようです。
ジャケットも盤面の表記も1曲目が「Under 31」
で2曲目が「Never Stop Loving」となって
いますが、歌詞やネットで調べた曲などから
みて、1曲目が「Never Stop Loving」で2曲目
が「Under 31」のようです。

Side 1が5曲、Side 2が4曲の全9曲。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Produced and Arranged by: Henry 'Junjo' Lawes
Backed by The Roots Radics Band
Recorded at Channel One
Re Mixed at King Tubby's

となっています。

プロデュースはVolcanoレーベルのHenry 'Junjo'
Lawes、演奏はRoots Radics。
ミックスは単にKing Tubby'sとなっていますが、
ネットの「Never Stop Fighting」の方の記述を
見るとScientistとなっていたので、Scientist
で間違いないと思います。
このアーリー・ダンスホールで活躍した人達が
揃った、最高の布陣での録音だと思います。

さて今回のアルバムですが、このアーリー・
ダンスホールの良い空気感があるアルバムで、
内容はとても良いです。
このJohnny Osbourneというヴォーカリストが
一時はカナダで活動していたにもかかわらず、
なぜ復活する事が出来たのか?
それはやはり誰にも代えがたいシッカリした
実力を持ったシンガーだったからなんですね。
今回のアルバムにもそうした彼の歌声の魅力が、
シッカリと刻まれています。

前述した本「Roots Rock Reggae」にはこの
アルバムについて、「孝」さんという方の文章
で次のように書かれています。

「(前略)…華美なミックスは抑えられ、生々
しく強烈なアタックを聴かせるルーツ・ラディ
クス。オズボーンの喉も絶好調だし、曲も粒
ぞろい。「Water Pumping」や「Bye Bye」など、
よりダンス・チューンとしてのインパクトが強調
されていく後のヒットよりも、曲のどっしりと
した聴き心地で優る。」
(「Roots Rock Reggae」より「孝」さんという
方のアルバムの紹介文より。)

文章にあるようにJohnny Osbourneの歌声の魅力
が、よく出たアルバムだと思います。

Side 1の1曲目は「Have A Little Mercy」
です。
ガシッと心を鷲掴みされちゃうような、魅力的な
ヴォーカルの曲です。
裏声も含めて彼のヴォーカルがただただカッコ
いい!そんな1曲です。

Johnny Osbourne "have a little mercy"


2曲目は「Give A Little Love」です。
Johnny Osbourneのヴォーカルに加えて、エフェ
クトも含めたScientistのトンがったミックスも
魅力の曲です。
この時代のダンスホールならではの曲。

JOHNNY OSBOURNE - Give A Little Love


3曲目は「Bacrra」です。
楽し気なワン・ドロップのリズムに乗せた曲
です。
一見ユルくてしかもハード、この時代のダンス
ホール・レゲエの特徴がよく出た曲です。

4曲目は「A Sister」です。
Roots Radicsのユッタリと余裕のある演奏に、
Johnny Osbourneの張りのある歌声が冴える
1曲です。
この時代のRoots Radicsは「隙間だらけの演奏」
などと言われますが、ヴォーカルが入った時に
心地良い演奏を心掛けていて、非常にシンプルで
質の高い演奏をしていて、まさに名脇役!と
いったところがあります。

JOHNNY OSBOURNE - Sister Mister


5曲目は「Curly Locks Girl」です。
こちらもJohnny Osbourneのヴォーカルの素晴ら
しさが光る1曲です。
Roots Radicsの出過ぎない演奏もグッド!

Side 2の1曲目は「Under 31」となっていますが、
「Never Stop Loving」のようです。
明らかに歌詞の中に「Never Stop Fighting」と
いう言葉があります。
「Loving」が「Fighting」となりGreensleeves
のアルバム・タイトルとなったこの曲ですが、
Johnny Osbourneというヴォーカリストの魅力が
よく出た1曲です。

Johnny Osbourne - Never Stop Fighting


2曲目は「Never Stop Loving」となっています
が、「Under 31」です。
浮遊感のあるオルガンのメロディから、ベースを
軸にジックリと聴かせる曲です。

Johnny Osbourne - Over 31 Under 21


3曲目は「Free Lance Lover」です。
いかにもダンスホールという空気感を持った
1曲。
Johnny Osbourneのソフトなヴォーカルが
グッと来ます。

4曲目は表題曲の「Yo-Yo」です。
リディムはCornell Campbellの「Boxing」。
ユッタリとしたリズムに乗せた彼のヴォーカル
が冴える1曲です。
いかにもScientistらしいミックスも魅力。

Johnny Osbourne - Yoyo


ざっと追いかけて来ましたが、こうして1曲1曲
ジックリと聴いてみると、ホントに良い曲が
揃った、捨て曲ナシのアルバムなんですね。
このアルバムを聴くとJohnny Osbourneという
このダンスホール・レゲエの時代に活躍した
ヴォーカリストの魅力が、本当によく解ります。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Johnnie Osbourne (Johnny Osbourne)
○アルバム: Yo-Yo
○レーベル: Arrival
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1982

○Johnnie Osbourne (Johnny Osbourne)「Yo-Yo」曲目
Side 1
1. Have A Little Mercy
2. Give A Little Love
3. Bacrra
4. A Sister
5. Curly Locks Girl
Side 2
1. Under 31 → Never Stop Loving(表記間違い)
2. Never Stop Loving → Under 31(表記間違い)
3. Free Lance Lover
4. Yo-Yo

●今までアップしたJohnny Osbourne関連の記事
〇Johnny Osbourne「Come Back Darling Meet Warrior」
〇Johnny Osbourne「Dancing Time」
〇Johnny Osbourne「Smiling Faces」
〇Johnny Osbourne「Truths And Rights」
〇Johnny Osbourne「Nightfall」