今回はBim Shermanのアルバム

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「Rub-A-Dub」です。

Bim Shermanは70年代の後半ぐらいから活躍
するシンガーで、プロデューサーである人です。
彼はUKのパンクレゲエの中間ぐらいの
レーベル、白人のAdrian Sherwoodの主催する
On U Soundsでも活躍したシンガーとしてよく
知られています。

Bim Sherman - Wikipedia

今回のアルバムは200年にCentury Records
というレーベルから発表されたBim Shermanの
ダブを集めたコンピュレーション・アルバム
です。
詳しい制作年代は解りませんが、おそらく
70年代から80年代にかけて制作されたダブ
なんじゃないかと思います。

全18曲で収録時間は55分47秒。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Players of Instruments by:
The Soul Syndicate Band, The Gladiators Band, Revolutionary Warriors,
Roots Radics, Vin Gordon [Hornes], Bobby Ellis [Hornes]

Produced by: Bim Sherman, except track 14 by Black Lion

Track 9 with Skip McDonald, Doug Wimbish, Keith LeBlanc, Dave Harrow,
mixed at Southern and On-U Studios

となっています。

やはりミュージシャンの多さなどからも、彼の
ダブを集めたコンピュレーションという感じが
出ています。
ミックスの表記がありませんが、おそらく
Adrian SherwoodやKing Tubby、Prince Jammy
といった人達のミックスと思われます。

また表ジャケが3つ折りになっていて、そこに
Steve Bakerという人の1999年12月に
書かれた英文があるのですが、そこにダブと
その元歌が箇条書きで書かれています。
それを写すと、

(1) Love Forever Dub - Love Forever
(2) Lightning Dub - Lightning & Thunder
(3) Golden Dub - Golden Locks
(4) Black Jah Jah Dub - Ever Firm
(5) Keep On Dub - Keep On Trying
(6) I Know Dub - Just Can't Stand It
(7) World Dub - My Whole World
(8) Love Jah Dub - Love Jah Only
(9) Beyond The Hill Dub - Beyond The Hill
(10) Tribulation Dub - Tribulation
(11) Ethiopian Dub - 10,000 Ethiopians
(12) Golden Dub - Golden Stool
(13) Raining Dub - It's Raining
(14) Trenchtown Dub - Down In Jamdown
(15) My Woman Dub - My Woman
(16) Lovers Dub - Lovers Leap
(17) My Brethren Dub - My Brethren
(18) Chancery Dub - Chancery Lane

となっています。
(解りやすいように曲番も追記。)

3曲目「Golden Dub」の原曲「Golden Locks」
は、On U Soundsから出したアルバム「Across
The Red Sea」からの1曲です。

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Bim Sherman - Across The Red Sea (1982)

残念ながら彼のダブ以外のアルバムはあまり
持っていないので、他は確認できませんでした
が、彼の今までで歌ってきた曲のダブを集めた
アルバムという事らしいです。

ちなみに今回のアルバムには12曲目に同じ
「Golden Dub」というタイトルの曲があり
ますが、こちらは「Golden Stool」という曲
のダブのようです。

さて今回のアルバムですが、これがダブの
アルバムとして実に良い内容のアルバムなん
ですね。
どの曲もミックスが素晴らしくまさにBim
Shermanのダブのベストアルバムといった
内容です。
さすがにダブなのでBim Shermanのヴォーカル
はあまり入っていませんが、こうした70年代
ぐらいのダブが好きな人なら聴いて損はない
内容のアルバムだと思います。

1曲目は「Love Forever Dub」です。
84年のアルバム「Danger」に入っている
「Love Forever」のダブのようです。
シンセ・ドラムか何かなのか?独特のタル~ン
とした音(笑)が面白いダブです。

bim sherman - love forever dub


2曲目は「Lightning Dub」です。
こちらもアルバム「Danger」の「Lightning
& Thunder」のダブ。
ベースを軸にホーンやパーカッションなどが
うまく絡んだダブです。

3曲目は「Golden Dub」です。
82年の「Across The Red Sea」に収め
られた「Golden Locks」のダブです。
ホーンのメロディを中心としたユッタリした
メロディのダブです。

4曲目は「Black Jah Jah Dub」です。
こちらは解説文では「Ever Firm」という曲の
ダブとなっていますが、どうもアルバム
「Danger」の「Black Jah Jah Sound」という
曲のダブのようです。
実際に原曲もYouTubeで聴いてみましたが、
この曲で合っているようです。
パーカッションを中心に声のエフェクトも
入った、ちょっと面白い曲です。

5曲目は「Keep On Dub」です。
こちらは「Keep On Trying」という曲のダブ
のようですが、アルバムは見つけられません
でした。
ホーンとベースを中心とした華やかさのある
ダブです。

6曲目は「I Know Dub」です。
こちらもアルバム「Danger」に収められた
「Just Can't Stand It」のダブ。
Bim Shermanの歌声も入った、かなり魅力的な
ダブです。

I Know Dub by Bim Sherman


7曲目は「World Dub」です。
こちらも「Danger」に収められた「My Whole
World」が原曲のダブ。
ベースを軸としたダブ。
ちなみに「Ghetto Dub」にも「World Dub」と
いう曲がありますが、全く別の曲でした。

8曲目は「Love Jah Dub」です。
こちらはアルバムは見つかりませんでしたが、
「Love Jah Only」という曲のダブのようです。
聴き覚えのあるメロディですがリディムは
特定できませんでした。
勢いのあるホーンが心地良いダブです。

9曲目は「Beyond The Hill Dub」です。
こちらは「Beyond The Hill」という曲のダブ。
ドラムの力強いサウンドが心地良いダブです。

10曲目は「Tribulation Dub」です。
「Tribulation」という75年ぐらいの曲
のダブのようです。
(「Tribulation」というタイトルのコンピ
が出ています。)
重いベースのサウンドを軸としたダブです。

11曲目は「Ethiopian Dub」です。
こちらも「Danger」に収められた「10,000
Ethiopians」という曲のダブ。
心地良いオルガンのメロディに乗せたメリハリ
の効いたダブです。

12曲目は「Golden Dub」です。
書いたように3曲目と同じタイトルですが、
「Golden Stool」という曲のダブのようです。
ベースを軸にサックスが面白い感じで入って
来るダブです。

Bim sherman - golden Stool Dub


13曲目は「Raining Dub」です。
こちら79年のアルバム「Lovers Leap
Showcase」に入っている「It Is Raining」
という曲のダブです。
軽快なギターにBim Shermanのヴォーカルも
ちょっと入るダブです。

14曲目は「Trenchtown Dub」です。
こちらは「Down In Jamdown」という曲の
ダブ。
こちらも小気味よいベースとギターを中心
としたダブです。

15曲目は「My Woman Dub」です。
79年のアルバム「Lovers Leap Showcase」
に入っている「My Woman」のダブです。
ベースを軸にBim Shermanのエコーのかかった
ヴォーカルという、なかなかそそるダブです。

Bim Sherman "My Woman Dub"


16曲目は「Lovers Dub」です。
こちらも「Lovers Leap Showcase」から
「Lovers Leap」のダブ。
オルガンのメロディに重いベース、Bim
Shermanのエコーのかかったヴォーカルと
いうダブです。

17曲目は「My Brethren Dub」です。
こちらも「Lovers Leap Showcase」から
「My Brethren」のダブ。
ベースを軸にホーンも絡むダブです。

18曲目は「Chancery Dub」です。
こちらも「Lovers Leap Showcase」から
「Chancery Lane」のダブ。
こちらもベースを軸に耀オルガンのメロディ
が絡むダブです。

ざっと追いかけて来ましたが、アルバムとして
は79年の「Lovers Leap Showcase」と84年
の「Danger」の音源が多く使われているよう
です。
このBim ShermanはAdrian Sherwoodの主催する
On U Soundsで活躍した事もあって、どうしても
ニュー・ルーツ系の人と見られがちなのですが、
実はルーツ・レゲエのヴォーカリストとして
見てもかなりの実力者で、すごく歌声に魅力の
ある人なんですね。
ダブになると彼の声は少ししか入っていません
が、それでも実力が解るほどスゴイ人なんです
ね。

70年代のルーツ・レゲエのダブが好きな人
には、けっこうツボのアルバムなんじゃないか
と思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Bim Sherman
○アルバム: Rub-A-Dub
○レーベル: Century Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2000

○Bim Sherman「Rub-A-Dub」曲目
1. Love Forever Dub
2. Lightning Dub
3. Golden Dub
4. Black Jah Jah Dub
5. Keep On Dub
6. I Know Dub
7. World Dub
8. Love Jah Dub
9. Beyond The Hill Dub
10. Tribulation Dub
11. Ethiopian Dub
12. Golden Dub
13. Raining Dub
14. Trenchtown Dub
15. My Woman Dub
16. Lovers Dub
17. My Brethren Dub
18. Chancery Dub

●今までアップしたBim Sherman関連の記事
〇Bim Sherman, Horace Andy, U Black「Bim Sherman Meets Horace Andy And U Black: In A Rub-A-Dub Style」
〇Bim Sherman「Across The Red Sea」
〇Bim Sherman「Ghetto Dub」
〇Bim Sherman「Love Forever: The Classic Jamaican Recordings」
〇Bim Sherman「Miracle」
〇Bim Sherman「The Need To Live」