今回はPapa San, Anthony Red Roseのアルバム

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「Frontline: Papa San Meets Anthony Red Rose」です。

Papa San80年代から90年代のダンス
ホール・レゲエので活躍したディージェイです。
早口ディージェイとして知られている人なんだ
とか。

アーティスト特集 Papa San (パパ・サン)

Anthony Red Roseは80年代半ばにヒット曲
「Tempo」を歌った事で知られるシンガーです。
80年代半ばはKing Jammyがプロデュースした
Wayne Smithの「Under Me Sleng Teng」が大
ヒットしてコンピューター・ライズドの大ブーム
が起きた頃ですが、「Tempo」はKing Jammyの
師匠であるKingTubbyがプロデュースした作品
で、師匠KingTubbyから教え子King Jammyへの
アンサー・ソングとして知られている曲です。
そうしたエポック・メイキングな曲を歌ったのが
このAnthony Red Roseだったんですね。
彼はその後も歌手として活躍しています。

アーティスト特集 Anthony Red Rose (アンソニー・レッド・ローズ)

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Wayne Smith - Under Me Sleng Teng (1986)

今回のアルバムは1986年に発表された
アルバムで、Side 1がPapa Sanの曲が4曲、
Side 2がAnthony Red Roseの曲が4曲収められた
いわゆる「対決盤」という趣向のアルバムです。

「Under Me Sleng Teng」の初のデジタル・
レコーディングのヒットが85年で、「Tempo」
も85年にヒットしています。
このアルバムはその翌年のアルバムですが、
バックはRoots Radicsでまだアナログ録音の
アルバムです。
おそらくは「Tempo」のヒットを受けて作られた
アルバムではないかと思いますが、録音は
それ以前か後かは解りません。

ちなみにこの86年にAnthony Red Roseは、
KingTubbyのプロデュースでKing Kongとの
対決盤「Two Big Bull In A One Pen」を
出しています。

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Red Rose & King Kong ‎– King Tubbys Presents Two Big Bull In A One Pen (1986)

Side 1にはPapa Sanの曲が4曲、Side 2には
Anthony Red Roseの曲が4曲の全8曲。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Engineers: David Hamilton, Mervin Williams, Christopher Daley, Anthony Kelly
Recorded at: Tuff Gong, Channel 1, Aquarius Studios, Kingston, Jamaica
Percussion: Alvin Haughton, Sky Juice
Rhythm & Lead Guitar: Bingy Bunny, Gibby
Piano: Ansil Collins, Steelie
Bass: Gibby Morrison, Flabba Holt
Drums: Carl Ayton, Style Scott
Design & Art: Orville 'Bagga' Case

Produced by: Dennis 'Star' Hayles, Ossie Thomas

となっています。

エンジニアやスタジオの多さから見て、一度に
録音されたものではなく、音源をかき集めて
まとめたアルバムのようです。
ミュージシャンもRoots Radicsの名前もあります
が、すべてがRoots Radicsという訳では無さそう
です。

さて今回のアルバムですが、いかにもこの時代
のダンスホール・レゲエの空気感が詰まった
アルバムという感じで、内容はなかなか良い
です。
曲の感じから見てデジタルに切り替わる直前
ぐらいの録音といった感じがします。
そうしたアーリー・ダンスホールの空気感が
とても良いんですね。

早口ディージェイとして人気を博すPapa San
もなかなか独自の個性を持っていて面白いし、
Anthony Red Roseも独特のフィーリングがある
歌い方が印象的です。
彼らがしのぎを削ったダンスホールって、
どういう感じだったんだろう?
ちょっとそんな事を思わせるアルバムです。

Side 1にはPapa Sanの曲が4曲収められて
います。
やはりポイントで繰り出される早口は聴きもの
です。

Side 1の1曲目は「Taxi Man」です。
リディムはLittle Royの「Prophecy」です。
一般には「Taxi」リディムとして知られている
リディムです。
なかなかのトースティングですが、ほのぼのと
した楽しさがあります。

Papa San - Taxi Man


リズム特集 Taxi (タクシー)

2曲目は「When It Hot」です。
ちょっと脱力した面白いトースティングの曲
です。
いかにもアーリー・ダンスホールといった
良い味わいの1曲。

3曲目は「Learn A Trade」です。
こちらはLone Rangerの「M 16」リディムの曲
です。
頭から得意の早口がさく裂している曲です。
こうした楽しませ方もいかにもレゲエらしい
ところです。
バックのリズムの刻み方のちょっと面白い
ところがある1曲。

Papa San - Learn A Trade


4曲目は「Pick Your Choice」です。
心地良さそうなトースティングで、バックの
ピアノも良い間の取り方をしている1曲。
息の合った感じが良いグルーヴ感を生んで
います。

Side 2にはAnthony Red Roseの曲が4曲収め
られています。
この時期は彼Anthony Red Roseにとっても一番
勢いのあった時代ではないかと思います。

Side 2の1曲目は「Champion Bubbler」です。
Peter Metro & Yellowmanの「The Girl Is Mine」
のリディム。
さらに辿るとオリジナルはロックステディの時代
のThe Melodians「Come On Little Girl」の
リディムです。
心地良さそうな歌いぶりの曲です。

Anthony Red Rose - Champion Bubbler


リズム特集 Come On Little Girl (カム・オン・リトル・ガール)

2曲目は「True Love」です。
オリジナルはロックステディの時代のSlim Smith
の「Never Let Go」で、Lone Rangerの「Answer」
リディムとして知られている曲です。
ワン・ドロップのユッタリしたリズムで、
シッカリと聴かせるように歌う曲です。
魅力的な空気感のある1曲。

リズム特集 Answer (アンサー)

3曲目は「Cocaine」です。
どうやらドラッグ・ソングのようですが、
こちらもワン・ドロップのリズムで心地良く
聴かせる1曲です。

Anthony Red Rose - Cocaine


4曲目は「Form A Line」です。
リディムはDennis Brownの「Revolution」。
こちらもベースを軸とした心地良い演奏を
バックに、Anthony Red Roseの生き生きと
したヴォーカルが楽しめる曲です。

リズム特集 Revolution/Here I Come (レヴォリューション/ヒア・アイ・カム)

ざっと追いかけて来ましたが、魅力的な曲が
多く、このアーリー・ダンスホールの何とも
言えない空気感が鮮やかに刻まれたアルバム
だと思います。
この後時代は一気にデジタルのダンスホール
へと突き進んでいきますが、やっぱりこの時代
には他にない魅力があります。
その時代に輝いた二人のアーティストの競演は
なかなか魅力的です。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Papa San, Anthony Red Rose
○アルバム: Frontline: Papa San Meets Anthony Red Rose
○レーベル: Weed Beat
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1986

○Papa San, Anthony Red Rose「Frontline: Papa San Meets
Anthony Red Rose」曲目
Side 1 (Papa San)
1. Taxi Man – Papa San
2. When It Hot – Papa San
3. Learn A Trade – Papa San
4. Pick Your Choice – Papa San
Side 2 (Anthony Red Rose)
1. Champion Bubbler – Anthony Red Rose
2. True Love – Anthony Red Rose
3. Cocaine – Anthony Red Rose
4. Form A Line – Anthony Red Rose