今回はFlo & Eddieのアルバム

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「Rock Steady With Flo & Eddie」です。

Flo & Eddieは「Happy Together」のヒットで
知られる白人のポップ・グループThe Turtles
のメンバーだったMark VolmanとHoward Kaylan
が作ったコーラス・ユニットです。
The Turtlesを脱退後はこのユニットでアルバム
を出すかたわらあのグラム・ロックで知られる
T.Rexの「Get It On」のコーラスをしたり、
一時期Frank ZappaのMothersの参加して、フロ
ント・マンとして下品なコントと歌を担当したり
と、かなり自由な音楽活動を続けてきた人達
らしいです。

Flo & Eddie - Wikipedia

今回のアルバムは1981年にその白人の
コーラス・ユニットFlo & Eddieがジャマイカ
のミュージシャンEarl 'Chinna' Smithや
Augustus Pabloなどと制作したロックステディ
のアルバムです。
正直なところレゲエ関連のアルバムとしては、
かなりの「珍盤」と言えるアルバムかもしれ
ません。

ちなみにロックステディとはレゲエが誕生する
以前にジャマイカで流行していた音楽形態で、
スローなリズムと甘いメロディを特徴とする音楽
で、1966年から68年のわずか3年間だけ
流行した音楽です。

ロックステディ - Wikipedia

Side 1が6曲、Side 2が6曲の全12曲。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Vocals: Mark 'Flo' Volman, Howard 'Eddie' Kaylan
Lead, Rhythm Guitar: Earl 'Chinna' Smith
Organ, Piano: Augustus Pablo
Piano, Organ: Leslie 'Professor' Butler
Bass: Aston 'Family Man' Barrett
Drums: Carlton 'Santa' Davis
Percussion: Uziah 'Sticky' Thompson

Additional Musicians:
Sax on 'Dancing Mood': Albert Wing
Organ Solo on 'Those Guys': Andy Cahan
Bass on 'Prisoner Of Love': Jimmy 'Senya' Haynes
Rhodes on 'Prisoner Of Love': Phil Ramocon

Hornes:
Trumpet: The Brackenridge Brothers
Sax: Enroy 'Tenor' Grant, Dean Frazier, Albert Wing
Trombone: Nambo, Walt Fowler

Produced by Flo & Eddie with Earl 'Chinna' Smith & Errol Brown
Executive Producer: Warren Smith, Michael 'Eppy' Epstein

Recorded at Tuff Gong Studios,Kigston, Jamaica
Additional Recording and Mixing at The Indigo Ranch, Malibu, California
Recorded and Mixed by Errol Brown
Assistant Engineers: 'Sticko' Warren Weinburg, Richard Kaplan
Mastered by: Scott Spain
Mastered at: I.A.M.
Photo Coordinator: Nancy Greenwald
Album Photos by: Scott Enyart
Individual Photos: Jack Miller, Donna Cline, Engenia Polos, Jeff Roth
Album Design: Pacific Eye & Ear

となっています。

バック陣を見る限りはギターにEarl 'Chinna'
Smith、オルガンとピアノにAugustus Pabloと
Leslie Butler、ベースが'Family Man' Barrett
で、ドラムが'Santa' Davisに、パーカッション
がStickyとかなり本格的なレゲエの布陣です。
さらにChinnaとミックスのErrol Brownは、
プロデュースにも名を連ねています。
ただよそから来た白人がレゲエを利用したという
ような感じではなく、それなりのリスペクトが
あったんじゃないかと推測されます。

さて今回のアルバムですが、やっぱりレゲエ関連
のアルバムとしては歌っているのが白人の2人組
という事もあり、「珍盤」という扱いのアルバム
になってしまうと思います。
ただバックの演奏もしっかりしているし、内容は
悪くないんですね。

特に驚くのはその選曲で、ある程度'Chinna'
Smithなどのレゲエ・ミュージシャンに助けられ
た部分もあるのかもしれませんが、よくこの時代
のロックステディを知っていないと出来ない
ような選曲なんですね。
特にSide 1の2曲目「Swing And Dine」などは、
Roots RadicsのBingy Bunnyが在籍した事で
知られる3人組コーラス・グループThe Morwells
などもカヴァーしているThe Melodiansの隠れた
名曲で、よくぞこの曲を入れたものだと感心する
1曲です。
他にも調べたけれど誰の曲か解らなかった曲も
あるほど、ロックステディに精通していないと
出来ないような選曲なんですね。

このFlo & Eddieは「Illegal, Immoral and
Fattening(悪い、汚い、その上デブ)」という
自身のアルバムを出しているように、ロックの
世界の中でも独特の世界を持った不道徳な2人組
といった感じの人らしいのですが、それでも
今回のアルバムではかなり素直にロックステディ
の名曲を心地よく歌っています。

Side 1の1曲目は「Prisoner Of Love」です。
あの黒人ロック・シンガーJames Brownの名曲の
ロックステディ・アレンジらしいです。
まったりと優しいメロディがそそる1曲。

2曲目は「Swing And Dine」です。
書いたようにThe Melodiansの隠れた名曲です。
ロックステディをちょっと聴いたぐらいでは
辿り着かない1曲です。
心地良さそうに歌うグルーヴ感がたまりません。

Flo and Eddie - Swing and Dive


書いたようにこの曲はレゲエのレア・グループ
The Morwellsも歌っていて、彼らのアルバム
「Crab Race」にもこの曲が収められています。

morwells_01a
The Morwells - Crab Race (1978)

3曲目は「Stop」です。
この歌は元歌が特定できませんでした。
もしかしたらロックステディ以外の曲なのか?
ホーンをバックに明るく歌っています。

4曲目は「Moving Away」です。
こちらはロックステディ期に活躍したKen Boothe
のStudio Oneの有名曲です。
ゆったりしたロックステディのグルーヴ感が
タマラない1曲です。

Moving Away - Flo & Eddie


リズム特集 Moving Away (ムービング・アウェイ)

5曲目は「Pearl」です。
こちらはAlton Ellisの名曲です。
切ない訴えるように歌う感じがなかなかの1曲。

6曲目は「Dancing Mood」です。
こちらもDelroy Wilsonのロックステディ期の
名曲です。
ソロで入っているサックスはゲスト・プレイヤー
のAlbert Wingか?
ロックステディの名曲をうまく料理しています。

Flo & Eddie - Dancing Mood


Side 2の1曲目は「Party Time」です。
ロックステディの時代に人気を博したコーラス・
グループThe Heptonesの名曲です。
オシャレ度タップリのこの曲を情感タップリに
歌いこなしています。

Flo & Eddie - Party Time


リズム特集 Party Time (パーティー・タイム)

2曲目は「Sitting In The Park」です。
レゲエの定番ナンバーのようになっているこの曲
ですが、実はもっと前の時代のソウル・シンガー
Billy Stewartの名曲です。
ロックステディの時代にはAlton Ellisなども
歌っています。
時代やジャンルを超えたジワっと来る1曲です。

Flo & Eddie - Sitting In The Park


3曲目は「Rock With Me」です。
John Holtなどが歌う「Rock With Me Baby」が原曲。
心地良さそうに軽快に歌いこなしています。

4曲目は「Those Guys」です。
The Sensationsの歌う名曲ですが、さらにJoya
Landisという女性シンガーの歌う「I'll Be Lonely」
が元歌のようです。
名曲度高しの1曲で、丁寧に歌っているのも印象的。

Flo & Eddie Those Guys


リズム特集 I'll Be Lonely (アイル・ビー・ロンリー)

5曲目は「Just Like A River」です。
こちらはStranger Coleの名曲です。

6曲目は「Happy Together」です。
ご存じThe Turtlesの名曲のセルフ・ロックステディ・
カヴァー。
最後に自分の持ち歌でシメるあたりが、心憎いところ
です。

ざっと追いかけて来ましたが、ジャケの印象
などからするといかにもゲテモノのような感じ
ですが、実はけっこうマジメにロックステディの
名曲を歌っているアルバムで、バックもしっかり
とした悪くないアルバムなんですね。
ただこうしたしっかりした作りのアルバムであり
ながら、不思議とスッキリと聴けちゃうアルバム
です。

それがこの人達が白人という事が関係がある
のか、それとも私の脳にそうした偏見があるせい
なのか、そのあたりのところはまだはっきりとは
整理がついていません。
ただレゲエばかり聴いていると感じるコッテリ感
が、意外と薄目な気がしました。
良い悪いという事ではなく、なんかテイストが
微妙に違う気がしたんですね。

ただこういう交流がある事は、むしろ自然な事の
ように思います。
他ジャンルの音楽同志も、実はいろいろなところ
で繋がっているんですね。
この80年代にFlo & Eddieがロックステディを
歌った、それはそれで面白い事だったんじゃない
かと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Flo & Eddie
○アルバム: Rock Steady With Flo & Eddie
○レーベル: Epiphany Records
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1981

○Flo & Eddie「Rock Steady With Flo & Eddie」曲目
Side 1
1. Prisoner Of Love
2. Swing And Dine
3. Stop
4. Moving Away
5. Pearl
6. Dancing Mood
Side 2
1. Party Time
2. Sitting In The Park
3. Rock With Me
4. Those Guys
5. Just Like A River
6. Happy Together