今回はBarry Brown, Little Johnのアルバム

barry_brown_04a

「Show-Down Vol. 1」です。

Barry Brownは70年代のルーツ・レゲエの
時代から80年代のダンスホール・レゲエの
時代に活躍したシンガーです。
Channel Oneから出した「Far East」は、名
リディムとして多くの人に愛されています。

アーティスト特集 Barry Brown (バリー・ブラウン)

barry_brown_02a
Barry Brown - Far East (1981)

Little Johnは80年代のダンスホール・レゲエ
の時代に活躍したシンガーです。
10代から活躍した彼はアーリー・ダンスホール
を盛り上げた歌手として知られています。

アーティスト特集 Little John (リトル・ジョン)

今回のアルバムは1983年にChannel Oneから
出されたBarry BrownとLittle Johnのいわゆる
「対決盤」です。
Side 1にLittle Johnの曲が5曲、Sde 2に
Barry Brownの曲が5曲収められていて、そのうち
の1曲が同じ「Throw Me Corn」のリディムを
使った曲というアルバムです。

ちなみにジャケットに使われているLittle John
の写真は明らかに小学校低学年ぐらいの子供
ですが、同年83年に出た彼のソロ・アルバム
「Give The Youth A Try」ではもう少し大人に
なった10代中頃ぐらいの風貌になっています。

little_john_01a
Little John ‎– Give The Youth A Try (1983)

おそらくはこのアルバムが発売された頃には
そのくらいの年齢までには成長していたんじゃ
ないかと思います。
彼は10歳ぐらいでデビューしているようなの
で、その時代の写真がジャケットに使われている
ようです。
ちなみに収められている曲の声も、すでに大人
の声になっています。

ちなみに手に入れたのはChannel One傘下の
Hitboundから出ているLPでした。

Side 1がLittle Johnの曲が5曲、Side 2が
Barry Brownの曲が5曲の全10曲。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Players: Radics
Drums: Style
Bass: Flabba
Guitar: Bingy Bunny, Dwight Pinkney
Keyboards: Steele
Percussion: Sky Juice
Hornes: Eradication Squad

Produced by: C. Irving
Executive Produer: Joseph Hoo Kim
Tracks Laid by: Soljie
Mixed by: Scientist
All Tracks Written by: Little John, Barry Brown

Rhythm Track Recorded at : Channel One Recording Studio
Mixed at: Channel One Recording Studio

となっています。

バックの演奏はRoots Radicsで、ホーン・
セクションはEradication Squad、ミックスは
Scientistが担当しています。
Eradication Squadはこのアーリー・ダンス
ホールのアルバムで見かける名前なんですが、
詳細なメンバーについては不明。

さて今回のアルバムですが、いかにもこのダンス
ホールの時代らしい1枚で、聴き心地はとても
良いです。
やはりこの時代のスローなワン・ドロップの
リズムは、すごく魅力的です。

あえて言えばLittle Johnのちょっと鼻詰まり
のような歌声は、人によって好き嫌いの分かれる
ところがあるかもしれません。
けっしてのヘタな人ではないけれど、ちょっと
気になる歌い方なんですね。
まあそれも個性といえば個性なんですが…。

Side 1にはLittle Johnの曲が収められています。

Side 1の1曲目は「Sometimes I Am Shy」です。
いかにもRoots Radicsらしいワン・ドロップの
演奏に、Scientistのハードなミックスといった
組み合わせの曲です。
そうしたバックに支えられて、Little Johnは
まだ若者とは思えない堂々とした歌いぶりを
披露しています。
曲はStudio Oneの名リディムLarry Marshallが
歌った「Throw Me Corn」です。
この「Throw Me Corn」はBarry Brownの1曲目
でも使われているので、今回の聴き較べの重要曲
です。

LITTLE JOHN "SOMETIMES I AM SHY"


A href="http://www.reggaerecord.com/jp/content/featured_rhythm.php?id=69">リズム特集 Throw Me Corn (スロウ・ミー・コーン)

2曲目は「Make Up Your Mind」です。
曲は何だったか思い出せなかったけれど、
クラシック・リディムをうまく使った1曲
です。
Scientistらしいミックスもキマっています。

3曲目は「Admire Me」です。
Augustus Pabloの有名リディム「Java」を
使った曲です。
10代とは思えない貫禄のある歌いぶりの1曲。

Little John Admire Me


リズム特集 Java (ジャバ)

4曲目は「Badness Is Madness」です。
リディムはJackie Mittoo & Soul Vendors の
ロックステディの名曲「Darker Shade Of Black」
です。
銃撃戦に救急車のサイレンようなエフェクトで
始まる1曲で、いかにもScientistらしさを
感じるミックスが印象的です。

Little John-Badness Is Madness


リズム特集 Darker Shade Of Black (ダーカー・シェイド・オブ・ブラック)

5曲目は「If You Ever Need Me」です。
リディムはSugar Minottの「No Vacancy」。
こちらはワン・ドロップのリズムで、しっとりと
聴かせる1曲になっています。

Side 2にはBarry Brownの曲が収められて
います。

Side 2の1曲目は「Sensemilla」です。
こちらもLittle Johnの1曲目と同じ「Throw Me
Corn」のリディムが使われています。
名シンガーらしく、気張らずしっとりと聴かせて
いるのが印象的。

Barry Brown - Sensemilla


2曲目は「Unity」です。
こちらは刻むようなピアノのメロディに乗せた
1曲です。
イイ感じで入るサックスも印象的な曲で、Barry
Brownのヴォーカルも冴えています。
なかなかの名演の1曲。

Barry Brown/Unity


3曲目は「Dance And Sing」です。
リディムはThe Heptonesのロックステディの
名リディム「Party Time」ですが、ちょっと
個性的な面白い音の入り方をしています。
この時代のScientistのミックスの冴えを感じ
させる1曲。

Barry Brown - Dance And Sing 1983


リズム特集 Party Time (パーティー・タイム)

4曲目は「Come We Dub Tonight」です。
こちらは甲高いピアノのメロディに乗せた曲
です。

5曲目は「My Woman」です。
リディムはこちらもThe Heptonesの「Love
Won't Come Easy」です。
こちらもダレた感じの出だし(笑)で、遊び心
タップリの1曲。

ざっと追いかけて来ましたが、個人的には
やっぱりLittle Johnの鼻づまり気味の歌い方が
どうしても気なっちゃって、Barry Brownに軍配
という感じです。
ただLittle Johnも若いながらもかなり健闘と
いったところでしょうか。
なによりこのアーリー・ダンスホールの楽しい
対決は、心をハッピーにするところがあります。
ジャマイカのレゲエのサービス精神が、目一杯
詰まったアルバムだと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Barry Brown, Little John
○アルバム: Show-Down Vol. 1
○レーベル: Hitbound
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1983

○Barry Brown, Little John「Show-Down Vol. 1」曲目
Side 1
1. Sometimes I Am Shy – Little John
2. Make Up Your Mind – Little John
3. Admire Me – Little John
4. Badness Is Madness – Little John
5. If You Ever Need Me – Little John
Side 2
1. Sensemilla – Barry Brown
2. Unity – Barry Brown
3. Dance And Sing – Barry Brown
4. Come We Dub Tonight – Barry Brown
5. My Woman – Barry Brown

●今までアップしたBarry Brown関連の記事
〇Barry Brown「Far East」
〇Barry Brown「I'm Not So Lucky」
〇Barry Brown「Let's Go To The Blues」
〇Various「When Jah Shall Come」
〇Barry Brown「Showcase」(1978)
●今までアップしたLittle John関連の記事
〇Little John / Anthony Johnson「Unite / Reggae Feelings」
〇Little John「Early Days」
〇Little John「English Woman」
〇Little John「Ghetto Youth」
〇Little John「Give The Youth A Try」
〇Little John「Reggae Dance」
〇Little John「True Confession」
〇Various「Junjo Presents A Live Session With Aces International」