今回はLeroy Smartのアルバム

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「The Don Tells It Like It Is...」です。

Leroy Smartは70年代のルーツ・レゲエの
時代から活躍したシンガーです。
2歳で孤児となった彼は養護施設で育ち、
ジャマイカの多くのミュージシャンを輩出した
不良少年の為の更生施設アルファ・ボーイズ・
スクールで音楽を学び、苦難の末に歌手として
デビューします。
そして独特の歌声を武器についに歌手として
成功し、「ドン」の愛称で知られる存在に
なって行くんですね。

アーティスト特集 Leroy Smart (リロイ・スマート)

今回のアルバムは2013年にレゲエ・リイ
シュー・レーベルKingston Soundsから発表
されたアルバムで、Leroy Smartの70年代の
音源が集められたアルバムです。
音源としてはおもにプロデューサーのBunny
Leeが所有する「Bunny Lee音源」が使われて
います。
このKingston SoundsはJamaican Recordings
傘下のレーベルですが、両レーベルとも
Bunny Leeと関係が深いのか、よく「Bunny
Lee音源」をリリースしているんですね。

全16曲で収録時間は48分29秒。
最後の2曲はCDボーナス・トラックです。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Drums: Sly Dunbar, Carlton 'Santa' Davis
Bass: Robbie Shakespeare
Lead Guitar: Earl 'Chinna' Smith
Rhythm Guitar: Willie Lingo
Organ: Winston Wright
Piano: Jackie Mittoo
Tenor Saxophone: Tommy McCook
Trumpet: Bobby Ellis
Trombone: Deadly 'Headley' Bennett, Vin Gordon

Recorded at: Channel 1, Harry J's, Randy's Studio 17, Dynamic and King Tubby's
Mixed at King Tubby's
Produced by: Bunny Lee
Photography: Bunny Lee
Design: Gary @ Voodoo London
Manufactured Under Licence from E.Lee

となっています。

「Bunny Lee音源」という事なので、バックは
Bunny Leeのハウス・バンドThe Aggrovators
という事になると思います。

この70年代頃のジャマイカのバック・バンド
というのは、メンバーが固定では無く集まれる
ミュージシャンが集まって録る「プラスティック・
バンド」の形式が一般的でした。
その為バンド名が違っても同じ人がいろいろな
バンドでやっていたりします。
確かリード・ギターのEarl 'Chinna' Smithが
「もっとも多くの録音に参加したギタリスト」
と言われているようですが、ミュージシャンも
日雇いの為多くのセッションに参加しないと
生活が出来ないという事情もあったようです。

話を戻すと、この時代のバンド名というのは
誰がプロデューサーかで決まっていたようです。
例えばBunny LeeならThe Aggrovators、Channel
OneのHoo-Kim兄弟ならThe Revolutionaries、
Joe GibbsならThe Professionalsといった感じ
だったようです。

さて今回のアルバムですが、恵まれない境遇で
ありながらその独特の魅力的な歌声ひとつでのし
上がったLeroy Smartのアルバムとあって、
やはりその歌声の魅力が際立っています。
「Leroy節」とでも言いたいようなその節回し
は、やはり一聴の価値ありだと思います。

1曲目は「God Helps The Man」です。
刻むギターに乗せた歌で、「神はその男を救い
給う」という力強いメッセージが歌われて
います。
イイ感じで入るトロンボーンが良いアクセント
になっている曲です。

Leroy Smart - God Helps The Man (Jackpot blank)


2曲目は「Mr Smart」です。
こちらは彼の初期のヒット曲と言える曲です。
まるで自己紹介のように、自分自身の事を歌って
いる曲です。
こちらのイイ感じで入るホーンがとても良い
です。

Leroy Smart - Mr Smart


3曲目は「Pride And Ambition」です。
タイトルは「誇りと野心」。
独特の節回しでジックリと歌い込まれた1曲
です。
途中から入って来るサックスがイイ感じで
歌を盛り上げています。

Pride and Ambition


4曲目は「Wreck Up My Life」です。
こちらも「Leroy節」が堪能できる1曲です。
彼の歌気は耳について離れなくなる魔力が
あります。
歌一本で生き抜いてきた、それが彼のスゴイ
ところなんですね。

Leroy Smart - Wreck Up My Life


5曲目は「Man Is Great」です。
心地良いビートにLeroy Smartの歌声が冴える
1曲です。

6曲目は「Jah Show Them The Way」です。
強烈なミリタント(ロッカーズ)・ビートに
乗せた1曲です。
リディムはSlim Smith & The Uniquesの名曲
「My Conversation」のリディムか?

7曲目は「My Heart And Soul」です。
こちらもホーンを中心とした1曲で、明るい
リズムに彼独特の歌声が冴える曲です。

8曲目は「Mr Richman」です。
こちらも彼のヒット曲です。
粘りのある歌声がとても魅力的。
やはりミリタント・ビートの心地良さが、
タマラない曲です。

Leroy Smart - Mr. Richman


9曲目は「Bad Minded People」です。
こちらも心地良いビートに乗せた1曲。

10曲目は「It Makes No Sense」です。
リディムはThe Abyssiniansで知られる名曲
「Satta Massagana」。
ルーツの名曲を心地よさそうに歌っています。

11曲目は「How Long」です。
こちらは彼独特の節回しで聴かせる1曲です。
ベースを軸に時折入るホーンが、イイ味を出して
います。

12曲目は「Natty Dread I Strong」です。
こちらは明るい曲調に、彼の節回しで楽しませる
1曲です。

13曲目は「Let Your Heart Be Pure」です。
こちらはThe Abyssiniansの有名曲「Declaration
Of Rights」のリディムを使った曲です。
オルガンに乗せた名リディムに「Leroy節」が
生きる1曲です

14曲目は「Look What You Do」です。
こちらも聴き覚えのあるリディムなんですが、
なにか特定できませんでした。
心地良いリズムにLeroy Smartの個性的な歌声の
1曲。

15~16曲目はCDのみのボーナス・トラック。

15曲目は「It's A Long Time I've Been
Waiting」です。
こちらも明るいロッカーズ・ビートに乗せた
1曲です。

16曲目は「We All Are One」です。
こちらはピアノを中心とした演奏に「Leroy節」
といった曲です。

ざっと追いかけて来ましたが、歌1本でのし
上がったLeroy Smartという人の魅力が収め
られたアルバムだと思います。
いかなる困難も乗り越えてきたその歌声は、
他の歌手にはない独特の魅力があります。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Leroy Smart
○アルバム: The Don Tells It Like It Is...
○レーベル: Kingston Sounds
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2013

○Leroy Smart「The Don Tells It Like It Is...」曲目
1. God Helps The Man
2. Mr Smart
3. Pride And Ambition
4. Wreck Up My Life
5. Man Is Great
6. Jah Show Them The Way
7. My Heart And Soul
8. Mr Richman
9. Bad Minded People
10. It Makes No Sense
11. How Long
12. Natty Dread I Strong
13. Let Your Heart Be Pure
14. Look What You Do
CD Bonus Tracks
15. It's A Long Time I've Been Waiting
16. We All Are One

●今までアップしたLeroy Smart関連の記事
〇Leroy Smart「Dread Hot In Africa / Propaganda」
〇Various「Can't Stop The Dread」