今回はRod Taylorのアルバム

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「Where Is Your Love Mankind」です。

Rod Taylorは70年代後半のルーツ・レゲエの
時代から80年代のダンスホール・レゲエの時代
にかけて活躍したシンガーです。

Rod Taylor (singer) - Wikipedia

今回のアルバムはダンスホール・レゲエの時代
に切り替わる1980年にVolcanoレーベルの
Henry 'Junjo' Lawesの元で制作されたアルバム
で、バックはRoots Radics、ミックスはScientist
という、このアーリー・ダンスホールをけん引
した布陣で作られたアルバムです。

この当時大手レーベルGreensleevesから資金を
得たHenry 'Junjo' Lawesは、時代がルーツ・
レゲエからダンスホール・レゲエに切り替わって
行く時代に、大きな役割を果たす事になるんです
ね。

レーベル特集 Volcano (ヴォルケイノ)

レーベル特集 Greensleeves (グリーンスリーブス)

全10曲で収録時間は35分25秒。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

All Tracks Written by R. Taylor / H. Lawes
Except Track 2 (H. Lawes / R. Taylor); Track 10 (Carter)
All Tracks Published by Greensleeves Publishing Ltd.

Produced by Henry 'Junjo' Lawes
Recorded at Channel One Studios
Mixed by Scientist at King Tubby's

Backing Band: Roots Radics
Drums: Sly Dunbar, Style Scott, Santa Davis
Bass: Errol 'Flabba' Holt
Rhythm Guitar: Bingy Bunny
Lead Guitar: Sowell
Organ: Steely, Ansel Collins
Piano: Gladstone Anderson
Trumpet: Bobby Ellis
Saxophone: Headley Bennett
Trombone: Val Bennett
Percussion: Bongo Herman, Sky Juice, Sticky Thompson
Melodica: Jimmy Becker

となっています。

バックはRoots Radicsが務めています。
Scientistの「漫画ジャケ」シリーズの80年の
アルバムなどを見ると、この80年のメインの
ドラマーはStyle Scottではなく、Santa Davis
なんですね。
それが81年以降に徐々にメイン・ドラマーが
Style Scottに切り替わって行きます。
今回はSly DunbarもRoots Radicsに参加して
います。

さて今回のアルバムですが、いかにもダンス
ホールといったRod Taylorの陰影の濃いヴォー
カルが素晴らしく、とても良いアルバムだと
思います。
このRod Taylorのヴォーカルを支えるRoots
Radicsの演奏も素晴らしく、Scientistの
ちょっとヘヴィー目のミックスもとても良い
です。
アーリー・ダンスホールのアルバムとして、
ぜひ押さえておきたい1枚だと思います。

1曲目は表題曲の「Where Is Your Love
Mankind」です。
軽快なリズムに、エコーのかかったRod Taylor
のヴォーカルも素晴らしい1曲です。

Rod Taylor - Where Is Your Love Mankind


2曲目は「Mr Money Man」です。
Rod Taylorのヴォーカルに聴き惚れてしまい
ますが、バックのサウンドは意外とヘヴィー。
メローでありながらヘヴィーという、レゲエと
いう音楽の特徴がよく出た1曲です。
やはりこの時代のScientistのミックスは
魅力的です。

Rod Taylor - Mr Money Man


3曲目は「Give Me Your Love Forever」
です。
エコーのかかったヴォーカルがいきなり全開で、
陰影の濃い世界を作り上げています。
アーリー・ダンスホールの空気感が、よく出た
1曲です。

Rod Taylor - Give Me Your Love Forever (Where Is Your Love Mankind - 1980)


4曲目は「Lazy Woman」です。
Rod Taylorの丁寧なヴォーカルに乗せた曲です
が、実はバックは遊び頃タップリ!という曲
です。

5曲目は「Yes We're Gonna Get Over」です。
リディムはBarrington Levyの「Englishman」
です。

Rod Taylor - Yes We Gonna Get Over


6曲目は「True History」です。
リディムはルーツのよう名リディム「Satta
massagana」です。
いかにもダンスホールといったRod Taylorの
歌いぶりがキマった1曲。

7曲目は「Them Top Ranking」です。
このダンスホール・レゲエの空気感をまとった
1曲です。

8曲目は「Lonely Lonely Lonely」です。
いかにもといった泣きの1曲です。

9曲目は「Stand Up Firm」です。
リディムはBarrington Levyの「Look Youthman」
です。
いかにもScientistといったミックのカッコよさ
が、感じられる1曲です。
タイトでヘヴィーという彼の個性がよく出て
います。

10曲目は「Arleen」です。
最後はRod Taylorの良さが出た泣きの1曲で
締めくくっています。

Rod Taylor - Arleen - 1979


ざっと追いかけて来ましたが、アーリー・
ダンスホールの魅力がうまく詰め込まれた
アルバムで、内容はとても良いと思います。
またこの時代のRoots RadicsとScientist
という組み合わせは、まさに時代を作った
と言える組み合わせで、ダンスホール・レゲエ
という当時の新しい音楽を作り上げています。

特にScientistはとかくダブの方が注目され
がちですが、実はこの人の本領は歌の入った
アーティストのミックスにこそあるんですね。
このRod TaylorをはじめTriston Palmaや
Wayne Wadeなどの曲のミックスは、ある意味
彼本人のダブより素晴らしい、この初期の
ダンスホールそのものといった音なんですね。
彼も間違いなくKing TubbyやKing Jammyに
並ぶ、レゲエの生んだ天才のひとりなんですね。

このアルバムはアーリー・ダンスホールの
アルバムとして、ぜひ手に入れたい1枚だと
思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Rod Taylor
○アルバム: Where Is Your Love Mankind
○レーベル: Greensleeves Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1980

○Rod Taylor「Where Is Your Love Mankind」曲目
1. Where Is Your Love Mankind
2. Mr Money Man
3. Give Me Your Love Forever
4. Lazy Woman
5. Yes We're Gonna Get Over
6. True History
7. Them Top Ranking
8. Lonely Lonely Lonely
9. Stand Up Firm
10. Arleen

●今までアップしたRod Taylor関連の記事
〇Rod Taylor「Garden Of Eden [1975-82] 」
〇Rod Taylor「Lonely Girl」