今回はScientistのアルバム

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「Dub In The Roots Tradition」です。

まず初めに大切な事を書いておきます。
今回のアルバムはScientistのKing Tubby's
に在籍した頃のアルバムなのですが、これと
曲順違いで似た内容のアルバムが存在します。
それがレゲエレコード・コムなどでKing Tubby
名義で売られているアルバム「King Tubby's
Answer The Dub」です。

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King Tubby's (Scientist) - King Tubby's Answer The Dub (1996)

こちらはジャマイカのRoots Traditionという
レーベルから発売されているアルバムで、
全10曲中タイトルが変わっているものも含めて
すべての曲が今回のアルバムに入っています。
つまり今回のアルバムを持っていれば、よほどの
コレクターで無い限り買う必要がないんですね。
私もこちらのアルバムを持っていたので、買う
必要がありませんでした。
名義がScientistとKing Tubbyになっていたので、
知らないで買ってしまったんですね(笑)。
レゲエのアルバムにはよくこういう事があります
ので、注意してください。

という事でまずはアーティストの紹介から。
Scientistはダブ・マスターKing Tubbyの元で
ミックスの勉強をした後に独立し、ダブの
ミキサーとして活躍した人です。
70年代のルーツ・レゲエ期から時代が
ダンスホール・レゲエ期に変わった80年代に、
プロデュースがVolcanoレーベルのHenry 'Junjo'
Lawes、演奏がRoots Radics、イラストがTony
McDermottという「漫画ジャケ」シリーズの
ミックスをした事などで知られています。
この「漫画ジャケ」の印象が強かったせいか、
彼のミックスしたアルバムには漫画のイラストの
ジャケットがすごく多いんですね。

アーティスト特集 Scientist (サイエンティスト)

今回のアルバムはレゲエがルーツ・レゲエだった
70年代後期から80年代のダンスホール期に
かけて活躍したジャマイカのマイナー・レーベル
Roots Traditionの、King Tubby'sに在籍して
いた時代のScientistのミックスしたダブの音源
を集めたアルバムです。
記述を見ると1976年から79年にかけての
Roots TraditionレーベルでのScientistが
ミックスした曲が収められているようです。
Scientistのミックスとしてはかなり初期の
ミックスです。

レゲエ・リイシュー・レーベルBlood & Fireから
1996年にリリースされたアルバムです。

レーベル特集 Blood & Fire (ブラッド・アンド・ファイア)

全15曲で収録時間は分秒。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Produced by Errol 'Don' Mais for Roots Tradition, 1976-1979
All Tracks Composed by Errol 'Don' Mais
Recorded at Dynamic and Channel OneStudios
Mixed at King Tubby's Studio
Mixing Engineer: Hopeton 'Overton' Brown aka Scientist

Tracks 1,2,4,5,10,11,12,14,15 played by Soul Syndicate
Drums: Carlton 'Santa' Davis, Max Asher
Bass: George 'Fully' Fullwood
Lead Guitar: Earl 'Chinna' Smith
Keyboard: Keith Sterling, Gladstone 'Gllady' Anderson
Percussion: Noel 'Skully' Simms, Uziah 'Sticky' Thompson
Saxophone: Felix 'Deadly Headley' Bennett

Tracks 3, 6,7,8,9,13 played by the musician who
went on become known as Roots Radics. including:
Drums: Lincoln 'Style' Scott, Eric 'Fish' Clarke
Bass: Errol 'Flabba' Holt
Lead Guitar: Noel 'Swell' Bailey
Rhythm Guitar: Eric Lamont aka Bingy Bunny
Keyboard: Bobby Kalphat, Anthony 'Steelie' Nelson
Trumpet: Bobby 'Willow' Ellis
Saxophone: Felix 'Deadly Headley' Bennett
Percussion: Bongo Herman

となっています。

曲によって演奏はSoul Syndicateと後のRoots
Radicsのメンバーに分かれているようです。

ちなみに参考までにRoots Traditionのアルバム
の記述も載せておきます。

All Rhythm Laid at Channel One Studio
Mixed at King Tubby's Studio by King Tubby's Sciencetis
Musicians:
Drums: Stanta Davis, Style-Scott
Bass: Fullmoon Flabba
Guitar: China, Binge Bunny
Piano: Gladston Anderson, Snappin
Organ: Sterling
Hornes: Deadly Headley, Bobby Ellis

Producer by Don Mais, Phillip Frazer, Michelle Mais
Executive Producer: Kevin Mais, Jemella Mais

(「King Tubby's Answer The Dub」の記述より)

Scientistが「Sciencetis」、Errol 'Flabba'
Holtが「Fullmoon Flabba」となっているのが
面白いところです(笑)。

さて今回のアルバムですが、すごく聴き心地の
良いダブらしいダブで、すでにこのScientist
という人の才能が感じられるダブになって
います。
すでにこの時代にScientistは「自分の音」と
いうものを、シッカリと持っているんですね。
彼が後の80年代のダンスホール・レゲエで
大活躍したのは、そうした確かな実力があった
からなんですね。

1曲目は「King Tubby's Answer」です。
Roots Traditionのアルバムでは「Answer
The Dub」というタイトルになっています。
タイトル通りリディムは「Answer」。
ベースを中心としたダブです。

リズム特集 Answer (アンサー)

2曲目は「Dub Bible」です。
Roots Traditionのアルバムでは「Bible Dub」
というタイトルになっています。
リディムはFreddie McGregorのStudio Oneでの
ヒット曲「Bobby Babylon」です。

Scientist - Dub Bible


リズム特集 Bobby Babylon/Hi Fashion (ボビー・バビロン/ハイファッション)

3曲目は「Dub 16」です。
Roots Traditionのアルバムでも同タイトル。
リディムはLone Rangerの「M 16」。
やっぱりこの曲を聴くと、ダンスホールという
気がしますね(笑)。

4曲目は「Pick Up The Dub」です。
Roots Traditionのアルバムでは「African Dub」
というタイトルになっています。
リディムはRoyalsの「Pick Up The Pieces」。

リズム特集 Pick Up The Pieces (ピック・アップ・ザ・ピーシズ)

5曲目は「Don't Rush The Dub」です。
Roots Traditionのアルバムでは「Don't Rush
Dub」というタイトルになっています。
リディムはHeptonesの「Get In The Groove」。

リズム特集 Get In The Groove/Up Park Camp (ゲット・イン・ザ・グルーヴ/アップ・パーク・キャンプ)

6曲目は「No Dub Island」です。
Roots Traditionのアルバムでは「Dub Island」
というタイトルになっています。
Dennis Brownの「No Man Is An Island」の
リディムが使われています。

Scientist - No Dub Island


7曲目は「Love You Dub」です。
Roots Traditionのアルバムでは「Loving You Dub」
というタイトルになっています。
となっている曲です。
リディムはAlton Ellisの「Gonna Take A Miracle」。
スローなリズムに'Style' Scottの硬いドラミング
という組み合わせの曲です。

8曲目は「When I Love Dub」です。
Roots Traditionのアルバムでも同タイトル。
リディムはKen Bootheの「When I Fall In Love」。
こちらはいかにも'Style' Scottらしい、硬い
ガシッとしたドラムが印象的な曲です。

9曲目は「See A Dub Face」です。
Roots Traditionのアルバムでも同タイトル。
こちらも'Style' Scottの強調されたドラムの
音が印象的なダブです。

Scientist - See A Dub Face.mov


10曲目は「One Man Dub」です。
Roots Traditionのアルバムでは「True Dub」
というタイトルになっています。
イントロはほぼ「Satta Massagana」ですが、
Sammy Dreadの「One Man One Vote」という曲
らしいです。

11曲目以降はRoots Traditionのアルバム
には入っていない曲が収められています。

11曲目は「Sunshine Version」です。
メロディカを中心としたダブで、リディムは
Horace Andyの「See A Man's Face 」。

Scientist - Sunshine Version


12曲目は「Dub Livity」です。
リディムはPhillip Fraserの「You're No
Good」。
Phillip FraserはこのRoots Traditionの
看板スターだったシンガーです。

13曲目は「Babylon Fight Dub」です。
原曲は不明。
ベースを中心としたダブです。

14曲目は「African Daughter Dub」です。
こちらもリディムはRoyalsの「Pick Up The
Pieces」です。
原曲はSammy Dreadの「African Girl」。

Scientist - African Daughter Dub


15曲目は「Home Version」です。
リディムはKen Bootheの「Home Home Home」。

ざっと追いかけて来ましたが、Scientistの
最初期のアルバムなのにもかかわらず、内容的
には全盛期にも見劣りしないほどかなり良いん
ですね。
このScientistという人が、いかにスゴイ才能
の持ち主だったかよく解るアルバムだと思い
ます。

ダブが好きな人なら絶対に持っておきたい、
そんなアルバムだと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Scientist
○アルバム: Dub In The Roots Tradition
○レーベル: Blood & Fire
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1996

○Scientist「Dub In The Roots Tradition」曲目
1. King Tubby's Answer
2. Dub Bible
3. Dub 16
4. Pick Up The Dub
5. Don't Rush The Dub
6. No Dub Island
7. Love You Dub
8. When I Love Dub
9. See A Dub Face
10. One Man Dub
11. Sunshine Version
12. Dub Livity
13. Babylon Fight Dub
14. African Daughter Dub
15. Home Version

(参考資料)
○King Tubby's (Scientist)「King Tubby's Answer The Dub」曲目
Side 1
1. Answer The Dub
2. Dub Island
3. When I Love Dub
4. True Dub
5. Loving You Dub
Side 2
1. Bible Dub
2. African Dub
3. See A Dub Face
4. Don't Rush Dub
5. Dub 16