今回はKing Tubby's (Scientist)のアルバム

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「King Tubby's Answer The Dub」です。

まず初めに書いておくと、今回のアルバムは
King Tubbyのアルバムとしてレゲエレコード・
コムで売られていたLPなんですが、実は
King TubbyではなくScientistがミックスした
音源を集めたアルバムなんですね。
表ジャケには「King Tubby's Answer The Dub」
の文字で、イラストもいかにもKing Tubbyと
いう感じなんですが、裏ジャケにはミックスが
「King Tubby's Sciencetis」と書かれて
います。
Sciencetis??がScientistの事で間違いない
と思います。

さらに今回のアルバムと全て同じ曲が入って
いるアルバムがあります。
それがレゲエ・リイシュー・レーベルBlood &
Fireから出ている、ScientistのKing Tubby's
での初期のミックスを集めたアルバム「Dub In
The Roots Tradition」です。

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Scientist ‎– Dub In The Roots Tradition (1996)

このアルバムのCDにはアルバムの曲10曲と、
他に6曲の計16曲が収められています。
もしもこちらのアルバムを持っていたら、今回の
アルバムは買う必要がないかもしれません。
私自身もすでにBlood & FireのCDを持っていた
んですが、名義がScientistとKing Tubbyになって
いたのでウッカリ買ってしまいました(笑)。
レゲエにはこうした事がよくあるんですね。

今回は大事な情報だと思ったので、あえて先に
書きました。

さてまずはアーティストについて。
Scientistはダブ・マスターKing Tubbyの元で
ミックスの勉強をした後に独立し、ダブの
ミキサーとして活躍した人です。
ルーツ期から時代がダンスホール期に変わった
80年代に、プロデュースがVolcanoレーベルの
Henry 'Junjo' Lawes、演奏がRoots Radics、
イラストがTony McDermottという「漫画ジャケ」
シリーズのミックスをした事などで知られて
います。
この「漫画ジャケ」の印象が強かったせいか、
彼のミックスしたアルバムには漫画のイラストの
ジャケットがすごく多いんですね。

アーティスト特集 Scientist (サイエンティスト)

今回のアルバムですが、1970年代後半から
80年代にかけて活躍した、Don Maisが率いる
レーベルRoots Traditionの、King Tubby's時代の
Scientistのミックスしたダブを集めたアルバム
です。

レーベル特集 Roots Tradition (ルーツ・トラディション)

今回のLPにはミックスした時期は書かれて
いませんが、Blood & FireのCDには76年から
79年という年号が書かれています。
この時期はScientistがまだ助手として活動して
いた時期で、彼のダブとしてはもっとも早い時期
の作品だと思われます。

ちなみにネットのDiscogsで調べたところ、
このアルバムの制作年は1996年となって
いました。
ただそれだとBlood & Fireのアルバムが出た
年に出た事になるので、80年代とかもっと
早い時期に出ていてもおかしくない気がします。

ちなみに今回のアルバムはレゲエレコード・コム
で新盤として購入したのですが、ジャケットが
新盤とは思えないほど汚かったです。
ジャケット全体に擦れたような汚れがかなり
ひどく、クッキリと付いていました。
どうもジャマイカ盤のマイナー・レーベルのLP
では、こういう事がよくあります。

Side 1は5曲、Side 2は5曲の全10曲。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

All Rhythm Laid at Channel One Studio
Mixed at King Tubby's Studio by King Tubby's Sciencetis
Musicians:
Drums: Stanta Davis, Style-Scott
Bass: Fullmoon Flabba
Guitar: China, Binge Bunny
Piano: Gladston Anderson, Snappin
Organ: Sterling
Hornes: Deadly Headley, Bobby Ellis

Producer by Don Mais, Phillip Frazer, Michelle Mais
Executive Producer: Kevin Mais, Jemella Mais

Design by: Limonious

となっています。

ちなみにBlood & Fireのアルバムには以下
の記載がありました。

Produced by Errol 'Don' Mais for Roots Tradition, 1976-1979
All Tracks Composed by Errol 'Don' Mais
Recorded at Dynamic and Channel OneStudios
Mixed at King Tubby's Studio
Mixing Engineer: Hopeton 'Overton' Brown aka Scientist

Tracks 1,2,4,5,10,11,12,14,15 played by Soul Syndicate
Drums: Carlton 'Santa' Davis, Max Asher
Bass: George 'Fully' Fullwood
Lead Guitar: Earl 'Chinna' Smith
Keyboard: Keith Sterling, Gladstone 'Gllady' Anderson
Percussion: Noel 'Skully' Simms, Uziah 'Sticky' Thompson
Saxophone: Felix 'Deadly Headley' Bennett

Tracks 3, 6,7,8,9,13 played by the musician who
went on become known as Roots Radics. including:
Drums: Lincoln 'Style' Scott, Eric 'Fish' Clarke
Bass: Errol 'Flabba' Holt
Lead Guitar: Noel 'Swell' Bailey
Rhythm Guitar: Eric Lamont aka Bingy Bunny
Keyboard: Bobby Kalphat, Anthony 'Steelie' Nelson
Trumpet: Bobby 'Willow' Ellis
Saxophone: Felix 'Deadly Headley' Bennett
Percussion: Bongo Herman

となっています。

大まかなメンバーは一致しているようですが、
バックは曲によってSoul SyndicateとRoots
Radicsが務めたものがあるようです。

さて今回のアルバムですが、これがすごくイイ
んですね。
Scientistの初期のミックスと思われますが、
もうすでにスコンと抜けたような彼の個性が
すでに感じられるんですね。
やはり彼が才能のあるミキサーだという事は、
このアルバムからも感じられます。

Side 1の1曲目は「Answer The Dub」です。
Blood & Fireのアルバムでは、「King Tubby's
Answer」となっている曲です。
タイトル通りリディムは「Answer」。
ベースを中心としたダブです。

Answer Riddim (King Tubby`s ) Instrumental.


リズム特集 Answer (アンサー)

2曲目は「Dub Island」です。
Blood & Fireのアルバムでは、「No Dub Island」
となっている曲です。
Dennis Brownの「No Man Is An Island」の
リディムが使われています。
音の作りにすでにのちのScientistの片鱗が
うかがえます。

3曲目は「When I Love Dub」です。
Blood & Fireのアルバムでも同タイトル。
リディムはKen Bootheの「When I Fall In Love」。
こちらはいかにも'Style' Scottらしい、硬い
ガシッとしたドラムが印象的な曲です。

Scientist - When I Love Dub


4曲目は「True Dub」です。
Blood & Fireのアルバムでは、「One Man Dub」
となっている曲です。
イントロはほぼ「Satta Massagana」ですが、
Sammy Dreadの「One Man One Vote」という曲
らしいです。

Scientist One Man Dub


5曲目は「Loving You Dub」です。
Blood & Fireのアルバムでは、「Love You Dub」
となっている曲です。
リディムはAlton Ellisの「Gonna Take A Miracle」。
スローなリズムに'Style' Scottの硬いドラミング
という組み合わせの曲です。

Side 2の1曲目は「Bible Dub」です。
Blood & Fireのアルバムでは、「Dub Bible」
となっている曲です。
リディムはFreddie McGregorのStudio Oneでの
ヒット曲「Bobby Babylon」です。

リズム特集 Bobby Babylon/Hi Fashion (ボビー・バビロン/ハイファッション)

2曲目は「African Dub」です。
Blood & Fireのアルバムでは、「Pick Up The
Dub」となっている曲です。
リディムはRoyalsの「Pick Up The Pieces」。

リズム特集 Pick Up The Pieces (ピック・アップ・ザ・ピーシズ)

3曲目は「See A Dub Face」です。
Blood & Fireのアルバムでも同タイトル。
こちらも'Style' Scottの強調されたドラムの
音が印象的。

4曲目は「Don't Rush Dub」です。
Blood & Fireのアルバムでは、「Don't Rush
The Dub」となっている曲です。
リディムはHeptonesの「Get In The Groove」。

リズム特集 Get In The Groove/Up Park Camp (ゲット・イン・ザ・グルーヴ/アップ・パーク・キャンプ)

5曲目は「Dub 16」です。
Blood & Fireのアルバムでも同タイトル。
リディムはLone Rangerの「M 16」。

Scientist - Dub 16


ざっと追いかけて来ましたが、初期のScientist
のアルバムですが、もうすでに彼の才能の煌めき
が見えるようなアルバムで、内容はとても良いと
思います。
書いたようにBlood & Fireのアルバムを持って
いれば、内容がかぶっているので買う必要は
ありませんが、もしも手に入れていない人には
おススメです。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: King Tubby's (Scientist)
○アルバム: King Tubby's Answer The Dub
○レーベル: Roots Tradition
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: (1996)

○King Tubby's (Scientist)「King Tubby's Answer The Dub」曲目
Side 1
1. Answer The Dub
2. Dub Island
3. When I Love Dub
4. True Dub
5. Loving You Dub
Side 2
1. Bible Dub
2. African Dub
3. See A Dub Face
4. Don't Rush Dub
5. Dub 16

(参考資料)
○Scientist「Dub In The Roots Tradition」曲目
1. King Tubby's Answer
2. Dub Bible
3. Dub 16
4. Pick Up The Dub
5. Don't Rush The Dub
6. No Dub Island
7. Love You Dub
8. When I Love Dub
9. See A Dub Face
10. One Man Dub
11. Sunshine Version
12. Dub Livity
13. Babylon Fight Dub
14. African Daughter Dub
15. Home Version