今回はJunior Byles & Friendsのアルバム

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「129 Beat Street: Ja-Man Special 1975-1978」
です。

Junior Bylesルーツ・レゲエの時代に活躍した
シンガーです。
72年に「Beat Down Babylon」でジャマイカで
大ヒットを飛ばし人気シンガーになった彼でした
が、その後は仕事がうまくいかずに精神に異常を
きたし、敬虔なラスタファリアンであった彼は
76年にエチオピア皇帝ハイレ・セラシエ一世が
死去したことを機に自殺未遂を図り、精神病院に
入院するまでになってしまうんですね。
その後も成功に恵まれなかったという人です。

アーティスト特集 Junior Byles (ジュニア・バイルズ)

今回のアルバムは1998年にレゲエ・
リイシュー・レーベルBlood & Fireから出さ
れたアルバムで、Dudley 'Manzie' Swabyの主催
するレーベルJa-Manから1975年から78年
までに出された、Junior Bylesとその周辺の
人達の音源を集めたコンピュレーション・
アルバムです。

レーベル特集 Blood & Fire (ブラッド・アンド・ファイア)


全11曲で収録時間は52分11秒。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Produced by Dudley 'Manzie' Swaby for Ja-Man

Recorded at Randy's Studio:
Musicians:
Skin Flesh & Bones:
Drums: Lowell 'Sly' Dunbar
Bass: Lloyd Parks
Guitar: Bertram 'Ranchie' Mclean
Organ,Piano: Ansell Collins
Percussion: Skully Simms

Recorded at Channel One Studio:
Musicians:
The Revolutionaries:
Drums: Lowell 'Sly' Dunbar
Bass: Robbie Shakespeare, Bertram 'Ranchie' Mclean
Guitar: Bertram 'Ranchie' Mclean, Rad 'Duggie' Bryan
Trombone: Vin Gordon
Trumpet: Bobby Ellis
Alto Sax: Herman Marquis
Organ: Ansell Collins
Percussion: Uziah 'Sticky' Thompson

となっています。

Randy's Studioでの録音はSkin Flesh & Bones、
Channel Oneでの録音はThe Revolutionariesが
バックを務めています。

アルバムに収められているアーティストは、
Junior Byles単独名義が2曲で、Junior Byles
& Rupert Reid名義の曲が2曲、他はRupert Reid、
Pablo Moses、Bim Sherman、Dave Robinson、
Brigadier Jerry、Neville Tate、U Brown
名義の曲が各1曲ずつとなっています。

さて今回のアルバムですが、Junior Bylesを
中心にJa-Manレーベルで活躍したアーティスト
を集めたアルバムですが、内容はなかなか良い
です。

このJunior Bylesですが、彼は必ずしも成功者
とは呼べない人ですが、なかなか印象的な楽曲
を残している、ルーツ好きだったらちょっと
押さえておきたいシンガーなんですね。
その彼の楽曲が4曲聴けるというのは、なかなか
魅力的です。
さらにリイシュー・レーベルBlood & Fireらしく、
(Extended)ヴァージョンが多く収められている
のも、悪くないです。
ルーツ好きなら聴いて損はないアルバムだと
思います。

1曲目はJunior Byles & Rupert Reidの「Chant
Down Babylon (Extended)」です。
「歌で腐敗都市(バビロン)を打ち倒せ」という、
「Beat Down Babylon」と似たリリックで作られた
曲です。
ギターをかき鳴らすようなイントロから、Junior
Bylesのヴォーカルがジワっと心に沁み込んでくる
ような1曲です。

Junior Byles And Rupert Reid - Chant Down Babylon (Extended)


2曲目はJunior Bylesの「Know Where You're
Going」です。
こちらはピアノのメロディに乗せた曲です。
コーラス・ワークと掛け合いのように歌う、
ノビノビとしたヴォーカルが良いです。

3曲目はJunior Bylesの「Pitchy-Patchy」です。
ギターの刻むようなリズムに乗せた曲です。

Junior Byles - Pitchy Patchy 1976


4曲目はJunior Byles & Rupert Reidの
「Remember Me (Extended)」です。
このアルバムの中でも特に印象の強い曲です。
刻むようなギターのフレーズにコーラスと
ヴォーカルの組み合わせで、どんどん深い世界
に引き込まれて行くような曲です。
後半のダブは、ドスの効いたベースが良い味を
出しています。

Junior Byles - Remember Me / Version


5曲目はRupert Reidの「See The Dread Deh
(Extended)」です。
Rupert Reidのファルセット気味のヴォーカル
が冴える曲です。
ホーンがイイ感じに入って来て、盛り上げて
います。

6曲目はPablo Mosesの「One People
(Extended)」です。
ちょっと堅物的なイメージのあるPablo Moses
ですが、ここではソフトな歌声を聴かせて
います。
後半のダブへと移行する展開もすごくイイです。

7曲目はBim Shermanの「Mighty Ruler
(Extended)」です。
On U Soundsなどでも活躍した名シンガーの
Bim Shermanですが、ここでも持コーラスに
乗せたソフトな歌声を聴かせています。
The Heptonesの「Tripe Girl」のリディムが、
使われているようです。

8曲目はDave Robinsonの「My Homeland (Extended)」
です。
この人はあまり知らない人ですが、なかなか
素晴らしいヴォーカルを聴かせています。

Dave Robinson My Homeland


9曲目はBrigadier Jerryの「Wild Goose Race」
です。
名ディージェイのBrigadier Jerryですが、
ここでも素晴らしいトースティングを聴かせて
います。

10曲目はNeville Tateの「See A Man's Face
(Extended)」です。
この人もあまり知らない人ですが、ルーツ期の
レゲエらしい素晴らしい歌声を聴かせています。
こうした人に出会えるのもコンピの面白さです。

Neville Tate - See a Man's Face / Version


11曲目はU Brownの「So Long」です。
最後は名ディージェイの、明るく楽しいトース
ティングでシメています。

ざっと追いかけて来ましたが、この75~78年
というのは、まさにルーツど真ん中といった時代
だったんですね。
そのルーツの時代の空気感が、このアルバムには
うまく収められていると思います。

その時代にけっして器用には生きられず、悲劇的
な人生を送ったJunior Bylesという歌手が居た
事も、ルーツの大切な記憶です。
「Remember Me」と歌う彼の歌には、ちょっと
胸を締め付けられる思いがあります。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Junior Byles & Friends
○アルバム: 129 Beat Street: Ja-Man Special 1975-1978
○レーベル: Blood & Fire
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1998

○Junior Byles & Friends「129 Beat Street: Ja-Man Special 1975-1978」曲目
1. Chant Down Babylon (Extended) - Junior Byles & Rupert Reid
2. Know Where You're Going – Junior Byles
3. Pitchy-Patchy - Junior Byles
4. Remember Me (Extended) - Junior Byles & Rupert Reid
5. See The Dread Deh (Extended) - Rupert Reid
6. One People (Extended) - Pablo Moses
7. Mighty Ruler (Extended) - Bim Sherman
8. My Homeland (Extended) - Dave Robinson
9. Wild Goose Race - Brigadier Jerry
10. See A Man's Face (Extended) - Neville Tate
11. So Long - U Brown

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