今回はPhillip Frazer(Fraser)のアルバム

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「Never Let Go」です。

Phillip Frazer(Fraser)は70年代のルーツ・
レゲエの時代から80年代のダンスホール・
レゲエの時代にかけて活躍したシンガーであり、
プロデューサーでもある人です。
自身のレーベルRazer Soundsや、今回のアルバム
の発売元でもあるErrol 'Don' Maisの率いる
レーベルRoots Traditionなど、主にジャマイカ
国内の小さなレーベルでアルバムを出している
人なんですね。
ただルーツからダンスホールの時代にかけて、
かなり目覚ましい活躍をしています。

今回のアルバムは1992年にRoots Tradition
から発売されたアルバムです。
曲を聴けば解りますが、明らかにデジタルの
打ち込みによるサウンドの曲と、おそらくまだ
アーリー・ダンスホールの時期で生演奏と
思われる音源もあるんですね。
実際に表題曲の「Never Let Go」を調べてみる
と、1979年のヒット曲との事です。
エンジニアやスタジオの多さから見ても、
そうした彼Phillip Frazerのヒット曲を集めた
コンピュレーション・アルバムなんじゃないか
と思います。

レーベル特集 Roots Tradition (ルーツ・トラディション)

ちなみに手に入れたのはレゲエレコード・コム
で売られていたLPでした。

どうもこの人の場合おもにマイナー・レーベル
で活躍した人のせいか、CDよりもLPの方が
品揃えが多いんですね。
Roots Traditionでは看板スター的な存在だった
ようです。

ただジャマイカの中小レーベルのせいか、新盤
でもジャケットはあまりキレイではありません
でした。

Side Aが5曲、Side Bが5曲の全10曲です。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Musicians: Fire House Crew
Bass: Christopher Merdic, George Fullwood
Drums: Squiddle Cole, Anthony Thomas, Santa Davis
Keyboards: Christopher Merdic, Robbie Lyn
Guitar: Earl 'China' Smith, Tony Chin, Leroy Penecooke, 'Badnesss'
All Track on: Country Boy Played by: B.J. Jolly Studio, Phillidelphia
Harmony: Ruddy Thomas, Phillip Frazer
Produced and Arranged: Phillip Frazer
Distributed by: Dynamic Sounds
Mastered and Edited by: Spiderman
Photography by: L. Roberts
Recorded at: Jammy's, Channel One, Dynamics, Bobby Digital Studio
Mixing Engineer: Rudy Thomas, Bobby Digital, Mikey Riley, Fatman,
S. Morrison, Scientist

Designed by: Limonious

となっています。

バックはFire House Crewとなっていますが、
書いたように79年のヒット曲なども入って
いますから、一度に録られたものではない
ようです。
スタジオやミキサーの多さもそれを裏付けて
います。

さて今回のアルバムですが、歌手Phillip Frazer
の魅力がうまく詰め込まれたアルバムで、内容は
悪くないと思います。
マイナー・レーベルで活躍したこの人ですが、
ちょっとハスキーでソフトな歌声は初期の
ダンスホール・レゲエがもの凄く似合っている
んですね。
今回のアルバムにはデジタルのダンスホール・
レゲエになってからの音源も含まれているよう
ですが、この人が歌うと不思議とアーリー・
ダンスホールの香りがする曲になってしまうん
ですね。
それだけしっかりとした個性を持った歌手なんだ
と思います。

Side Aの1曲目は「Place In The Sun」です。
Lee PerryプロデュースのDavid Isaacsのヒット
曲として知られている曲です。
出だしはデジタルを感じますが、彼が歌いだすと
そのソフトな歌声にアーリーな空気が漂い出し
ます。

2曲目は「Friday Night」です。
コーラス・ワークに乗せたソフトなメロディ
の曲です。

3曲目は「Please Stay」です。
軽快なデジタルのバックに乗せた曲です。
そうした曲でも彼のヴォーカルには情感が
こもっていて、何とも言えない味わいがあり
ます。

4曲目は「Wish It Was Me」です。
バックのサウンドにはデジタルのリズムが少し
混ざっていてリズミカルですが、ピアノに
乗せたPhillip Frazerのヴォーカルには情感が
込められています。
そのホットとクールの対比が面白い曲です。

5曲目は「I'll Be Lonely」です。
こちらはジックリと聴かせるソフトな曲です。
丁寧に歌う歌いぶりがとても魅力。

Phillip Fraser - I'll Be Lonely


Side Bの1曲目は「I'm Holding On」です。
Moodicのヒット曲Dennis Walksの「The Drifter」
のリディムの曲です。
ちょっとデジタルの入ったリズムに乗せて、
Phillip Frazerのていないな歌いぶりが
良い空気感を出しています。

リズム特集 Drifter (ドリフター)

2曲目は表題曲の「Never Let Go」です。
この曲にはStudio Oneのヒット曲「Answer」の
リディムが使われています。
書いたようにこの曲は79年のヒット曲のよう
です。
アーリー・ダンスホールの幕開けを告げた曲
として、知られている曲のようです。

Phillip Frazer - never let go


リズム特集 Answer (アンサー)

3曲目は「Country Boy」です。
この曲はB面の中でも長い曲で、Phillip Frazer
の情感を込めた歌唱が強く印象に残る曲です。
なかなか素敵なスロー・バラードなんですね。

4曲目は「La La Means I Love You」です。
オリジナルはソウル・グループのThe Delfonics
の同名ヒット曲。
そうした曲をレゲエのリズムに乗せ、うまく自分
の曲として歌っています。

5曲目は「Dark End Of The Street」です。
こちらはJames Carrという人のポピュラーの
クラシック・ヒット曲のようです。
そうした曲をデジタルなバックに乗せて、
うまくレゲエの曲に作り変えています。

ざっと追いかけて来ましたが、ダンスホール・
レゲエの時代にマイナー・レーベルで活躍した
Phillip Frazerという人の魅力が、うまく収め
られたアルバムだと思います。
ここのところCDだけではなくLPもよく買う
ようになりましたが、LPまで手を広げると
このPhillip Frazerのような魅力的なアーティ
ストがまだまだ居るんですね。
しかも80年代のアーリー・ダンスホールから
デジタルのダンスホール・レゲエになる時代に、
素晴らしい楽曲を数多く残しているんですね。

こうした魅力的なアーティストに出会えるのも
またレゲエを聴く楽しみです。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Phillip Frazer(Fraser)
○アルバム: Never Let Go
○レーベル: Roots Tradition
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1992

○Phillip Frazer(Fraser)「Never Let Go」曲目
Side A
1. Place In The Sun
2. Friday Night
3. Please Stay
4. Wish It Was Me
5. I'll Be Lonely
Side B
1. I'm Holding On
2. Never Let Go
3. Country Boy
4. La La Means I Love You
5. Dark End Of The Street