今回はSugar Minott, Frankie Paulのアルバム

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「Show-Down Vol. 2」です。

Sugar Minottはルーツ・レゲエの時代から
活躍する、レゲエを代表するシンガーの一人
です。
Eric BubblesとTony Tuffと一緒にAfrican
Brothersというコーラス・グループでキャリア
をスタートされた彼は、ソロになっても
Studio OneのC.S. Doddをはじめとする多くの
プロデューサーと仕事をし、レゲエを代表する
シンガーへと成長して行きます。
また自身の成功だけにとどまらず、「ゲットー
の兄貴」として多くのシンガーを育てた人物と
しても知られています。
そんなSugar Minottですが、2010年に
50代の若さで亡くなっています。

アーティスト特集 Sugar Minott (シュガー・マイノット)

Frankie Paulは80年代のダンスホール・
レゲエで活躍したシンガーです。
生まれた時から盲目に近い状態だった彼は、
「ジャマイカのスティービー・ワンダー」と
形容されるほどの実力で、このダンスホール・
レゲエの時代に活躍するんですね。

アーティスト特集 Frankie Paul (フランキー・ポール)

今回のアルバムは1983年に発表された、
そのSugar MinottとFrankie Paulのいわゆる
「対決盤」です。
Sugar Minottが5曲、Frankie Paulが5曲
収められていて、Sugar Minottのミックスが
Chemist、Frankie PaulのミックスがScientist
とミックス対決のアルバムにもなっています。

当時はまだLPの時代でしたが、こうした
Side 1とSide 2を別のアーティストを入れる
「対決盤」が多く作られたんですね。
そうしたヴァラエティの付け方は、いかにも
ジャマイカらしいところです。

全10曲で収録時間は34分31秒。
1~5曲目までがSugar Minott、6~10曲目
までがFrankie Paulの曲となっています。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Tracks 1-5 Written by Sugar Minott
Mixed by: Chemist
Tracks 6-10 Written by Frankie Paul
Mixed by: Scientist

Players: Radics

Drums: Style
Bass: Flabba
Guitar: Bingy Bunny, Dwight Pickney
Keyboards: Steele
Percussion: Sky Juice
Hornes: Eradication Squad

Produced by: Joseph Hoo Kim
Executive Producer: Joseph Hoo Kim
Tracks Laid by: Soljie
Rhythm Tracks Recorded at Channel One Recording Studio
Mixed at Channel One Recording Studio

となっています。

アルバムを発売しているHit Boundは、Channel
One傘下のレーベルです。
そうした事からも解るように、プロデュースは
Channel OneのJoseph Hoo Kimが担当しています。

バックは「Radics」とありますが、このダンス
ホール・レゲエの時代をけん引したRoots Radics
が担当しています。

さて今回のアルバムですが、これがなかなか
良いアルバムなんですね。
前半のSugar Minottの5曲を聴くと「これは
Sugar Minottの『圧勝』かなぁ」と思うのです
が、次の6曲目Frankie Paulの「Worries In
The Dance」を聴くとその思いが変わってしまい
ます。
この「Worries In The Dance」が本当にスゴイ
曲なんですね。
それまでSugar Minottのまろやかなシルクの
ようなヴォーカルを聴いた後に、Frankie Paul
のちょっと荒々しいほどの迫力のある曲が来ると
かなりシビレます。
Scientistのヘヴィーなミックスもキマった、
かなりの名曲です。
(この曲は販売サイトなどでも、絶賛している
ところがありました。)

Frankie Paulはまだそれほど聴き込んではいない
んですが、どちらかというとソフトでウマい
ヴォーカリストというイメージがあったんです
が、私の持っていたイメージがこの1曲で完全に
覆りました。
Frankie Paulというとサングラスに丸刈りという
イメージですが、このジャケットの彼は眼鏡を
かけておらず痩せた青年という感じです。
たぶんまだ彼の若い頃の録音なのでしょう。
ただこの輝きは本物です。

そうした才能ある2人が収められたアルバムで、
なかなか魅力的なアルバムだと思いました。

1~5曲目まではSugar Minottの曲が収め
られています。
こちらは彼のしなやかなシルクのような歌声が
楽しめます。

1曲目は「Missing You Girl」です。
出だしの彼の歌声を聴いただけで、完全に
ヤラレちゃう曲です。
蕩けるような素晴らしい歌声を聴かせています
が、意外とバックは硬派なワン・ドロップの
サウンドなのも良いです。

Sugar Minott - Missing You Girl


2曲目は「Don't Bite The Hand That Feed You」
です。
こちらもSugar Minottのヴォーカルの魅力が
際立つ1曲です。
こちらもバックは、意外とハードなワン・
ドロップ。
ドラムとベースにピアノとバックは意外と
シンプルで、余分が音が入っていない緊張感
のある演奏をしています。

3曲目は「Sing A Happy Song」です。
こちらはメローで明かるい曲です。

4曲目は「Love Up Love Up」です。
こちらは時折入るホーンが良いアクセントに
なっている曲です。
ホーンのEradication Squadは、この時代に
活躍したホーン・セクションのようです。

5曲目は「Show Me That You Love Me Girl」
です。
コーラスも入った曲で、ここでもSugar Minott
は魅力的な歌声を聴かせています。
ちょっと最後がポツッと急に終わるのが、残念
なところ。

Sugar Minott - Show Me That You Love Me Girl


6~10曲目まではFrankie Paulの曲が並び
ます。
Sugar Minottとはまた違った、荒々しさもある
若い歌声が魅力です。

6曲目は「Worries In The Dance」です。
このアルバムの最大の目玉曲ともいえる曲です。
Frankie Paulの唸るような荒々しいヴォーカルは、
ものスゴク魅力的です。
それを生かしたScientistのヘヴィーなミックス
も素晴らしいです。

Frankie Paul - Worries In The Dance


7曲目は「Lazy Love」です。
一転こちらはジックリと聴かせる曲です。
Sugar Minottとはまた違った説得力のある歌い方
を持っているのも、この人の強みです。

Frankie Paul - Lazy Love


8曲目は「Girl Is Mine」です。
こちらはワン・ドロップのソフトな曲です。

9曲目は「Travelling Man」です。
こちらはジックリと聴かせるレゲエ・バラード
のナンバーです。
Frankie Paulのグッとくるヴォーカル、イイ感じ
のサックスと、役者の揃った1曲です。

Frankie Paul - Travelling Man


10曲目は「You're A Lover Baby」です。
こちらはFrankie Paulの歌のウマさが際立つ
1曲です。
ジックリと聴かせるウマさがこの人にはあり
ます。

ざっと追いかけて来ましたが、どちらも甲乙を
付け難い、名シンガー2人の魅力的な歌声が
収められたアルバムだと思います。
あえて言えば6曲目は「Worries In The Dance」
は必聴の曲です。
Scientistのヘヴィーなミックスは、この初期の
ダンスホール・レゲエのレベルの高さを証明して
います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Sugar Minott, Frankie Paul
○アルバム: Show-Down Vol. 2
○レーベル: Hit Bound
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1983

○Sugar Minott, Frankie Paul「Show-Down Vol. 2」曲目
1. Missing You Girl – Sugar Minott
2. Don't Bite The Hand That Feed You – Sugar Minott
3. Sing A Happy Song – Sugar Minott
4. Love Up Love Up – Sugar Minott
5. Show Me That You Love Me Girl – Sugar Minott
6. Worries In The Dance – Frankie Paul
7. Lazy Love – Frankie Paul
8. Girl Is Mine – Frankie Paul
9. Travelling Man – Frankie Paul
10. You're A Lover Baby – Frankie Paul

●今までアップしたSugar Minott関連の記事
〇Sugar Minott「A True」
〇Sugar Minott「Black Roots」
〇Sugar Minott「Dance Hall Showcase Vol.II」
〇Sugar Minott「Ghetto-Ology」
〇Sugar Minott「Rydim」
〇Sugar Minott「Showcase」
〇Sugar Minott「Sugar Minott At Studio One」
〇Sugar Minott「Wicked Ago Feel It」
〇Soul Syndicate (Black Roots Players)「Ghetto-Ology Dubwise」
〇Sugar Minott「African Girl」
〇Sugar Minott「Live Loving」

●今までアップしたFrankie Paul関連の記事
〇Frankie Paul & Coco Tea「Showdown Vol 8」
〇Frankie Paul, Little John「Show-Down Vol. 6」
〇Frankie Paul, Pinchers「Turbo Charge」
〇Frankie Paul「Casanova」
〇Frankie Paul「Pass The Tu-Sheng-Peng / Tidal Wave」
〇Frankie Paul「The Veteran」