今回はYami Bolo, Lloyd Hemmings, (Augustus Pablo)のアルバム

lloyd_hemmings_03a

「Yami Bolo Meets Lloyd Hemmings」です。

Yami Boloはメロディカ奏者でありプロデュ
ーサーとしても知られる、Augustus Pabloに
育てられたシンガーとして知られています。
Sugar Minottに見いだされAugustus Pablo
の育てられた彼は、敬虔なラスタ・シンガーと
して多くのアルバムをレゲエの歴史に残して
います。

アーティスト特集 Yami Bolo (ヤミ・ボロ)

Lloyd Hemmingsは80年代の後半から90年
代に活躍したシンガーのようです。
彼はYami Boloほど活躍したシンガーではあり
ませんが、やはりAugustus Pabloに育てられた
シンガーのようで、95年にAugustus Pablo
がプロデュースしたアルバム「The Healer Has
Come」をリリースしています。

lloyd_hemmings_01a
Lloyd Hemmings - The Healer Has Come (1995)

Augustus Pabloはレゲエの歴史に偉大な足跡を
残したメロディカ奏者であり、プロデューサー
です。
70年代のルーツ・レゲエの時代から活躍を
始めた彼は、それまで練習用の楽器としか
思われていなかったメロディカを駆使して、
レゲエに独創的でエモージョナルなインストの
世界を創り上げて行くんですね。
「East Of The River Nile」をはじめとする
多くのインスト・アルバムやダブ・アルバムで
メロディカを駆使して、70年代のルーツ・
レゲエに他にない独特の音楽という価値観を
プラスしたのがこの人です。

augustus_pablo_07a
Augustus Pablo - East Of The River Nile (1978)

またHugh Mundellや今回のYami Bolo、Lloyd
Hemmingsなど、多くの若い才能を育てた事でも
知られています。
そうしたAugustus Pabloですが、1999年に
筋無力症の為に亡くなっています。

今回のアルバムは1993年に発表された
アルバムで、Yami BoloとLloyd Hemmings、
さらにはAugustus Pabloのダブが収められた
アルバムです。
Augustus Pabloの主催するRockers Productions
からのアルバムで、このあたりにも彼がいかに
若い才能を育てる事に熱心だったかがうかがわれ
ます。

全13曲で収録時間は49分14秒。
ちなみに裏ジャケの曲目を見ると、なぜか6番が
無くて7~14番になっています。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Produced Throu: King Selassie I Devine Powers
Co-Produced: H. Swaby
Arranged by: H. Swaby
Published by Pablo Publishers Ltd.
Engineer: M. Carrol, A. Pablo, Dr. Marshall, Tony Kelly
Recorded at Music Works Recording Studio, Rockers Intl,
Dub Vendor Studio, Creative Sounds, Penthouse Studio

Musicians:
Bass: Ranchie McLean, Danny Thompson, A. Pablo
Drums: Benbow Creary
Piano, Synthesizer: A. Pablo
Guitar: Souwell, Chinna Smith
Percussions: Skully Simms

Design: Studio Case

となっています。

プロデューサーが「King Selassie I」と
なっています。
Augustus Pabloが筋無力症で99年に亡く
なったと書きましたが、晩年筋無力症に苦しん
だ彼は、プロデューサー名に信奉するラスタ
ファリズムの神であるエチオピア皇帝の名前を
載せるようになるんですね。
ちなみにH. Swaby=Horace Swabyは、Augustus
Pabloの本名です。

この90年代になると、ジャマイカの音楽界も
かなりデジタル化されて来て、バックもかなり
シンプルになっています。
Pabloもピアノとシンセを演奏しています。
(多少メロディカっぽい音も入っています。)

さて今回のアルバムですが、この90年代
ぐらいになるとAugustus Pabloもデジタルの
「打ち込み」のサウンドを取り入れて来て
いるんですね。
そのあたりはちょっと好き嫌いの分かれる
ところかもしれません。
確かに70年代のルーツ・レゲエの時代の
Augustus Pabloの演奏は「ナマ音」の強力さ
があります。
この時代のAugustus Pabloはいかにデジタルの
サウンドになってもそのイマジネーションを
失わないかに腐心しているところがあります。
そうして生み出されたサウンドには、それは
それで魅力があるんですね。
むしろAugustus Pabloが好きな人には、こう
した彼のサウンドもぜひ聴いてもらいたいと
思います。

サウンド的にはかなりダンスホールの匂いの
するサウンドになっていますが、彼の
インスピレーションや情熱はけっして失わ
れていないんですね。

1曲目はYami Boloの「Struggle In Babylon」
です。
ちょっと面白ささえ感じるイントロの入り方
ですが、Yami Boloのシッカリした歌いぶりに
好感が持てる曲です。
曲のタイトルを見ればわかりますが、この
ダンスホールの時代になっても、内容は
ラスタファリズムについて歌われているよう
です。
そのあたりにも「Pablo一門」の頑固さが
あります。

Yami Bolo - Struggle In Babylon / Augustus Pablo - Struggle Dub


2曲目は「Dub」です。
文字通り1曲目「Struggle In Babylon」の
ダブです。
Augustus Pabloのシンセを中心とした演奏
ですが、シンセでもメロディカに負けない
エモーショナルな調べを出しているのは
さすが!といったところです。

3曲目はYami Boloの「Jah Is Gonna Break
It Up」です。
こちらはシンセなのかもしれませんが、ほぼ
メロディカに聴こえる調べに乗せた1曲です。
打ち込みの匂いのするキレの良いリズムに、
Yami Boloのしっかりしたヴォーカルの曲です。

4曲目は「Falling Babylon Dub」です。
こちらは3曲目「Jah Is Gonna Break It Up」
のダブです。
Augustus Pabloのメロディカを支える重い
ベースのサウンドが、良い味を出しています。

5曲目はYami Boloの「Bowl Must Fall」です。
ここから3曲Yami Boloの曲が続きます。
こちらはBarry Brownの「Far East」の
リディムを使った曲です。
心地よいリズムが素晴らしいです。

YAMI BOLO - BOWL MUST FULL


6曲目はYami Boloの「Poor Man Problem」
です。
Augustus Pabloのシンセがディープな世界観
を演出している曲です。

Yami Bolo - Poor Man Problem - Yami Bolo Meets Lloyd Hemmings LP / Message


7曲目はYami Boloの「Africa For The
Africans」です。
軽快な打つ込みの(ドラムの)リズムに乗せた
曲です。
リズミカルで重いシンセが印象的。

8曲目以降はLloyd Hemmingsの曲に変わって
います。
LPだとSide 1とSide 2で歌手が変わっている
構成のようです。

8曲目はLloyd Hemmingsの「Fight This War」
です。
この曲にはJackie Mittooの名曲「Drum Song」
のリディムが使われています。
気持ち良いパーカッションと、ちょっと頼り
なさげなシンセがバックを彩っています。

9曲目はLloyd Hemmingsの「Fret Not Thy Self」
です。
Lloyd Hemmingsの甘い歌声が魅力の1曲です。
なかなか魅力的なシンガーだと思うのですが、
アルバムが少ないのは何故なのでしょう?

10曲目はLloyd Hemmingsの「Who Rule」です。
こちらもシンセのメロディに乗ったLloyd
Hemmingsの甘い歌声が魅力の曲です。
シンセ使いにAugustus Pabloらしさも垣間
見えます。

lloyd hemmings who rule & version


11曲目は「Haile Selassie I (Forever Dub)」
です。
10曲目「Who Rule」のダブです。
Pabloらしい寂寥感のあるメロディが素晴らしい
曲です。

12曲目はLloyd Hemmingsの「Straight Up」
です。
こちらは明るい曲調に乗せた曲です。
Lloyd Hemmingsの柔らかさを感じるヴォーカル
がとても良いです。

13曲目はLloyd Hemmingsの「It Is Because
I Am Black」です。
この曲は何とSyl Johnsonのいうソウル・
シンガーの名曲のようです。
そのソウルの名曲をLloyd Hemmingsは切々と
歌いあげています。
このアルバムの中でも白眉の1曲です。

Lloyd Hemmings -- Is It Because I'm Black + Version - 7 inch - 198X

↑アルバムにはVersionは入っていません。

ざっと追いかけて来ましたが、Yami Boloと
いうシンガーの魅力、Lloyd Hemmingsという
シンガーの魅力、そしてAugustus Pabloのダブ
まで楽しめるという、かなり盛り沢山な内容の
アルバムです。
特にダブ好きにとっては、Augustus Pabloの
シンセを使ったダブというのはかなり貴重な
音源だと思います。
特に11曲目「Haile Selassie I (Forever
Dub)」はかなり魅力的なダブだと思いました。
13曲目「It Is Because I Am Black」もソウル
の名曲で、それを歌うLloyd Hemmingsもかなり
良いので、内容的にはかなり充実していると
思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Yami Bolo, Lloyd Hemmings, (Augustus Pablo)
○アルバム: Yami Bolo Meets Lloyd Hemmings
○レーベル: Rockers Productions
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1993

○Yami Bolo, Lloyd Hemmings, (Augustus Pablo)「Yami Bolo Meets Lloyd Hemmings」曲目
1. Struggle In Babylon - Yami Bolo
2. Dub - (Augustus Pablo)
3. Jah Is Gonna Break It Up - Yami Bolo
4. Falling Babylon Dub - (Augustus Pablo)
5. Bowl Must Fall - Yami Bolo
6. Poor Man Problem - Yami Bolo
7. Africa For The Africans - Yami Bolo
8. Fight This War - Lloyd Hemmings
9. Fret Not Thy Self - Lloyd Hemmings
10. Who Rule - Lloyd Hemmings
11. Haile Selassie I (Forever Dub) - (Augustus Pablo)
12. Straight Up - Lloyd Hemmings
13. It Is Because I Am Black - Lloyd Hemmings