今回はThe Wailing Soulsのアルバム

wailing_souls_03a

「Fire House Rock」です。

The Wailing Soulsは70年代のルーツ・
レゲエの時代の時代から活躍するコーラス・
グループです。
4人組のコーラス・グループとしてStudio One
レーベルからキャリアをスタートした彼らは、
The Wailersの兄弟グループとしてWailing Souls
という名前でアルバム「The Wailing Souls」で
1975年にアルバム・デビューを果たします。

wailing_souls_01a
The Wailing Souls - The Wailing Souls (1975)

その後も70年代後半にはChannel Oneなどで
活躍し、80年代のダンスホール・レゲエの時代
になってもVolcanoレーベルのHenry 'Junjo' Lawes
の元に今回のアルバムなど素晴らしいアルバムを
残し、活躍し続けたんですね。
その後4人組から3人組、2人組と変遷はあった
ものの、活躍し続けたのが彼らなんですね。

アーティスト特集 Wailing Souls (ウェイリング・ソウルズ)

今回のアルバムはレゲエがルーツ・レゲエから
ダンスホール・レゲエへと移行し始めた1981年
にVolcanoレーベルのHenry 'Junjo' Lawesの元から
発表されたアルバムです。
この時代になるとレゲエもダンスホール・レゲエ
一色に塗り替えられていくんですね。
その時代にバックはRoots Radics、ミックスは
Scientistと、このダンスホール・レゲエをけん引
した最強の布陣で作られたアルバムです。
彼らThe Wailing Soulsにとっても、新境地を開いた
アルバムと言えるでしょう。

ちなみに今回のアルバムの曲の何曲かが、Scientist
のダブ・アルバム「Rids The World Of The Evil
Curse Of The Vampires」に使われているようです。

scientist_01a
Scientist - Rids The World Of The Evil Curse Of The Vampires (1981)

全10曲で収録時間は40分36秒。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Produced by Henry 'Junjo' Lawes
Backed by Roots Radics
Recorded at Channel One
Mixed by Scientist at King Tubby's

Drums: Style Scott
Bass: Flabba Holt
Percussion: Sky Juice, Sticky
Keyboards: Winston Wright, Gladdie Anderson
Hornes: Dean Frazier, Nambo
Lead Guitar: Bo Pee, Alan Bassford
Rhythm Guitar: Bingy Bunny, Alan Bassford

Mixed by Ray Staff

Cover by: Tony McDermott

となっています。

バックはRoots Radics、ミックスはScientistと
この時代に一番勢いがあった布陣です。
さらにミックスにはRay Staffというあまり聞き
慣れない人の名前があります。
Greensleeves Recordsか何かが、さらにリミックス
でもしているんでしょうか?

カヴァー・デザインは、Scientistの「漫画ジャケ」
シリーズなどで知られるTony McDermottが担当して
います。

さて今回のアルバムですが、この80年代初期の
ダンスホール・レゲエのユッタリしたワン・
ドロップのサウンドを歌うThe Wailing Souls
もなかなか良いです。
ルーツの時代のStudio OneのThe Wailing Souls
とは、また違った魅力があります。

実はちょっと前まではThe Wailing Soulsって、
Studio Oneのファースト・アルバムの頃が
一番良いのかと思っていました。
Channel Oneから出した「Wild Suspense」などを
聴いても、悪いアルバムではないと思うのですが
Studio Oneの曲などもやっていて、どこか
Studio Oneから吹っ切れていないイメージがずっと
あったんですね。

wailing_souls_02a
The Wailing Souls - Wild Suspense (1979)

だから個人的には彼らの一番良いアルバムは、
ファースト・アルバムなんだとずっと思って
いました。

ところが世間の評価は必ずしもそうではない
事に、最近気が付きました。
2003年リットーミュージック刊行の本
「スカ・ディスク・ガイド」に彼らの
ファースト・アルバムのアルバム評が載って
いて、その評価を見ると「地味」と書いてある
んですね。
地味?あんな良いアルバムが…!?
おそらくこの批評を書いている人は、他に彼ら
の好きなアルバムがあってそれを基準に書いて
いる、その事に気付いたんですね。
そしてこのアルバムが評価が高い事に、気が
付いたんですね。
その書き手の人にとっては、このダンスホール
期のThe Wailing Soulsが一番イメージが
強かったんですね。

実はこのアルバム前から買おうと思いながら、
買いそびれていたアルバムでした。
それで今回手に入れたという訳です。

実際に聴いた印象としても、華やかさがあり
なかなか良いグルーヴ感のあるアルバムだと
思いました。
まあ、Studio OneのSound Dimensionあたりを
バックにしたThe Wailing Soulsも、それは
それですごく魅力がありますけどね(笑)。
どちらにしても彼らが本当に素晴らしい
ヴォーカル・グループであることは、否定の
出来ない事実だと思います。

1曲目は表題曲の「Fire House Rock」です。
このダンスホールの時代に流行った「M 16」
などにちょっとにリズムの曲です。
ホーンのイントロから彼らの素晴らしい
ヴォーカルとコーラス・ワークが堪能できる
曲です。
ちなみにScientistのダブ「Rids The…」の
「The Mummy's Shroud」という曲に、この曲が
使われています。

Wailing Souls - Firehouse Rock


2曲目は「Run Dem Down」です。
軽快なドラムのリズムに乗せた曲です。
ちなみにドラムはStyle Scottになっています
が、「Rids The…」にはSanta Davisの名前も
あります。
ちょっとSantaっぽいような気が…。

3曲目は「Oh What A Feeling」です。
こちらはイントロのギターの演奏がすごく
カッコいい曲です。
そこから説得力のあるヴォーカルからコーラス
という展開もシビレます。
この時代の彼らの充実ぶりをうかがわせる1曲
です。
こちらもScientistのダブ「Rids The…」の
「The Voodoo Curse」という曲に使われて
います。

WAILING SOULS - What A Feeling [1981]


4曲目は「Kingdom Rise Kingdom Fall」です。
こちらはワン・ドロップのリズムに乗せた曲で、
ベースの刻む重いリズムがすごく印象に残る曲
です。
このあたりはバックのRoots Radicsの充実ぶり
も感じます。

The Wailing Souls - Kingdom Rise Kingdom Fall - (Fire House Rock)


5曲目は「Act Of Affection」です。
ホーンの華やかなイントロから、刻むリズムに
乗せたしっかりした歌いぶりが印象に残る曲
です。

6曲目は「Busnah」です。
気持ちの良いドラムのオープニングから、
ヴォーカルを引き立てるソフトなコーラス・
ワークがとても気持ちの良い曲です。

7曲目は「A Fool Will Fall」です。
イントロのホーンからコーラス・ワーク、
ヴォーカルへという流れが心地よい曲です。
いかにもScientistらしいハード目のミックス
も強烈です。

The Wailing Souls - A Fool Will Fall - (Fire House Rock)


8曲目は「Bandits Taking Over」です。
ちょっとコミカルさも感じる、余裕の1曲です。
こちらもScientistのダブ「Rids The…」の
「The Corpse Rises」という曲に使われている
ようです。

Wailing Souls- Bandits Taking Over


9曲目は「Who Lives It」です。
こちらもホーンのリズムに乗せた曲で、
ヴォーカルに絡む息のあったコーラス・ワーク
が良いグルーヴ感を醸し出している曲です。

10曲目は「See Baba Joe」です。
こちらもバックのRoots Radicsの演奏はドラム
を中心とした硬めの演奏なんですが、それに
負けないヴォーカルとコーラス・ワークで
盛り上げる曲です。
ミディアム・テンポでもソフトなコーラス・
ワークでも濃くてハードというのが、レゲエ
という音楽の持つ独特の世界観です。

ざっと追いかけて来ましたが、このダンスホール
の時代のThe Wailing Soulsの充実ぶりが見事な
ほどにうかがわれるアルバムで内容はすごく
良いです。
おそらく聴けば聴くほど好きになる、そんな
力を秘めたアルバムなんじゃないかと思います。

やはりこの80年代の初期のダンスホール・
レゲエのThe Wailing Soulsは、レゲエ好きと
しては押さえておくべきアーティストのひとつ
だと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: The Wailing Souls
○アルバム: Fire House Rock
○レーベル: Greensleeves Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1981

○Wailing Souls「Fire House Rock」曲目
1. Fire House Rock
2. Run Dem Down
3. Oh What A Feeling
4. Kingdom Rise Kingdom Fall
5. Act Of Affection
6. Busnah
7. A Fool Will Fall
8. Bandits Taking Over
9. Who Lives It
10. See Baba Joe