今回はClint Eastwood & General Saintのアルバム

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「Two Bad D.J.」です。

Clint Eastwood & General Saintは80年代
前半のダンスホール・レゲエで人気を博した
ディージェイ・コンビです。
ディージェイTrinityの弟で、70年代から
ソロのディージェイとして活躍していたClint
Eastwoodと、UKで活躍していたGeneral Saint
がUKで出会い、結成されたのがこのコンビ
なんですね。
彼らはコミカルなディージェイ・スタイルで
たちまちUKで人気コンビとなり、「Stop That
Train」をはじめとするヒット曲でチャートの
常連として活躍したんですね。

アーティスト特集 Clint Eastwood & General Saint (クリント・イーストウッド・アンド・ジェネラル・セイント)

今回のアルバムは1981年に発表された
彼らのコンビとしてのファースト・アルバム
です。

ちなみにパクリ名前のClint Eastwoodは、
すでに70年代から「Death In The Arena」
をはじめとして、数枚のアルバムをすでに
リリースしています。

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Clint Eastwood - Death In The Arena (1978)

ジャマイカではすでに人気のある人だったん
ですね。

全15曲で収録時間は56分48秒。
オリジナルは10曲で、残りの5曲はCD
ボーナス・トラックです。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

All Tracks Written by H. Lawes, W. Hislop, R. Brammer

Produced by Cris Cracknell & Henry 'Junjo' Lawes
Rhytm Tracks Laid at: Channel One and King Tubby's
Engineers: Scientist, Barnabas
Overdubbed & Voiced at: Mark Angelos, London
Engineer: Mark Lusardi
Musicians:
Drums: Style Scott, Santa Davis, Sly Dunbar
Bass: Flabba Holt, Robbie Shakespeare
Lead Guitar: Dwight Bo Pee, Sowell, Chinna Smith
Rhythm Guitar: Bingy Bunny, Sowell
Keyboards: Gladdie Anderson, Ansel Collins, Steelie,
Winston Wright, Delroy Donaldson
Percussion: Sky Juice, Mikey Spratt, Skully
Hornes: Dave Cummings, Mark Alder, Hameed Taroghion
Solo Saxophones: Courtney Pine
Photos: Tim O'Sullivan
Cover Design: Tony McDermott

となっています。

上にあるレゲエレコード・コムのClint Eastwood
& General Saintのページを見ると、プロデュース
を行ったのはCris Cracknellで、Henry 'Junjo'
Lawesは曲の提供などをしてくれたんだそうです。
実際にはそのHenry 'Junjo' Lawesから提供された
ジャマイカの音源を、ロンドンでオーヴァー・
ダビングと声入れをして出来上がったのがこの
アルバムという事のようです。

「Solo Saxophones」として名前のあるCourtney
Pineは、ジャマイカ出身の英国人のジャズの
サックス奏者なんだそうです。

ジャケット・デザインはScientistの「漫画ジャケ」
シリーズやMad Professorの「Dub Me Crazy」
シリーズなどで知られるTony McDermottが担当して
います。

今回のアルバムの9曲目に「Tribute To General
Echo」という曲がありますが、このClint Eastwood
& General SaintはディージェイのGeneral Echo
をとても尊敬していたんだそうです。
General Echoは「元祖スラックネス(下ネタ)・
ディージェイ」と言われる人で、ジャマイカで
すごく人気のあった人ですが、「1980年、不可解な
理由によりジャマイカで警察に射殺された」んだ
そうです。
それを悼んで作られたのがこの曲という事らしい
です。
コミカルなイメージが強い彼らですが、実は
男気も持っている、そういうグループなんですね。
この曲は英国のレゲエ・チャートで1位を獲得
したんだそうです。

さて今回のアルバムですが、このClint Eastwood
とGeneral Saintという二人のコミカルなディー
ジェイの楽しい空気感が詰め込まれたアルバム
で、内容は悪くないと思います。

彼らのコミカルなスタイルは、前述したスラック
ネスで人気を博したGeneral Echoの影響が大きい
ようです。
この80年代に入ると、それまでの70年代の
ルーツ・レゲエが持っていたシリアスなスタイル
から、時代はダンスホール・レゲエに変わって、
よりエンターテイメントな快楽的なスタイルが
求められるようになって来るんですね。
このふたりのちょっとヤリ過ぎかとも思える
スタイルも、かえってこの時代の空気に合って
いたのかもしれません。
彼らはUKのテレビを中心に活動し、人気者に
なって行ったようです。

このコミカルなスタイル自体は、ちょっと好き
嫌いが分かれるところがあるかもしれません。
私自身もこういうスタイルがすごく好きという
事は無いのですが、それでもScientistの
かなりハードなミックスも明るく難なく歌い
こなす、彼らの実力を認めない訳にはいき
ません。

1曲目は「I Can't Take Another World War」
です。
初めから楽しい雰囲気が満載の曲です。

Clint Eastwood And General Saint-Can't Take Another World War


2曲目は「Another One Bites The Dust」です。
レゲエレコード・コムの記述などを見ると、
彼らの大ヒット曲のひとつらしいです。
最後の方にこの曲のテレビショーか何かの
ライブ映像を載せておきましたが、ショーに
なるとより楽しいんですね。
パフォーマーとしての魅力も、彼らが人気が
あった理由の一つだったようです。

Clint Eastwood And General Saint - Another One Bites The Dust


3曲目は「Talk About Run」です。
こちらも楽しさ満載、飛び道具満載といった
感じの曲です。
おそらく言葉が解れば、楽しさがより解ると
思うのですが…英語力の無さが恨まれます。

4曲目は「Sweet Sweet Matilda」です。
この時代のEak-A-Mouseなどにも見られるような
「ディルリラン、ディルリラン、ドン、ドン」
といった意味不明な言葉の羅列が面白い味を
出している曲です。
バンクのピアノのメロディはけっこう美しい
のに、コミカルという曲です。

5曲目は「Special Request To All Prisoner」
です。
この曲をRiddimguideで調べるとHorace Andyの
「Skylarking」と出て来たんですが、あんまり
そうは聴こえないような…。
「すべての囚人の特別なリクエスト」とは?
どういう内容なのか気になります。

6曲目は「Dance It Have Fe Nice」です。
こちらもStudio Oneの「Throw Me Corn」の
リディムとのことですが…。
やはりディージェイの場合はトースティングが
前面に出てくるので、判別しづらい部分が
あります。

リズム特集 Throw Me Corn (スロウ・ミー・コーン)

7曲目は「Gal Pon The Front Line」です。
やはりこのコンビのウリは変幻自在の掛け合いに
あるようです。

8曲目は「Jack Spratt」です。
こちらはAlton Ellisの「Mad Mad」のリディム
らしいです。

リズム特集 Mad Mad/Diseases (マッド・マッド/ディジーゼズ)

9曲目は「Tribute To General Echo」です。
書いたようにこの曲はGeneral Echoが警官に
射殺された事で作られた曲だそうです。
特にGeneral Saintは彼のスタイルに心酔して
いたんだとか。
曲を聴くとかなりコミカルですが、ただコミカル
だけではないんですね。

Clint Eastwood & General Saint - Tribute to General Echo


10曲目は「Hey Mr D.J.」です。
タイミング良く入る合いの手が気持ちの良い曲
です。

ここまではオリジナルで、残りの5曲はCD
ボーナス・トラックです。
15曲目「Two Bad D.J.」は7分半にも及ぶ曲
なので、おそらく12インチ・シングルと思われ
ます。
内容については割愛。

ざっと追いかけて来ましたが、彼のトース
ティングを除いたバックのRoots Radicsの演奏
は、ベースを中心とした少し地味目のしっかりと
した演奏なんですね。
それに彼らのコミカルな掛け合いを載せると、
まるで華が満開に咲いたような華やかさに
なっているのが面白いところです。

このClint Eastwood & General Saintのコンビ
は意外とアルバムが少なく、このアルバムと
「Stop That Train」とライヴ盤があるぐらい
なんですね。

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Clint Eastwood & General Saint - Stop That Train (1983)

それでもこのコンビはレゲエの歴史に名を留めた
名ディージェイ・コンビだと思います。

機会があれば聴いてみてください。

Another One Bites The Dust - Clint Eastwood & General Saint



○アーティスト: Clint Eastwood & General Saint
○アルバム: Two Bad D.J.
○レーベル: Greensleeves Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1981

○Clint Eastwood & General Saint「Two Bad D.J.」曲目
1. I Can't Take Another World War
2. Another One Bites The Dust
3. Talk About Run
4. Sweet Sweet Matilda
5. Special Request To All Prisoner
6. Dance It Have Fe Nice
7. Gal Pon The Front Line
8. Jack Spratt
9. Tribute To General Echo
10. Hey Mr D.J.
Bonus Tracks
11. What About Right Oink!
12. Healing In The Balmyard
13. Banana Export
14. Young Lover
15. Two Bad D.J.