今回はToyanのアルバム

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「How The West Was Won」です。

Toyanは80年代のダンスホール・レゲエで活躍
したディージェイです。
この人のDiscogsなどのディスコグラフィーを
見ると、82年と83年にすごく多くのアルバム
を出しているんですが、それ以降はあまり
アルバムを出していないんですね。
そういうところから見て初期のダンスホールでは
凄い人気があったけれど、その後は…という人
だったかもしれません。
英語のWikipediaを見ると、

He was murdered in Jamaica in 1991

とあるので、91年に殺されて亡くなっている
ようです。

Toyan - Wikipedia

今回のアルバムは1981年に発表された、
おそらくこれが彼のファースト・アルバムと
思われるアルバムです。
この時代のダンスホール・レゲエをけん引した
VolcanoレーベルのHenry 'Junjo' Lawesの元で
作られたアルバムで、ミックスはScientist、
バックはRoots Radicsという恵まれたスタート
のアルバムです。

またWailing Soulsのアルバム「Fire House
Rock」の曲が多く使われています。

全15曲で収録時間は45分17秒。
オリジナルは10曲で、最後の5曲はCD
ボーナス・トラックです。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

All Tracks Written by B. Letts & H. Lawes

All Tracks Produced by: Henry 'Junjo' Lawes
Backed by: Roots Radics Band
Recorded at: Channel One
Mixed by: Scientist at King Tubby's
Except Tracks 11-15
Recorded & Mixed at: Channel One by Soldgie
Re-mastered by: Kevin Metcalfe at Soundmasters, London
Design: Tony McDermott

Bonus Tracks 11-15 Originally Released on The LP 'DJ Clash - Nicodemus v Toyan'

となっています。

バックのRoots Radicsのメンバーが解らない
のは、ちょっと残念なところです。

11~15曲のCDボーナス・トラックは
NicodemusとToyan対決アルバム「DJ Clash -
Nicodemus v Toyan'」からの曲が使われていて、
ミックスはSoldgieが担当しているようです。

ジャケット・デザインはScientistの「漫画
ジャケ」シリーズやMad Professorの「Dub Me
Crazy」シリーズなどで知られるTony McDermott
が担当しています。
多くの素晴らしいジャケットを作っている
Tony McDermottですが、このアルバムは特に
名ジャケットとして有名なアルバムらしいです。
後から追加された余分な文字が、ちょっと邪魔
です(笑)。

さて今回のアルバムですが、初めにこのアルバム
を聴いた時にはバックの演奏は良いけれど、
どうもToyanのもっさりしたトースティングが
イマイチだなぁと思っていました。
なんか曲にうまく乗っていないなぁという
感じがあったんですね。

ただいろいろなディージェイのアルバムなどを
聴いているうちに、ちょっと考え方が変わって
来ました。
ディージェイというスタイルにはいろいろな
個性あり、彼のように武骨で不器用なディー
ジェイも、それはそれでありなのかなと思い
始めたんですね。

この80年代のダンスホール・レゲエの時代に
なると、歌唱法などもわざと音程をハズして歌う
「アウト・オブ・キー}という技法が登場した
り、音楽の楽しみ方もより多様になって来るん
ですね。
ディージェイもダンスホールという現場で、
トースティングの技術を磨いて登場して来て
いるんですね。
そう思って聴くと、多少好き嫌いは分かれる
ところがあると思いますが、彼のスタイルは
これはこれでありなんだと思います。

1曲目は「How The West Was Won」です。
出だしからScientistのハードなミックスが
さく裂している曲です。
ドスンと重いベースを中心とした演奏もグッド。
リディムはMichael Prophetの「Gunman」が使わ
れているようです。

Ranking Toyan - How The West Was Won


リズム特集 Gunman (ガンマン)

2曲目は「African Ting」です。
ゆっくりしたリズムに乗せたToyanのトース
ティングが光る曲です。

3曲目は「Big Showdown」です。
リディムはWailing Soulsの「Firehouse Rock」。
Roots Radicsらしい、ユッタリした中にも
ヘヴィーで重いリズムに支えられた曲です。

Toyan - Big Showdown


4曲目は「Toyan On The Go」です。
こちらはClint Eastwood & General Saintの
81年のアルバム「Two Bad D.J.」から
「Another One Bites The Dust」のリディムを
使った曲のようです。
重いベースのユッタリしたリズムの曲です。

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Clint Eastwood & General Saint - Two Bad D.J. (1981)

5曲目は「Lover Man Style」です。
ヤギの「めぇ~めぇ~めぇ~」という鳴き声の
マネなど、遊びが入った1曲です。

6曲目は「Children Children」です。
Burning Spearの「He Prayed」のリディムが
使われた曲のようです。
販売サイトなどの情報を見ると、Johnny Osbourne
の「No Icecream Love」のオケが使われている
んだとか。
いかにもScientistといった、ヘヴィーな
ミックスがシビレます。

Toyan - Children Children


7曲目は「Capital Offence」です。
こちらもWailing Soulsのアルバム「Firehouse
Rock」から「Bandits Taking Over」という
曲が使われています。

8曲目は「Pope In A Di Corner」です。
こちらも「Firehouse Rock」から「Act Of
Affection」という曲が使われています。

9曲目は「Tribute To Entertainer」です。
こちらはLone Rangerの「M 16」のリディム。
ダンスホールといえばこれ!というリディム
ですが、Toyanはノビノビとトースティング
しています。

Toyan- Tribute to Entertainer


10曲目は「Reggae Gone International」
です。
こちらも「Firehouse Rock」から「A Fool
Will Fall」という曲が使われています。

ここまでがオリジナルで残りの5曲はCD
ボーナス・トラックなので、ここでは省略
します。

ざっと追いかけて来ましたが、バックの
Roots Radicsの重いベースを中心とした演奏も
素晴らしく、内容的には悪くないアルバムだと
思います。

ちょっと武骨な印象のトースティングのToyan
ですが、レゲエレコード・コムに載っていた
4曲目「Toyan On The Go」の歌詞などを読むと、
自分の事を「スィートなディージェイ」と
言っているんですね。

トーヤン(Toyan) - Toyan On The Go - 1981 - リリック

ともあれこの80年代の初めに光り輝いていた
ディージェイのひとりであった事は間違いが
ありません。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Toyan
○アルバム: How The West Was Won
○レーベル: Greensleeves Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1981

○Toyan「How The West Was Won」曲目
1. How The West Was Won
2. African Ting
3. Big Showdown
4. Toyan On The Go
5. Lover Man Style
6. Children Children
7. Capital Offence
8. Pope In A Di Corner
9. Tribute To Entertainer
10. Reggae Gone International
Bonus Tracks
11. Overseas Posse
12. Bully Dread
13. Tell Me Your Occupation
14. Wife & Sweetheart
15. Jah Love In We Heart