今回はAlpha Blondy & The Wailersのアルバム

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「Jerusalem」です。

Alpha Blondyはコートジボワール出身の
レゲエ・シンガーです。
そのメッセージ性の強い歌の内容から「アフリカ
のBob Marley」と称されるほど、人気と高い
評価を受けているシンガーです。

アルファ・ブロンディ - Wikipedia

今回のアルバムは1986年に発表された、彼
Alpha Blondyの4作目のアルバムです。
「アフリカのBob Marley」と称される彼が、
Bob Marley亡き後のThe Wailers Bandと協演
したアルバムです。

全9曲で収録時間は46分24秒。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Lead Vocal: Alpha Blondy
Bass: Aston 'Family Man' Barrett
Drums: Carlton Barrett
Keyboards: Georges Kouakou, Earl 'Wire' Lindo
Rhythm Guitar: Earl 'Chinna' Smith, Owen 'Dready' Reid
Lead Guitar: Junior Marvin
Percussions: Sticky, Scully
Hornes: David Madden, Calvin 'Bubbles' Cameron, Glen DaCosta
Backing Vocals: Lorna Wairwright, Marcia 'Pinky' Higgs,
Dahlia Lyons, Georgia 'Pat' Higgs, Olive 'Senya' Grant

All Songs Composed & Arranged by Alpha Blondy
Producer: Alpha Blondy
Artistic Direction: Georges Kouakou
Recorded & Mixed at Tuff Gong Studio, Kingston, Jamaica
Engineer: Gary Sutherland, Anthony 'Youth' Kelly, Soljie Hamilton

となっています。

Barrett兄弟にEarl 'Wire' Lindo、Junior
Marvin、それにEarl 'Chinna' Smithなども
ゲストで参加している事があったので、ほぼ
The Wailers Bandと言える布陣だと思います。

さて今回のアルバムですが、アフリカの英雄
Alpha BlondyとThe Wailers Bandの共演という
事で、聴いて損はないアルバムだと思います。

このAlpha Blondyをはじめとする、同じく
コートジボワール出身のTiken Jah Fakolyや、
南アフリカのLucky Dubeなどのアフリカン・
レゲエ・アーティストが、もっともよく
Bob Marleyの時代の「プロテストするレゲエ」
を継いでいる人達なんですね。
それこそ彼らは命懸けで、アフリカの人々の
為に歌っているんですね。
(惜しくもLucky Dubeは亡くなってしまい
ましたが…。)
そういう彼らアフリカン・アーティストの
「プロテストするレゲエ」は、やっぱり無視
出来ないところがあります。

本場ジャマイカのレゲエが「スラックネス」中心
で思想性があまり無くなって行ったのに対して、
彼らはかつてのBob Marleyの時代のルーツ・
レゲエのように、歌で社会の不正に対して闘う
姿勢を示しているようです。
残念ながらコートジボワールはフランス語圏
なので、英語以上に歌詞の内容が解らないの
ですが…(苦笑)。

ちなみにVP Recordsのサイトなどを見ると、
今回のアルバムは、

「『イラスム教徒、キリスト教徒、ユダヤ教徒
の連帯』を打ち出し、宗教観の違いを超えて
団結することを訴えたメッセージ性の高い楽曲
が中心」

との事です。

86年のアルバムですが、今も宗教対立が続く
世界情勢を見ると、今の時代を予見している
ような内容ですね。
自分の宗教と他の宗教の間に壁を作っても、
入国を拒否しても、世の中は良くはなり
ません。
かえって対立は深まるばかりです。
そうした事も解らない人間が今の時代も溢れ
かえっているというのに、それよりずいぶん
前の時代にこういう歌を歌っていたというのは
スゴイ先見性ですね。

音楽的にはレゲエとアフリカン・ミュージック
が混ざったようなサウンドですが、その根底に
ある魂は、間違いなくレゲエなんだと思います。
Bob Marleyを支えたThe Wailers Bandがバックを
務めているのも、何か嬉しい気がします。

1曲目は表題曲の「Jerusalem」です。
書いたように宗教観を超えて団結する事を訴えた
曲です。
静かなイントロから始まり、心にズシッと響く
渾身の1曲です。

Alpha Blondy - Jérusalem [clip officiel]


2曲目は「Politiqui」です。
つづりは多少違いますがフランス語で「politique」
は、「政治」という意味のようです。
やはり政治批判の歌なんでしょうか?

Alpha Blondy - Politiqui (1986-2010 Remaster)


3曲目は「Bloodshed In Africa」です。
「Bloodshed」は「流血(の惨事)、殺害、虐殺」
という事で、タイトルは「アフリカでの虐殺」
という事になるんでしょうか?
この曲は英語で歌われていますが、今回の
アルバムはフランス語や英語以外にも様々な
言語で歌われているのが特徴のようです。
バビロニアン(悪徳で汚れた人々)の虐殺を
恥じろと歌っている内容のようです。
淡々と歌われる暗い曲調の曲ですが、そこに
押し殺した怒りが隠されているような内容です。

Alpha Blondy / Bloodshed in Africa [1986]


4曲目は「I Love Paris」です。
こちらも英語の歌詞の曲です。
パリが好きだと本当に言っているのかは、
私の英語力ではよく解りません。

5曲目は「Kalachnikov Love」です。
自動小銃カラシニコフ(AK-47)の事を歌って
いるようです。
たぶん愛(してる)というのは皮肉ですね。
銃を乱射している効果音が入る曲です。
ユッタリしたメロディでちょっとユーモラスな
感じで歌うところが、なかなか皮肉が効いて
います。

6曲目は「Travailler C'Est Trop Dur」
です。
こちらのタイトルはネットで調べてみた
けれど、解りませんでした。
ユッタリしたメロディの曲です。

7曲目は「Miwa」です。
こちらもタイトルや歌詞の意味は解りません
でした。
ただ「MIWA NION」という歌詞がありますが、
「美和 日本」なのかも?
だとすると日本の女性にあてたラヴ・ソングか?

8曲目は「Boulevard De La Mort」です。
こちらもタイトルを調べてみたけれど解りません
でした。

9曲目は「Dji」です。
この曲このアルバムの中では一番短い2分46秒
の曲です。
パイプオルガンのようなサウンドをバックに
歌う曲です。

ざっと追いかけて来ましたが、素直過ぎるほどに
真っ直ぐにプロテストするAlpha Blondyの姿勢
には心打たれるものがあります。
スラックネスが悪いという訳ではありませんが、
レゲエという音楽が世界的に支持された要素の
ひとつとしては、こうした人々の為に歌うという
姿勢があった事も事実です。
そうしたBob Marleyの心を継ぐものとして、
彼をはじめとするアフリカン・レゲエ・アーティ
ストの存在は無視できないんですね。
The Wailers Bandをバックとした今回のアルバム
は、彼の代表作のひとつだと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。

ALPHA BLONDY - JERUSALEM live



○アーティスト: Alpha Blondy & The Wailers
○アルバム: Jerusalem
○レーベル: Shanachie
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1986

○Alpha Blondy & The Wailers「Jerusalem」曲目
1. Jerusalem
2. Politiqui
3. Bloodshed In Africa
4. I Love Paris
5. Kalachnikov Love
6. Travailler C'Est Trop Dur
7. Miwa
8. Boulevard De La Mort
9. Dji

●今までアップしたAlpha Blondy関連の記事
〇Alpha Blondy And The Solar System「Masada」
〇Alpha Blondy And The Solar System「The Prophets」
〇Alpha Blondy「Apartheid Is Nazism」