今回はWinston Francisのアルバム

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「Mr Fix It / California Dreaming」です。

Winston Francisは、ネットの情報によると、
初期レゲエの時代の60年代後半から活躍する
シンガーのようです。

Winston Francis - Wikipedia

今回のアルバムは1969年に老舗レーベル
Studio Oneから発売された、おそらく彼の
ファースト・アルバム「Mr Fix It」と、翌
70年にBambooというレーベルから発売された
アルバム「California Dreaming」を1枚に
まとめた2in1仕様のアルバムです。

レーベル特集 Studio One (スタジオ・ワン)

全26曲で収録時間は78分39秒。
1~12曲目までがアルバム「Mr Fix It」
からの曲で、13~24曲目までがアルバム
「California Dreaming」からの曲で、残り
の2曲がCDボーナス・トラックです。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Recorded & Mixed at: Studio One Recording Studios
Engineers: Clement Dodd, Sylvan Morris

Musicians:
Drums: Joe Isaacs, Leroy 'Horsemouse' Wallace
Bass: Leroy Sibbles
Guitar: Ernest Ranglin, Eric Frater,Dwight Pinkney
Hornes: Bobby Ellis, Deadly Headley, Glen Da Costa,
David Madden
Keyboards: Jackie Mittoo, Richard Ace
Percussion: Skully, Sticky, Densil Laing
Lead Vocals: Winston Francis
Backing Vocals: Bob Marley, Dennis Brown, Ken Boothe,
Jackie Mittoo, Winston Francis

となっています。

Jackie MittooやLeroy Sibblesの名前のある
ところから、少なくともStudio Oneのアルバム
「Mr Fix It」のバック・バンドはSound Dimension
が務めているのではないかと思われます。

興味深いのはバック・コーラスにBob Marleyや
Dennis Brown、Ken Bootheといった大物シンガー
が名前を連ねているところです。
69~70年頃だとDennis Brownなどは若手
シンガーだったのかもしれませんが、こうした
シンガーが参加しているところから見て、仲間内
で人望のあるシンガーだったのかもしれません。

ちなみに今回のアルバムは2003年リットー
ミュージック刊行の本「スカ・ディスク・
ガイド」にも紹介されているアルバムです。
そこには「山口」さんという方の文章で次の
ように書かれていました。

「そのソウル・シンガー張りの歌声は素晴ら
しく、一聴の価値大である。このアルバムは彼が
スタジオ・ワン・レーベルに69年と70年に
残した2枚のアルバムを2イン1で収録したもの。
彼の最大のヒット曲「Mr Fix It」をはじめ、
それ以外にもアーリー・レゲエの名曲を収録して
いる。」
(「スカ・ディスク・ガイド」掲載の「山口」
さんという方の文章より)

ちなみに「California Dreaming」はオリジナル
盤で「入手困難なレア盤」だという事も書かれて
いました。

実はこの本を見て、そういえばこのアルバム
買っていたなぁと思い出したので、今回
引っ張り出して再び聴いてみたという訳です。

私は若かった20代の頃にレゲエをよく聴いて
いたのですが、それから20年ぐらいの中断が
あり、5,6年前から再びレゲエを聴き始めた
人間です。
その再び聴き始めたまだ浦島太郎状態であまり
知識のない時代に、レゲエレコード・コムで
予備知識もなく試聴してその印象が良かった
ので購入したアルバムだったんですね。
再び聴き始めた当初はあんまり考えずに、
試聴した印象でけっこう買っていました。
その時の聴いた印象としては、「California
Dreaming」のようなポピュラーな曲も入っていて
必ずしもレゲエっぽくはないけれど、歌唱力も
あり、ボリュームのあるアルバムという印象
が残っていました。

さてそんな感じで今回このアルバムを再び
聴き直してみた訳ですが、初期レゲエの時代
らしい若いエネルギーに満ち溢れたなかなか
面白いアルバムだと思いました。
ハッキリ言ってまだこの時代には、レゲエと
いうスタイルがはっきりとは確立していないん
ですね。
そのためこの時代の多くの歌手が、ポピュラリ
ティーの強い楽曲入れたアルバム作りをして
います。
今から見ると少し曖昧な感じがあるのですが、
そうした曖昧さは新しいレゲエという音楽を
生み出す為の模索の跡なんですね。
この初期レゲエの時代はそうしたポピュラリ
ティーのある曲を入れているのが、ひとつの
特徴とも言えます。

この2イン1のアルバムの魅力は、やはり
Winston Francisのソウルフルな歌唱力にある
といえます。
やっぱりどのジャンルの音楽を超えて歌唱力の
あるヴォーカルは、人を惹きつけるんですね。
そうした彼のヴォーカルが22曲も収められて
いて、堪能できるアルバムになっています。

1~12曲目までが、アルバム「Mr Fix It」
からの曲です。

1曲目は「Same Old Song」です。
初期レゲエらしいウンチャカしたギターに
乗せて、Winston Francisのソウルフルな
ヴォーカルがさく裂している1曲です。

Winston Francis-Same Old Song (Bamboo) Jamrec Music


2曲目は「Fools Fall In Love」です。
ホーンからの入りがいかにもStudio Onだなぁ
と思わせてくれる曲です。
Winston Francisの丁寧な歌唱が素晴らしい
です。

3曲目は「Games People Play」です。
ウキウキするようなウンチャカ・リズム(笑)
に乗せた曲です。
Bob Andyの同名曲のカヴァーらしいです。

4曲目は「To Experienced」です。
こちらもBob Andyの同名曲のカヴァー。
原曲の良さもあって、Winston Francisの
ヴォーカルもすごく魅力的です。

Winston Francis Too Experienced


5曲目は「Eretta」です。
こちらはピアノを中心とした1曲です。

6曲目は「Send Me Some Loving」です。
初期レゲエらしい刻むリズムの曲です。
合間に入るホーンも良い空気感を出しています。

7曲目は「Love Me Today Not Tomorrow」
です。
こちらはWinston Francisの歌唱が素晴らしい、
いかにもラヴ・ソングといった曲です。

8曲目は「Don't Change」です。
こちらも初期レゲエらしいギターの音色が耳に
残る曲です。

9曲目は「Venus」です。
Winston Francisのまろやかな歌唱に、ホーンが
イイ感じに彩りを添えている曲です。

10曲目は表題曲の「Mr Fix It」です。
この曲が彼Winston Francisの最大のヒット曲
なんだとか。
ホーンのイントロから柔らかい彼の歌唱が
魅力的な曲です。

winston francis - Mr. Fix It.


11曲目は「Chain Gang」です。
Sam Cookeの同名曲のカヴァーのようです。
ソウルの天才シンガーの名曲を、心を込めて
歌い上げています。

WINSTON FRANCIS "Chain gang"


12曲目は「I'll Make You My Own」です。
こちらは何かソウルン・ナンバーのようです。
レゲエとちょっと違う弾むようなリズムが
印象的な曲です。

13~24曲目までは70年のアルバム
「California Dreaming」の曲が収められて
います。
こちらはタイトル曲からも解るように、ソウル
やポピュラー・ソングのカヴァー集のようです。
書いたようにこちらのアルバムは、かなり
入手困難なレア盤なんだとか。

13曲目は「Stand」です。
明るいメロディの曲です。

14曲目は「What Does It Take」です。
「featuring Alton Ellis, Jackie Mittoo」と
ありますが、オリジナルはAlton Ellisの曲
なんだそうです。
甲高いホーンの入りからAlton EllisとWinston
Francisのツイン・ヴォーカルがとても魅力の
1曲です。
泣きのホーンがとても素敵な彩りを添えて
います。
名曲であり、名演です。

Winston Francis with Alton Ellis - What Does It Take (Studio One)


15曲目は「Never Had A Dream Come True」
です。
あのStevie Wonderのカヴァーのようです。
甘いメロディを情感たっぷりに歌い上げて
います。

16曲目は表題曲の「California Dreaming」
です。
還暦ぐらいの年輩世代なら知らない人は居ない
Mamas & The Papasによるポピュラー・ソングの
大ヒット曲です。
レゲエらしい刻むリズムにアレンジされて
います。

Winston Francis California Dreaming 1970


17曲目は「Yester Me, Yester You」です。
これまたStevie Wonderのヒット曲のカヴァー
のようです。
軽快なオルガンのリズムにせてソウルフルに
歌い上げています。

18曲目は「Groovy Situation」です。
Gene Chandlerという人のソウル・ナンバーの
ようです。
ちょっとユーモラスなリズムを持った面白い曲
です。

19曲目は「Turn Back The Hands Of Time」
です。
こちらは明るく元気のある1曲です。

20曲目は「I've Lost Everything I Ever Had」
です。
David Ruffinという人の「I've Lost Everything
I've Ever Loved」というソウル・ナンバーの
カヴァーのようです。
切々と歌いあげた、ソウルフルな1曲。

21曲目は「Angie Girl」です。
こちらもStevie Wonderのカヴァーか?
ウンチャカ・ギターがレゲエらしい風味を添えて
います。

22曲目は「There's Always Something There」
です。
こちらもポピュラー・ソングのカヴァーのよう
です。
レゲエの刻むギターが良いアクセントになって
います。

23曲目は「By The Time I Get To Phoenix」
です。
Glen Campbellのポピュラー・ソングの大ヒット
曲です。
オルガンに乗せた、切々と訴えるような歌唱が
聴かせます。

24曲目は「Baby Please」です。
こちらもポピュラー・ソングのヒット曲のよう
です。

最後の2曲はCDボーナス・トラック。

25曲目は「Let's Go To Zion (Radio Edit)」
で、26曲目は「Let's Go To Zion (Extended
Mix)」と「Let's Go To Zion」の別ヴァージョン
が2曲収められています。
こちらはレゲエ色の強いなかなかカッコいい曲
です。

winston francis - let's go to zion


ざっと追いかけて来ましたが、特にアルバム
「California Dreaming」あたりはカヴァー曲が
中心で、多少レゲエ色は弱い面があります。
ただそういう点を差し引いても、やはり
Winston Francisという人の歌唱はとても魅力的
なんですね。
特にAlton Ellisとの共演14曲目「What Does
It Take」は、必聴の1曲です。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Winston Francis
○アルバム: Mr Fix It / California Dreaming
○レーベル: Studio One
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1969 / 1970

○Winston Francis「Mr Fix It / California Dreaming」曲目
●Mr Fix It
1. Same Old Song
2. Fools Fall In Love
3. Games People Play
4. To Experienced
5. Eretta
6. Send Me Some Loving
7. Love Me Today Not Tomorrow
8. Don't Change
9. Venus
10. Mr Fix It
11. Chain Gang
12. I'll Make You My Own
●California Dreaming
13. Stand
14. What Does It Take - featuring Alton Ellis, Jackie Mittoo
15. Never Had A Dream Come True
16. California Dreaming
17. Yester Me, Yester You
18. Groovy Situation
19. Turn Back The Hands Of Time
20. I've Lost Everything I Ever Had
21. Angie Girl
22. There's Always Something There
23. By The Time I Get To Phoenix
24. Baby Please
●Bonus Tracks
25. Let's Go To Zion (Radio Edit)
26. Let's Go To Zion (Extended Mix)