今回はRanking Dreadのアルバム

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「Lots Of Loving」です。

Ranking DreadはU RoyやI Royといった第1世代
に影響を受けた第2世代のディージェイとして
知られている人です。

彼の活躍した70年代のジャマイカは、極貧国の
ひとつで、政治抗争も激しく人民国家党 (PNP)
とジャマイカ労働党 (JLP)の間で、銃撃戦も
起こる程の荒れた国だったんですね。
この人はそのジャマイカ労働党 (JLP)の熱烈な
支持者として、Tappa Zukieと並んで知られる
ディージェイだったようです。
そんな彼が1978年に警官との銃撃戦に巻き
込まれ、指名手配されて逃亡先のイギリスで
出したアルバムが、ファースト・アルバムの
「Girls Fiesta」だったんだそうです。

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Ranking Dread - Girls Fiesta (1978)

その他にも殺人、警官の殺人未遂、強盗、強姦
など様々な罪を問われる人だったんだとか…(笑)。
そんなレゲエ界一の「傾奇者(かぶきもの)」が、
今回紹介するRanking Dreadです。

Ranking Dread - Wikipedia

今回のアルバムは、レゲエがルーツ期からダンス
ホール・レゲエ期に切り替わった1980年に
発表されたアルバムです。

全14曲で収録時間は50分31秒。
オリジナルは8曲で、1~4曲目と6~9曲目が
オリジナル・アルバムの曲で、5曲目と10~14
曲目がCDボーナス・トラック。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Rhythm Back Recorded at Channel 1 Studio
Engineer: Barnabas
Voice at Black Stars Studio
Engineer: John, Sugar Minott
Produced and Arranged by Sugar Minott and Ranking Dread
All Tracks Written by Ranking Dread

Musicians: Black Roots Players and Robbie and Sly
Rhythm Guitar: Bronnie T. Chin
Lead Guitar: Noel Bailey, Bingy Bunny
Bass: Junior Dan, Michael Ashley, Robbie
Drums: Albert Malawie, Fish Clarke, Sly
Organ: Steelie
Piano: Gladstone Anderson

となっています。

バックはBlack Roots PlayersとSly & Robbieで、
プロデュースはSugar MinotとRanking Dread本人
というかなり充実した内容の布陣です。

バックの録音はジャマイカのChannel 1、ディー
ジェイの録音はイギリスのBlack Stars Studio
となっていて、このあたりはRanking Dreadが
イギリスに逃亡していた為なのか?

ちなみにアルバムのタイトルは「Lots Of Loving」
ですが、ジャケの写真は大勢の子供に囲まれて
いるRanking Dreadの写真です。
なんか子供の顔がみんな似ているようなんです
が、やっぱり彼Ranking Dreadの子供という事
なんでしょうかね(笑)。
ちなみにRanking Dreadの周りには、子供が11人
写っています。

さて今回のアルバムですが、80年のアルバム
ですがかなり初期のダンスホール・レゲエの匂い
がするアルバムで、その空気感がとても良いん
ですね。
いわゆる「ラバダブ・スタイル」のアルバム
ですが、この時代ならではの魅力があります。

この80年代前半のレゲエというのは、それまで
のルーツ・レゲエがそろそろ飽きられて来て、
新しいスタイルが求められていた時代だったん
ですね。
そうし誕生したのがダンスの現場に立ち返った
レゲエ、ダンスホール・レゲエだったという訳
です。
まだルーツと入り混じった混沌とした時代
だったのですが、もっともレゲエという音楽が
完成に近づいた時代だったんですね。
そのすぐ後にデジタルのダンスホール・レゲエの
時代が来てしまうので意外と見過ごされがちな
時代ですが、もっとも面白い時代だったとも
言えます。

そうした時代をこのRanking Dreadは、生き生き
と泳ぎまくっている印象があります。

1曲目は表題曲の「Lots Of Loving」です。
オリジナルはDennis Brownの「Sitting And
Watching」のリディムのようです。
まさにラバダブ・スタイルといった1曲。
ほとんど歌ってますね(笑)。
良い空気感がグッと詰め込まれた1曲です。

Ranking Dread - Lots Of Loving


2曲目は「Loving Devotion」です。
オリジナルはロックステディ時代のSlim Smith
& Uniquesの名曲「Love And Devotion」の
リディムです。

Ranking Dread 1982 Lots Of Loving A2 Loving Devotion


3曲目は「Super Star」です。
Ranking Dreadの気持ちの良いトースティング
が聴ける1曲です。
4曲目は「A Which One A We Yu Love」です。
Ranking Dreadのちょっとユーモラスささえ
感じる様なノビノビとしたトースティングに
ダブワイズしたバックもばっちりキマった1曲
5曲目は「My Lizia」です。
こちらはオリジナルには無い、CDボーナス・
トラック。
Don Carlosの「I'm Not Getting Crazy」の
リディムのようです。

6曲目は「Come Sister Come」です。
こちらはThe Royalsのロックステディ期のヒット
曲「Pick Up The Pieces」のリディムとDiscogs
では出て来ましたが…違うような…。
Sugar Minottと思われるヴォーカルも入っていて、
良い空気感のある曲です。

7曲目は「Humble Lion Prayer」です。
ちょっと重いベースのリズムに乗せた、Ranking
Dreadのトースティングがカッコいい曲です。
今回のアルバムはScientistあたりがミックスを
やっているんですかね?
ガシッと硬い気持ち良いミックスが多いです。

Ranking Dread - Humble Lion Prayer


8曲目は「Wah-Go-A-Africa」です。
印書的なオルガンの音色から始まる曲で、
いかにもRanking Dreadといったトースティング
が楽しめる曲です。

Ranking Dread Wah Go A Africa


9曲目は「Nuh Trouble Natty Dread」です。
オリジナル・アルバムの最後の曲ですが、ここ
でもRanking Dreadのトースティングは冴えを
見せます。

5曲目を除いてここまでがオリジナル・アルバム
の曲です。
並び順も元のアルバムに従っています。
残りの曲もダブあり女性ヴォーカルの入った曲
ありで面白い曲もあるのですが、ここでは省略
します。

ざっと追いかけて来ましたが、この時代に活躍
したRanking Dreadという人の魅力がうまく盛り
込まれたアルバムだと思います。
彼は必ずしも成功者でもなく、また善人でも
無かった人かもしれません。
ただこの時代を、確かに駆け抜けた人だったん
じゃないでしょうか。

レゲエ界の傾奇者(かぶきもの)!
その名はRanking Dread!
たとえすごく有名でなくとも、たとえ善人で無く
ても、面白い人生もある。
人の生き方はけっしてひとつではない。
その事を彼は教えてくれています。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Ranking Dread
○アルバム: Lots Of Loving
○レーベル: Freedom Sounds
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1980

○Ranking Dread「Lots Of Loving」曲目
1. Lots Of Loving
2. Loving Devotion
3. Super Star
4. A Which One A We Yu Love
5. My Lizia *
6. Come Sister Come
7. Humble Lion Prayer
8. Wah-Go-A-Africa
9. Nuh Trouble Natty Dread
10. Some Thing A Happen *
11. Dub Cut Lightning *
12. First Cut *
13. A Wha We Do *
14. A Wha We Do *
* CD Bonus Tracks