今回はBunny Wailerのアルバム

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「Dubd'sco Vol. 2」です。

Bunny Wailerはスカの時代にBob Marleyと
Peter Toshとともにコーラス・トリオThe Wailers
としてキャリアをスタートさせたシンガーです。
The Wailersはスカの時代にジャマイカで
「Simmer Down」をはじめとするヒット曲を出し、
ロックステディ→ルーツ・レゲエと時代が進む
うちにBarrett兄弟のリズム隊も加えた5人組の
バンドとなって行き、73年に大手メジャー・
レーベルIslandからアルバム「Catch A Fire」で
待望の世界デビューを果たす事になります。

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The Wailers - Catch A Fire (1973)

ところがセカンド・アルバム「Burnin'」をリリース
したところでこのBunny WailerとPeter Toshの
2人がグループから脱退してしまうんですね。
その理由は世界ツアーの辛さに耐えかねた為だ
とも、IslandのChris Blackwellの「白人にも
解る音楽を作ってくれ」という要求を2人が拒否
した為だとも言われています。

この後残されたメンバーはBob Marleyを中心と
したBob Marley & The Wailersというバンドと
して世界を舞台に活動を続け、Peter Toshも
ソロとして世界を相手に活動を続けます。
対してこのBunny Wailerはジャマイカ国内に
留まり、ソロ・アルバムを出したりライヴを
したりするものの、時に農業をしたりと独自の
生き方をして行くんですね。

アーティスト特集 Bunny Wailer (バニー・ウェイラー)

今回のアルバムは1981年に発表された
Bunny Wailerのダブ・アルバム「Dubd'sco」
シリーズの第2作目のアルバムです。
この「Dubd'sco」シリーズですが、1978年
に「Dubd'sco Vol. 1」が作られており、今回の
アルバムと合わせて2作が作られています。
「Dubd'sco Vol. 1」は76年のBunny Wailerの
ファースト・ソロ・アルバム「Blackheart Man」
の曲が多く使われていましたが、今回のアルバム
では80年のアルバム「Bunny Wailer Sings
The Wailers」から全10曲中9曲が使われており、
残りの1曲は同じく80年のアルバム
「In I Father's House」から「Worly Girly」
という曲が使われています。

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Bunny Wailer - Dubd'sco Vol. 1 (1978)

今回はLPの紹介ですが、この「Vol. 1」と
「Vol. 2」をまとめたCDも発売されているよう
です。
ただ5,6年前から再びレゲエを集め始めて、
残念ながら一度もそのCDを中古でも見た事が
ありません。

Side Aが5曲、Side Bが5曲の全10曲。

詳細なミュージシャンの表記はありません。

Produced, Arranged, Directed and Performed by Bunny Wailer
Recorded and Mixed at Harry J's Studio
Engineers: David & Bunny Wailer
Art Work by B. Clarke
All tracks are adapted from 'Bunny Wailer Sings The Wailers'
except 'Worly Girly' which is taken from 'In I Father's House'

という記述があります。

残念ながら「Bunny Wailer Sings The Wailers」
も「In I Father's House」も持っていないので、
それにミュージシャンのクレジットが載っていた
かは解りません。

今回のアルバムの「Dubd'sco Vol. 1」との大きな
違いは、エンジニアがSylvan MorrisからDavid
という人に代わったという事です。
Davidはネットで調べると、どうもDavid Hamilton
という人のようです。
ダブというのはミキサーによってかなり音が
変わってしまう音楽です。
Dub Specialist名でStudio Oneのダブを作っていた
Sylvan MorrisからDavidに代わって、どう音が
変わったのか?
そのあたりはとても気になるところです。

さて今回のアルバムですが、結論から言うと
それなりになかなか良いダブ・アルバムだと思い
ます。
ただあの「Dubd'sco Vol. 1」のSylvan Morrisの
あまりに素晴らしいダブ・ミックスと較べて
しまうと、やはりそこまでは行っていないかなぁ
というのが正直なところです。
今回のダブもかなり良いダブなんですが、あの
Sylvan Morrisのダブは音にすごく遠近感が
あって、超絶的とも言えるほどのダブ・ミックス
なんですね。
ただそれには及ばないにしても、今回のダブも
かなり良いダブである事は言っておきたいと
思います。

書いたように今回のアルバムはSide Aの
5曲目「Worly Girly」を除いて、アルバム
「Bunny Wailer Sings The Wailers」の曲が
使われています。
という事でスカ時代からのThe Wailersの曲が
全10曲中9曲ダブになっているんですね。

Side Aの1曲目は「Dancing Shoe - Dub」です。
この「Dubd'sco」シリーズは、普通のダブに
較べてBunny Wailerのヴォーカルが多く使われて
いるのが大きな特徴です。
「Dubd'sco Vol. 1」では音を少し滲ませて
遠近感をうまく出していましたが、今回のアルバム
の方がサウンドがシャープな印象があります。
ただエコーのかけ方などは、前回のアルバムを
かなり踏襲している感があります。
そのあたりはミックスを一緒にしているBunny Wailer
の音の好みもあるのかもしれません。

Bunny Wailer - Dancing Shoe Dub 1978 81


2曲目は「Mellow Mood」です。
スコンと抜けたドラムの音が印象に残るダブ
です。

3曲目は「Keep On Moving」です。
今回のダブの特徴ですが、こちらもドラムの
音が強調されています。

Bunny Wailer - Keep On Moving Dub 1978 81


4曲目は「Hypocrite」です。
この「Hypocrite」はThe Wailersのヒット曲で
あり、Studio Oneの名リディムとしてもよく
知られている曲です。

5曲目は「Worly Girly」です。
このアルバムの中で唯一の、別のアルバム
「In I Father's House」からセレクトされた曲
です。
こちらもドラムを強調したミックスが際立ちます。

Bunny Wailer Worly Girly Dubby


Side Bの1曲目は「Burial」です。
エコーのかかったヴォーカルと、ベースとドラム
のリズム隊のダブワイズされたサウンドが強い
印象を残す曲です。

2曲目は「I Stand Predominate」です。
こちらもBunny Wailerのヴォーカルとリズム隊
を中心としたダブ。

3曲目は「Walk The Proud Land」です。
こちらは時々入るギターが良い味を出している
ダブです。

4曲目は「Rule This Land」です。
こちらは刻むようなギターの音色が印象的なダブ
です。

5曲目は「Toughest」です。
こちらはThe Wailers時代のPeter Toshのヒット曲
で、Peter Toshのテーマ・ソングのような曲です。
こちらはオルガンを生かしたダブワイズ。

Bunny Wailer - Toughest Dub 1978 81


ざっと追いかけて来ましたが、内容的にはホントに
悪くないんですね。
やはり作り手の違いか、「Dubd'sco Vol. 1」には
うまく音をぼかして音に遠近感を付けたような
恐ろしいほどの美しさがあり、今回のダブには
ドラムやベースを強調した輪郭のクッキリしたダブ
の良さがあります。
他にないダブという事を考えれば、やはりSylvan Morris
の作った「Dubd'sco Vol. 1」はスゴイんですが、
このDavid Hamiltonのダブもオーソドックスではある
けれど、かなり高水準のダブだと思います。

どちらにしてもこの「Dubd'sco」シリーズの2枚が
Bunny Wailerのアルバムの中で個人的には一番好き
です。
ダブ好きだったら聴いて損のないダブだと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Bunny Wailer
○アルバム: Dubd'sco Vol. 2
○レーベル: Solomonic
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1981

○Bunny Wailer「Dubd'sco Vol. 2」曲目
Side A
1. Dancing Shoe - Dub
2. Mellow Mood
3. Keep On Moving
4. Hypocrite
5. Worly Girly
Side B
1. Burial
2. I Stand Predominate
3. Walk The Proud Land
4. Rule This Land
5. Toughest


(20016年1月30日追記)
このアルバムの元になったBunny Wailerの
アルバム「Bunny Wailer Sings The Wailers 」
を手に入れたので追記します。

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Bunny Wailer - Bunny Wailer Sings The Wailers (1980)

参加したメンバーの情報は以下です。

Bass: Robbie Shakespeare
Drums: Sly Dunbar
Guitar: Earl 'Chinna' Smith
Keyboards: K. Sterling, Winston Wright
Hornes: H.Bennett, Dean Frazer, Nambo
Percussion: Sticky
Voices: Bunny Wailer

Recorded at Harry J's Studio
Engineer: David

バックはSly & Robbieを中心としたバンドのよう
です。
今回のダブ・アルバムではベースとドラムが
際立った印象を残しますが、その演奏は彼ら
だったようです。