今回はGladstone Andersonのアルバム

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「Caribbean Breeze」です。

Gladstone Andersonはスカ→ロックステディ
→レゲエと長きにわたり活動を続けるピアニスト
です。

Gladstone Anderson - Wikipedia

今回のアルバム「Caribbean Breeze」は日本
限定のアルバムで、1989年の作品です。
プロデュースはこのGladstone Andersonに惚れ
込んだ石井志津男さんという方が担当していて、
このアルバムの紹介文も書いています。

全10曲で収録時間は38分06秒。

バックの参加ミュージシャンは以下。

Guitar: Lascelles 'Lassy' Beckford
Bass: Christpher 'Chris' Heredith, Danny
Drums: Cleveland 'Clevie' Browne, Joney
Percussion: Everton 'Dish'Carrington
Sax: Dean Fraser
Trombone: Nanbo Robinson, Barry Bailey
Trumpet: Bobby Ellis

Recorded At Tuff Gong Studio
Mixed At Tuff Gong Studio
Engineers: Gary, Nigel, Tomy

Executive Producer: Shizuo Ishii

となっています。

1989年というとジャマイカでは「デジタル革命」
が起き、コンピューター・ライズドのダンスホール・
レゲエが大ブームだった頃だと思うのですが、
このアルバムからは不思議とそういう時代の流れ
は感じません。
石井志津男さんという方の文章にもロックステディ
の頃のサウンドを狙った音作りをしたという事が
書かれています。

ただメンバーを見るとSteely & ClevieのCleveland
'Clevie' Browneがドラマーで参加していたり、
Roots Radicsなどにも参加していたNanbo Robinsonや
Dean Fraserが参加していたりと、そのあたりにこの
80年代を感じます。
逆に70年代のルーツでも多くのセッションに参加
していたトランペットのBobby Ellisが居るのは、
ちょっと嬉しいところです。
(Nanboは多くのアルバムで綴りがNamboになって
います。)

このGladstone Andersonという人は、70年代の
レゲエが特に社会性、思想性を持った時代でも、
一番思想性から遠い音楽を作り続けたHarry Mudie
が主催するMoodiscレーベルで音楽を作り続けた人な
んですね。
いわばレゲエという音楽を「思想」ではなく、
「質」で支えた人と言えるかもしれません。

そうした「音楽性」にこだわるMoodiscというのは、
むしろ頑固すぎるほど頑固なレーベルで、こういう
他とは一線を画すレーベルがあるのもレゲエの
面白さなのかもしれません。
今回のアルバムはそのMoodiscではなく、日本の
Pony Canyonからの発売なのですが、そうした
Moodiscを支えたGladstone Andersonの音楽性が、
随所に感じられるアルバムになっています。

1曲目は「It Reminds Me」です。
ピアノという歯切れの良いリズムを持った楽器
でありあがら、Gladstone Andersonの優しさが
滲み出るよな演奏が素晴らしい1曲です。

2曲目は「Stormy Wind」です。
こちらも「Stormy」というタイトルの割には、
丁寧に刻むリズムが美しい1曲えす。

3曲目は「I Will Go」です。
こちらも丁寧に引くGladstone Andersonの
ピアノメロディが際立った1曲です。

4曲目は「Twinkling Star」です。
Gladstone AndersonのピアノとDean Fraserの
サックスとの掛け合いの曲です。
サックスが一音入るだけで、空気感の濃厚さが
まったく変わるのが面白いところです。

Gladstone Anderson - Twinkling Star


5曲目は「I Won't Forget」です。
こちらもDean Fraserのサックスが入り、
濃厚なラヴ・ソングといった感覚の曲です。
楽器の表情の豊かさが魅力。

6曲目は「Mellow Song」です。
タイトル通りのメローな曲です。

7曲目は「Happy And Gay」です。
こちらも丁寧な演奏ぶりが印象に残る曲
です。

8曲目は「Time Has Come」です。
曲にちょっとアクセントを付けているDean
Fraserのサックスが印象に残る曲です。

10曲目は「I Do Care」です。
こちらもDean FraserのサックスとGladstone
Andersonのピアノが、気持ちの良いハーモニー
を醸し出している曲です。

ざっと追いかけて来ましたが、正直ちょっと
淡白な印象が残るアルバムです。
Gladstone Andersonのピアノを際立たせようと
するあまり、他の楽器の演奏がすごく抑え気味
になり過ぎちゃっているんですね。
むしろその事でGladstone Andersonのピアノ
の魅力も際立っていない感じになっている
気がしました。

あえて言いますが、これはプロデュースが
失敗しているんですね。
もともと実力のある人たちなので、ぶつかり
合うくらいにやらせてもうまくいくのに、変に
押さえた演奏をさせているんですね。
例えればGladstone AndersonというA5ランク
の肉を全く味付けのない茹でただけのホウレン草
と食わされているような感じなんですね(笑)。
すごく物足りないしもったいない「素材」の
使い方という気がしました。

その中で揚げニンニクぐらいの風味を出して
頑張ってたのが、Dean Fraserのサックス
だと思います。
全体の料理の味は淡白でやっぱり物足りない
んですが、彼のサックスが入るとそれでも少しは
食べられる料理になっていたと思います。

正直なところGladstone Andersonという極上の
素材を生かし切れていない部分があるアルバム
ではあります。
ただ随所にこの傑出したピアニストの才能の
見れるアルバムではあります。

機会があれば聴いてみてください。


○Gladstone Anderson「Caribbean Breeze」曲目
1. It Reminds Me
2. Stormy Wind
3. I Will Go
4. Twinkling Star
5. I Won't Forget
6. Mellow Song
7. Happy And Gay
8. Time Has Come
9. Yours And Mine
10. I Do Care

●今までアップしたGladstone Anderson関連の記事
〇Gladstone Anderson & Mudies All Stars「It May Sound Silly」
〇Gladstone Anderson & The Modie All Stars「Glady Unlimited」
〇Gladstone Anderson / The Roots Radics「Sings Songs For Today And Tomorrow / Radical Dub Session」
〇Various「Different Fashion: The High Note Dancehall Collection」