今回はPrince Malachiのアルバム

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「Love Jah」です。

Prince MalachiはDiscogsなどで彼のバイオグラフィー
を調べると、90年代の後半ぐらいから活躍する
レゲエ・シンガーのようです。

Prince Malachi - Wikipedia

今回のアルバムは1999年に発表された彼の
ソロ・アルバムです。

このアルバムは私がレゲエ探しのアンチョコとして
使っている本、200年シンコー・ミュージック
刊行の本「Roots Rock Reggae」にも紹介されている
アルバムです。
この本に掲載されていたのを覚えていたので、
中古で見つけて購入したというアルバムです。

このアルバムのの説明文には「八幡」さんという方の
文章で、次のような事が書かれていました。

「高品質のエクスターミネーター作品の中でも、
特に素晴らしい作品。スライ・ダンバー等による
ルーツ・リヴァイヴァルなトラック群も凄いが、
スティーヴン・スタンレーとソルジーによる
ミックスも切れまくっている。」
(シンコー・ミュージック刊行の本「Roots Rock Reggae」
「八幡」さんという方の紹介文より。)

補足すると「エクスターミネーター」というのは、
レゲエレコード・コムのレーベルの紹介ページが
ありますが、

「90年代のラガ期に、ファイヤーハウス・クルー
が作り出すルーツ色の強いサウンドでシズラや
ルチアーノを始めとした多数のラスタ・アーティスト
を大成させた名門レーベル。」

との事です。

レーベル特集 Xterminator (エクスターミネーター)

今回のアルバムはVPレーベルからの発売のよう
ですが、元の音源はこのXterminatorレーベル
の音源を集めたアルバムのようです。

全11曲で収録時間は43分30秒。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Produced by Phillip 'Fattis' Burrell for Xterminator Productions

All Songs Written by Mark Wynter & Phillip 'Fattis' Burrell
Musicians:
Sly Dunbar O. D., Danny Dennis, M. Miller, Dean Fraser, Bopee, Stephen Stanley
Harmony:
Althea, Connie, Limey, Michelle
Recorded by Stephen Stanley & Soljie
Published by IXAT/XTM Sounds & Dubplate Publishing

Designed and Separated by AADVD Graphics

となっています。

さて今回のアルバムですが、正直なところ私が
よく聴いているのはスカからロックステディ、
ルーツ・レゲエや80年代のダンスホール・
レゲエといったところで、この90年代のレゲエ
はまだそれほど聴き込んでいないんですね。
そういう点ではどう評価して良いのか迷うところ
があります。
ただ普通にポップスとして聴いても上質なポップス
という感じで、アルバム自体の出来は悪くないと
思います。

ただあえて言うと、この90年代ぐらいになると
完全にレゲエというスタイルが完成して、70年代
のルーツ・レゲエや80年代初めのダンスホール・
レゲエが持っていた「生まれたての音楽」という
感覚がなくなるんですね。
その分完成度が高く上質な音楽にはなって行くん
ですが、個人的には若々しいエネルギーに満ち溢れ
ていた70年代や80年代のレゲエの方に惹かれ
ちゃうんですね。

ただちゃんと見て行くと、90年代でもこうした
魅力的な音楽を作っていたミュージシャンも居た
事も、また事実なんですね。

1曲目は「Healing On The Streets」です。
この曲をRiddimguideで調べると、Sizzlaの
「Babylon Homework」のリディムと出て来ました
が、実際にその曲を聴いてみるとちょっと違う
ような…。
なんかThe Mighty Diamondsの「Right Time」の
リディムに聴こえるんですね。
Prince Malachiのしっかりしたヴォーカルと
コーラスが、うまく絡み合った曲です。

Prince Malachi - Healing in the Streets


2曲目は表題曲の「Love Jah」です。
こちらもRiddimguideでJohn Holtの「Stealing」
のリディムと出て来たんですが、違うような…。
John Holtの「Up Park Camp」のリディムだと
思います。
今回のアルバムの特徴のひとつですが、こうした
クラシック・リディムを魅力的なアレンジで再生
しています。
バックの演奏とミックスも光る1曲ですね。
ちなみにPrince Malachiの曲には「Jah Love」と
いう別の曲もあるようです(笑)。

Prince Malachi - Love Jah


3曲目は「Keep The Faith」です。
こちらもなかなか聴かせる1曲です。
今回のアルバムの曲のタイトルを見てもらえば
解りますが、このPrince Malachiという人は
誠実にラスタファリズムについて歌っている
人のようです。
曲はこの時代に合わせてかなりソフトになって
いるものの、その誠実な姿勢がこのアルバムを
背筋の通ったしっかりとしたものにしています。

4曲目は「Fire Is Blazing」です。
こちらはちょっとムーディーな雰囲気を持った
メロディに乗せたPrince Malachiのヴォーカルが
冴える1曲です。

5曲目は「Mamma Don't Fret」です。
こちらも力の入ったヴォーカルが、なかなか
聴かせる曲です。

6曲目は「Jah Is Our Guide」です。
こちらはDean Fraserと思われる泣きのサックス
がすごくイイ味を出している曲です。

Prince Malachi - Jah Is Our Guide


7曲目は「Ready Fi Dem」です。
ホーンにピアノ、さらにヴォーカルにもダブワイズ
が入った聴かせる1曲です。

8曲目は「Leaders Of The Future」です。
こちらもホーンとピアノなどのバックが、うまく
このPrince Malachiのヴォーカルを引き立てて
いる1曲です。

9曲目は「Prophets, Priest & King」です。
こちらはオルガンとピアノの刻むリズムが、
うまくPrince Malachiの情感のこもったヴォーカル
を盛り上げている曲です。

10曲目は「Running Away」です。
ちょっとスローなリズムにPrince Malachiの
ノビノビとしたヴォーカルが心地よい曲です。

11曲目は「My Love」です。
こちらはちょっとダンサブルなサウンドに乗せた
ラヴ・ソングといった曲です。

ざっと追いかけて来ましたが、80年代半ばに
起きたデジタルのダンスホール・レゲエの革命
「コンピューター・ライズド」以降シンプルで
薄めのサウンドが好まれていたんですが、この
Xterminatorというレーベルの特徴なのかも
しれませんが、90年代の後半ぐらいになると
再びホーンなどで厚みを付けたサウンドに戻って
来ているのは、ちょっと興味深いところです。

70年代の頃のような何か新しいものを生み出そう
という勢いのようなものはありませんが、その分
丁寧な丁寧な音作りを心掛けているのが印象的
です。
内容は悪くないと思います。

機会があれば聴いてみてください。


○アーティスト: Prince Malachi
○アルバム: Love Jah
○レーベル: VP
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1999

○Prince Malachi「Love Jah」曲目
1. Healing On The Streets
2. Love Jah
3. Keep The Faith
4. Fire Is Blazing
5. Mamma Don't Fret
6. Jah Is Our Guide
7. Ready Fi Dem
8. Leaders Of The Future
9. Prophets, Priest & King
10. Running Away
11. My Love