今回はEarl Sixteenのアルバム

earl_sixteen_04a

「Showcase」です。

Earl Sixteenは70年代のルーツ・レゲエの
時代はBoris GardinerのバンドThe Boris Gardiner
Happeningのリード・ヴォーカルとして活躍し、
80年代のダンスホール・レゲエの時代以降は
ソロとして活躍したシンガーです。
近年でもAddis Pabloのソロ・アルバムにゲスト
として参加するなど、活躍を続けるアーティスト
です。

アーティスト特集 Earl Sixteen (アール・シックスティーン)

今回のアルバムはオリジナル1980年に名門
Studio Oneからリリースされたアルバムです。
Earl Sixteenのソロ・アルバムとしては、もっとも
早い時期のアルバムかもしれません。

この時期のStudio Oneというのは、スカの時代
からジャマイカ音楽界をけん引してきたこの名門
レーベルにも陰りが見え始めた時期だったん
ですね。
ただそれでもただ終わらないのがこのレーベルで、
80年代頃からブームになったダンスホール・
レゲエでも、Michigan & Smileyが「Rub-A-Dub Style」
でStudio Oneの名リディムでヒットを飛ばすなど、
最後のひと華を咲かせた時期だったんですね。
今回のアルバムでもそうしたStudio Oneの
名リディムのトラックが使われており、Studio
Oneの作ったダンスホール・レゲエの香りのする
アルバムになっています。
ちょっとルーツの香りを残したEarl Sixteenと
Studio Oneという組み合わせは、すごく魅力的
なんですね。

michigan_and_smiley_01a
Michigan & Smiley - Rub-A-Dub Style (1979)

レーベル特集 Studio One (スタジオ・ワン)

Side Aが4曲Side Bが4曲の全8曲のアルバムです。

詳細なミュージシャンの表記はありません。

Recorded at Jamaica Recording & Publishing Studio
Produced by C.S. Dodd
Cover Design: O'Neil Nanco

の表記があります。

何曲かはロックステディからレゲエの時代の
Studio Oneの手持ちのトラックを使い回して
いるようです。
ただ使い回しといってもそこはStudio One、
素晴らしい名曲のストックが多いのでとても使い
回しとは思えないほど素晴らしい曲になるん
ですね。

さて今回のアルバムですが、内容的には文句
なしに良いアルバムだと思います。
Studio Oneというジャマイカの音楽をけん引
して来たスタジオの最後の輝きや、Earl Sixteen
という稀有のヴォーカリストの魅力も見事に
収められたアルバムだと思います。

Side Aは盤面を見るとすぐに解るのですが、
2曲目がかなり長めの曲になっています。

Side Aの1曲目は「Lively Session」です。
コーラスも魅力のこの時代らしいユッタリした
リズムの曲です。
Earl Sixteenのちょっとは何か買ったような
ヴォーカルも冴えわたった曲です。

Earl sixteen - lively session - 1982


2曲目は「Modeling Queen」です。
この曲には「Solomon」というリディムが使われて
いるようです。
ゆったりしたリズムに乗せたEarl Sixteenの
ヴォーカルが、良いグルーヴ感を醸し出して
います。

Earl Sixteen Showcase 1982 02 Modeling queen


3曲目は「The In Thing Now」です。
こちらもStudio Oneの名リディム「Answer」が
使われています。

4曲目は「Love Is A Feeling」です。
こちらはThe Heptoneのロックステディ期のヒット・
リディム「Heptones Gonna Fight」が使われている
ようです。

Side Bは2曲目と4曲目が長めの曲、その分
1曲目と3曲目は短めな曲が収められています。

Side Bの1曲目は「No Mash Up The Dance」です。
こちらは「Taxi」のリディムが使われているよう
です。

2曲目は「Reggae Is The Key」です。
こちらはThe Royalsのヒット曲として知られる
「Pick Up The Pieces」のリディムが使わて
います。

Earl Sixteen - Reggae Is The Key


3曲目は「Dream Of You」です。
こちらはJimmy RileyのStudio Oneのヒット曲
「You Should Have Known」という曲のリディム。

4曲目は「Wish It Was You」です。
原曲はJohn Holtのヒット曲「Hooligan」の
リディム。

Earl Sixteen - Wish It Was You


ざっと追いかけて来ましたが、ジャマイカの音楽を
作ってきたレーベルStudio Oneだけあって、楽曲が
すべて素晴らしいんですね。
その楽曲を時代に合わせたアレンジにしているので、
ちょっと懐かしくモダンな味わいのある曲にして
いるのがたまらない魅力です。
おそらくMichigan & Smileyの「Rub-A-Dub Style」
にシビレた人ならこのアルバムも間違いなくツボ
です。
またこのEarl Sixteenという人の個性が微妙に
ルーツの香りを残している点も、魅力のひとつに
なっています。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Earl Sixteen
○アルバム: Showcase
○レーベル: Studio One
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1980

○Earl Sixteen「Showcase」曲目
Side A
1. Lively Session
2. Modeling Queen
3. The In Thing Now
4. Love Is A Feeling
Side B
1. No Mash Up The Dance
2. Reggae Is The Key
3. Dream Of You
4. Wish It Was You

●今までアップしたEarl Sixteen関連の記事
〇Earl Sixteen「Babylon Walls」
〇Earl Sixteen「Soldier Of Jah Army」
〇Earl Sixteen「Wondrous Works」
〇Earl Cunningham, Earl Sixteen「Earl Cunningham / Shining Star」
〇Riddim Tuffa「Deh Yah」
〇Soul Revivers「On The Grove」