今回はSammy Dreadのアルバム

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「Early Days」です。

Sammy Dreadは80年代初めの初期のダンスホール・
レゲエで活躍したシンガーです。
この時代にSoljieプロデュースでRoots Radicsが
バックを務めた「Road Block」など、素晴らしい
アルバムを何枚か残しています。

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Sammy Dread - Road Block (1982)

今回のアルバムはDon Maisが主催するレーベル
Roots Traditionから発表されたアルバムで、
そのダンスホール期の作品を集めた1枚です。
残念ながら制作年は解りませんでした。
ただタイトルが「Early Days」で、バックが
Chinna SmithのHigh Times BandやRoots Radics
と思われるメンバーが務めている事から見て、
この80年代初めのダンスホール・レゲエの
慈愛の録音で間違いありません。

ちなみに今回はLPの紹介です。
英語のDiscogsのページなどを見ると、LPしか
載っていなかったので、もしかしたらCD化
されていないのかもしれません。

レーベル特集 Roots Tradition (ルーツ・トラディション)

Side Aが6曲、Side Bが6曲の全12曲入りの
アルバムです。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Musicians: Chinna Smith, Santa Davis, Fullwood,
Tony Chin, Glady Anderson, Snapping, Stickey,
Flabba, Bingy Bunny, Skully, Horse, Wally S,
Sterling, Sly & Robbie

Executive: Michelle Mais, Everton Mais, Kevin Mais, Jamella Mais
Producer: Don Mais
Rhythm Laid at Channel One Studio
Voice & Mix at King Tubby's Studio
Engineer: Scientist, Soljie, Bunny Tom Tom

となっています。

メンバーから見て、Chinna SmithのHigh Times
BandやRoots Radicsだと思います。
ドラマーがSanta DavisとHorse(Leroy 'Horsemouse'
Wallace)なので、まだStyle Scottの名前が
無いので、まだ80年代も早い時期のRoots Radics
なのかもしれません。
ちなみにScientistの「漫画ジャケシリーズ」
などを見ると、Style Scottは81年のアルバム
あたりから徐々にレギュラー・ドラマーに定着
し始めます。
また曲によってはSly & Robbieがバックを担当して
いる曲もあるようです。

ヴォイスとミックスがKing Tubby'sです。
King Tubby'sはヴォーカリストの歌入れなどに、
よく使われていたようです。
プロデューサーのBunny Leeはその理由を、
「良いマイクがあったから」と語っていたのを
何かの解説文で読んだ記憶があります。
エンジニアがScientistとSoljie、Bunny Tom Tom
と粒が揃っているのも見逃せないポイントです。

さて今回のアルバムですが、初期のダンスホール・
レゲエの持つ良い空気感をうまく包み込んだ
アルバムだと思います。
この時代のダンスホール・レゲエには、この時代
にしか味わえないような心地よいグルーヴ感が
あります。

この80年代の前半というのは、それまで10年
以上続いてきたルーツ・レゲエがそろそろ飽き
られてきて、何か新しい音楽が求められていた
時代だったんですね。
その期待の中で誕生したのが、ダンスホール・
レゲエだったんですね。
思想的な音楽から現場主義の音楽へと、転換が
図られたのがこの時代だったんですね。

ルーツと次のデジタルのダンスホールに挟まれて
意外と見過ごされがちなこの時代ですが、実は
レゲエという音楽がもっとも成熟し、その中に
混沌もあった実に面白い時代なんですね。
今回のアルバムにもそうした時代の空気感が、
すごく濃厚に収められています。

Side Aの1曲目は「African Girl」です。
まだちょっとルーツの匂いを残したシビレる
1曲です。
Riddim Guideなどでこの曲を調べると、
Royalsの「Pick Up The Pieces」のリディム
と出て来ましたが、聴いてみるとちょっと違う
ような…。
とにかく初期のダンスホール・レゲエの良さが
出た、気持ちの良い曲だと覆います。

Sammy Dread - African girl


2曲目は「Misareable Woman」です。
こちらも初期のダンスホールの匂いを強く
感じる曲です。
Johnny Clarkeの「Ride On Girl」の
リディムが使われいるようです。

3曲目は「Loving You Girl」です。
こちらも初期のダンスホール・レゲエらしい
ラヴ・ソングです。
スローなワン・ドロップのリズムにヤラレ
ちゃう曲です。
演奏はRoots Radicsか?
最後にカットをミスったような「チャッ」と
いうような音が入っているのも、ご愛敬です(笑)。

4曲目は「Prisnor Of Your Love」です。
「お前の愛の囚人」という、こちらもかなり
キラーなラヴ・ソングです。
Sammy Dreadのエコーの効いたヴォーカルが、
すごく良い味を出している1曲です。

5曲目は「Loving You」です。
こちらもかなり強力なラヴ・ソング。
ソウルの名曲Bill Withersの「Ain't No Sunshine」
のリディムを使用した曲です。
どことなくルーツの味わいも残しているのが、
この時代の特徴です。

Sammy Dread - Loving You


6曲目は「She Ant For Real」です。
このアルバムの中では数少ないホーンが
フィーチャーされて曲です。
このダンスホール・レゲエの時代になると、
厚い音は好まれなかったのか、ルールの時代
に較べるとホーンの出番が少なくなって
行くんですね。
今回のアルバムでもどちらかというと、バック
がシンプルな構成の曲が多いんですね。

Side Bの1曲目は「Row Mr. Fisher Man」です。
タイトルからThe Congosの「Fisherman」を
思い起こさせますが、それとは別の曲です。

2曲目は「What's Going On」です。
The Heptonesの曲「Heptones Gonna Fight」
のリディムを使った曲です。

3曲目は「Read Up Jah Bible」です。
この歌はこのプロデューサーのDon Mais自身が、
Jah Bibleという名義で歌っている曲です。
いかにもダンスホールといった曲です。
またこの時代にはやはりまだラスタファリズムも
健在で、歌詞にその影響が見受けられます。

Sammy Dread - Read Up Jah Bible


4曲目は「One Man」です。
イントロはあの「Satta Massagana」か?という
曲ですが、途中からちょっとムードが変わる曲
です。
こちらの曲にもルーツの名残を感じます。

SAMMY DREAD - One man


5曲目は「Watch & Peap」です。
ドラムとベースのリズム隊を主体としたシンプル
なバックに、Sammy Dreadのヴォーカルが映える
1曲です。

6曲目は「Bad Girl」です。
こちらもホーンが良いアクセントになっている
曲です。

ざっと追いかけて来ましたが、この時代になると
バックがシンプルになり、よりヴォーカルの力が
強調されているのも一つの特徴です。
そういう中でSammy Dreadが気持ちの良いヴォーカル
を聴かせてくれています。
尾のルーツから切り替わったダンスホール・レゲエ
の夜明けの時代がよく解るアルバムだと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。

Sammy Dread - African Girl



○アーティスト: Sammy Dread
○アルバム: Early Days
○レーベル: Roots Tradition
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: Unknown

○Sammy Dread「Early Days」曲目
Side A
1. African Girl
2. Misareable Woman
3. Loving You Girl
4. Prisnor Of Your Love
5. Loving You
6. She Ant For Real
Side B
1. Row Mr. Fisher Man
2. What's Going On
3. Read Up Jah Bible
4. One Man
5. Watch & Peap
6. Bad Girl