今回はThe Wild Bunchのアルバム

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「The Wild Bunch」です。

The Wild BunchはAriwaレーベルで活躍した
ラヴァーズロック・レゲエの女性シンガー
Sandra Crossが、在籍した事で知られる
ラヴァーズロック・グループなんだそうです。

今回のアルバムはそのThe Wild Bunchの唯一とも
言えるアルバムで、1984年の作品です。
Ariwaレーベルの中でもかなりレア化していた
アルバムなんだそうです。
それが今年2015年にデジタル・リマスターで
ボーナス・トラックが2曲プラスされて世界初
CD化されたアルバムで、日本ではUltra-Vybe
というレーベルから発売されたアルバムです。

このアルバムもAriwaレーベルのMad Professor
がプロデュースしていますが、その後Sandra
Crossはソロとして85年に「Country Life」を
Ariwaから出していて、のちはAriwaのラヴァーズ
ロックの歌姫として活動するようになります。
ちなみにこの「Country Life」のダブが、87年
にSandra Cross & The Wild Bunchという名義で
「Stepping In Dubwise Country」というタイトル
で発売されていますが、実質的にはMad Professor
のダブという事らしいです。

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Sandra Cross - Country Life / Stepping In Dubwise Country (1985/1987)

ちなみにThe Wild Bunchという名前は、ネット
で調べたところ、
「西部開拓時代に実在した列車強盗・銀行強盗の集団名」
という事らしいです。
さらに暴力描写が得意だった映画監督サム・
ペキンパー(Sam Peckinpah)の手で、その話が
映画化されているらしいです。
その映画から付けた名前なんでしょうか?

全10曲で収録時間は50分17秒。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Mixed and Produced by Mad Professor ai Ariwa Sounds

Bass: Preacher, Bernard Cumberbatch, Michael Gayle
Drums: Drumtan Ward, Animal, Terry Crooks
Lead & Rhythm Guitar: Black Steel, Tony Benjamin, Patrick Donegan, Junior Ebanks
Piano: Sergeant Pepper, Flea
Synth: Errol Reid
Hornes: Tabanko, Roger
Pedal Steel: Micky
Violin: Bobby Valentino
Steel Pan: Tamla
Lead Vocal: Sandra Cross
Harmony Vocals: Sandra Williams, Sandra Cross,
Guest Harmony on 'Creation': Sandra Sampson

となっています。

Black SteelやTony Benjamin、Sergeant Pepper
といった、Ariwaレーベルで知られたアーティスト
が多く参加しています。

さて今回のアルバムですが、正直なところ
ラヴァーズってそれほど得意分野ではないの
ですが、そんな私が聴いてもなかなか面白い
ところがあるアルバムだと思いました。
ネットの販売サイトなどの情報によると、この
アルバムは「『Dub Me Crazy』シリーズの為に
制作した楽曲にサンドラが歌詞を付けた作品も
多い」との事ですが、実際に聴いた印象としても
プロデューサーのMad Professorの曲作りが良い
せいか、けっこう面白い曲が多いんですね。
その辺はMad Professorという人の才能を
感じます。

1曲目は「Mr President Man」です。
1曲目からSandra Crossの澄んだ声が強く印象
に残ります。
この後Sandra CrossはAriwaの看板スターに
なって行くのですが、やはりこの声あっての
事だったのでしょう。

2曲目は「Creation」です。
いきなりハズしたのか?と思うほどの高音からの
曲の入りなのですが、Sandra Crossのヴォーカル
力のスゴさがよく解る曲です。
この曲のみゲスト・ハーモニーとしてSandra Sampson
という人が参加しています。

The Wild Bunch - Creation


3曲目は「Live In Love」です。
この曲もSandra Crossのヴォーカルを生かした曲
で、彼女のちょっとセクシーな個性が光ります。
この曲はこの当時に発売されたAriwaレーベルの
オールスター・メンバーを集めたアルバム
「The Ariwa Posse」にも収められている曲です。

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Various - The Ariwa Posse (1984)

4曲目は「Styler Boy」です。
この曲もSandra Crossの高音の伸びを生かした
曲です。
Mad Professorのプロデュースした女性歌手
を見てみると、こうした高音のキレイな女性歌手
が、彼の好みのような気がします。

5曲目は「Freedom Fighters」です。
こちらは少し低めに入って、2人の女性ヴォーカル
のカラミからグッと盛り上げるというちょっと
凝った構成の曲です。

The Wild Bunch - Freedom Fighters


6曲目は「Runaround」です。
こちらはかなりスウィートな曲ながら、うまく
リズムでアクセントを付けている曲です。
このあたりはMad Professorのセンスの良さ
が光ります。

The wild Bunch - Run Arround ariwa - RossAndReggae11


7曲目は「Love And Harmony」です。
こちらはいかにもラヴァーズといったSandra Cross
の泣きの曲です。
Sandra Crossの持つ清潔感がうまく生きています。

8曲目が「Indestructible Woman」です。
こちらもラヴァーズという香りの曲ですが、
Sandra Crossの爽やかさでなんとかベタベタ感
のない曲に踏みとどまっています。

残りの2曲はボーナス・トラックです。

9曲目の「Stylish」はちょっと楽し気な
インスト・ナンバーに近いダブ。

10曲目の「Rat Race」は、ドラムの刻む
ビートに乗ったメロディカがすごく魅力的な
ダブです。
このメロディカは誰なんでしょう?
Ariwaなので、クレジットされていないPanafricanist
あたりが吹いているのか?
とにかくカッコいいです。

ボーナス・トラックですが、ダブにはMad Professor
の魅力がうまく詰め込まれています。

初めにラバーズ系は苦手と書きましたが、この
アルバムに関してはSandra Crossのベタベタ
しない個性と、Mad Professorの遊び心のある
アレンジで案外楽しく聴けちゃう感じでした。
内容は悪くないと思います。

機会があれば聴いてみてください。


○アーティスト: The Wild Bunch
○アルバム: The Wild Bunch
○レーベル: Ultra-Vybe
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1984

○Wild Bunch「The Wild Bunch」曲目
1. Mr President Man
2. Creation
3. Live In Love
4. Styler Boy
5. Freedom Fighters
6. Runaround
7. Love And Harmony
8. Indestructible Woman
Bonus Tracks
9. Stylish
10. Rat Race

●今までアップしたSandra Cross (Wild Bunch)関連の記事
〇Sandra Cross「Comet In The Sky」
〇Sandra Cross「Country Life + Dub」
〇Sandra Cross「This Is Sandra Cross」