今回はVarious(オムニバス)もののアルバム

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「Tempo Explosion」です。

これは80年代のヒット・リディム「Tempo」
のみを集めたワンウェイ・アルバムです。

まず「Tempo」という曲がどういう曲なのかを
説明したいと思います。
レゲエという音楽は70年はほぼルーツ・レゲエ
の全盛の時代で、80年代になるとダンスホール
を中心としたダンスホール・レゲエの時代になる
んですね。
さらに85年にPrince Jammyがプロデュースした
Wayne Smithの「Under Me Sleng Teng」がヒット
した事をきっかけに、Prince Jammy改めKing Jammy
によるコンピューターを使った音楽「コンピューター・
ライズド」の大ブームが起こるんですね。
それによってジャマイカの音楽界は、それまでの
生演奏による録音からコンピューターを使った
「打ち込み」による音楽制作に切り替わって行く
んですね。

そうしてジャマイカの音楽界はKing Jammyの
ひとり勝ち状態になるんですが、それに対抗して
発表されたのがKing Tubbyがプロデュースした
Anthony Red Roseの曲「Tempo」だったんですね。

このKing TubbyとPrince Jammyは師弟関係にあり、
それまでの70年代はダブのミキサーとして活躍
していたKing Tubbyは、80年代になるとミキサー
の仕事は助手だったPrince JammyやScientistに
任せ、自分は電気技師の仕事をしていてほとんど
ミックスの仕事をしなくなるんですね。
ところが助手のPrince JammyやScientistが
独立して彼のスタジオKing Tubby'sを離れると、
再びこの音楽の現場に戻り飛ばしたヒットがこの
「Tempo」だったんですね。
そのためこの曲はKing TubbyのKing Jammyに
対するアンサー・リディムだと言われています。

リズム特集 Tempo(テンポ)

アーティスト特集 King Tubby (キング・タビー)

アアーティスト特集 King Jammy (キング・ジャミー)

ネットで調べたところ実は今回のアルバムは、
1985年にニュー・ヨークのマイナー・レーベル
Black Victoryからリリースされた激レア・アルバム
なんだとか。
今回のアルバムはその激レア・アルバムのDug Outと
いうレーベルからのリイシュー・アルバムという事
だそうです。

全8曲で収録時間は24分38秒。

詳細なミュージシャンの表記はありません。
ただネットの情報によると後半3曲に名前が記されて
いるBlack Roots Playersがバックを務めている模様
です。
Black Roots Playersはジャマイカでプレイする時
はStudio On Band、ワッキーズでプレイする時には
Black Roots Playersと名乗っているそうです。
ベースにBagga Walker、キーボードがPablove Black
が参加しているとのこと。
ニュー・ヨークのマイナー・レーベルからの発売や
ニューヨークのWackiesで活躍したサックス奏者の
Jerry Johnsonが参加している事からも解りますが、
アメリカで作られたアルバムのようです。

プロデュースはL. Minott & L. Barnesとなっています。

オリジナルとしてはAnthony Red Roseの「Tempo」が
有名ですが、今回のアルバムではSugar Minott、
Chris Wayne、Willie Williams、Ras Menilik DaCosta、
インストでJerry Johnson、Black Roots Playersと
いったところが演奏しています。

さてこのアルバムですが、もともとLPで発売された
アルバムのようですが、Side Aが歌もの、Side Bが
インストという構成になっています。

1曲目はSugar Minottによる「Devil Is At Large」
です。
Sugar Minottは一時期ニューヨークのWackiesで
活躍していた事のあるアーティストですが、ここでも
素晴らしい歌声を披露しています。

Sugar Minott - Devil Is At Large


2曲目はChris Wayneの「Don't Worry Yourself」です。
今回のアルバムは同じ「Tempo」のリディムで歌い手の
違いを楽しむアルバムですが、知名度の低い人ながら
なかなか見事な歌声を披露しています。

Chris Wayne - Don't Worry Yourself


3曲目はWillie Williamsによる「Solid Rock I Stand」
です。
こちらはちょっとアンニュイな匂いのする「Tempo」。

Willie Williams - Solid Rock I Stand


4曲目はRas Menilik DaCostaによる「Free South
Africa」です。
こちらもちょっと個性の違う「Tempo」になっていて、
ヴォーカリストによって個性の違いがよく解る
アルバムになっています。

5曲目はサックス奏者Jerry Johnsonによる「Tribute To
Prince Knight」です。
サックスの演奏に華やかさがあり、このアルバムの
目玉曲のひとつになっています。

それ以降の6曲目~8曲目の3曲はBlack Roots Players
のインスト・ナンバーです。
書いたようにBlack Roots Playersはジャマイカでは
Studio On Band、ワッキーズでプレイする時には
Black Roots Playersと名乗っていたバンドなんだ
そうです。

今回のアルバムはWackies系列のアルバムですが、
そのちょっと硬質なサウンドに乗せた「Tempo」は
なかなか魅力的だと思いました。
この「Tempo」という曲は、ルーツ・レゲエの硬派
な時代とは違ったダンスホール・レゲエらしい
なまめかしさを持った魅力的な曲です。
その曲も歌い手が変わればまた印象が変わる、
そうしたワンウェイ・アルバムの面白さがうまく
詰め込まれたアルバムだと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Various
○アルバム: Tempo Explosion
○レーベル: Dug Out
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1985

○Various「Tempo Explosion」曲目
1. Devil Is At Large - Sugar Minott
2. Don't Worry Yourself - Chris Wayne
3. Solid Rock I Stand - Willie Williams
4. Free South Africa - Ras Menilik DaCosta
5. Tribute To Prince Knight - Jerry Johnson
6. Temp Dub - Black Roots Players
7. Slow Tempo - Black Roots Players
8. Up Tempo - Black Roots Players